福田正博 フットボール原論 それはヴィッセル神戸にも言えることだ。今季の神戸は、監督人事、選手補強のすべてに後手を踏んで…

福田正博 フットボール原論

 それはヴィッセル神戸にも言えることだ。今季の神戸は、監督人事、選手補強のすべてに後手を踏んでいる印象が拭えない。昨季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を戦うために戦力をかき集めたが、今季は人員整理が優先されて、補強は後回しになった印象だ。アンドレス・イニエスタありきの構成になるだけに、ハマった時は圧倒的な強さを見せるが、守備陣への負担は大きく安定感に欠ける。勝ち点で争うリーグ戦で、安定感のないチームは苦しいシーズンになるのではないかと思う。

 昨季は降格がなかったことで、成績が芳しくなくても、監督交代の大ナタをふるうケースは少なかった。しかし、今季は自動的に下位4チームが降格。少しでもチームの調子が落ちてくれば、すぐに監督交代に踏み切るケースは増えると予想できる。

 そうしたシーズンにあって、戦力的に見劣りするチームは、戦い方に難しさがある。たとえば横浜FC。昨年は下平隆宏監督の下でDFラインからボールをつなげる、自分たちの理想のサッカーを追い求める戦いができた。そのなかで若い選手が経験を積み、成長をとげることができた。しかし、今季は勝ち点が思うように稼げない時は、方針転換を強いられるかもしれない。

 これは横浜FCに限った話ではない。理想を追求しても結果がともなわなければ、どのチームでも現実的な路線を走ることになるはずだ。逆の見方をすれば、シーズン当初の戦い方から早々に方針転換したチームは、残留争いを意識して舵を切ったと見ていいだろう。

 もうひとつ今季の見どころと考えているのが、昨シーズンに頭角を現したルーキーたちが、プロ2年目の壁を乗り越えるかどうかだ。

 昨季はレギュレーションの後押しもあって、どのチームも積極的に新人選手を起用し、使われた選手たちもチャンスをモノにしてJリーガーとしての存在感を発揮した。しかし、プロ選手というのは、前年以上の成績を残したいと思うもの。それによって考えすぎて迷路にハマって調子を崩すケースは往々にしてある。

 そうしたプロの壁を乗り越えて、さらなる飛躍を遂げるのは誰か。開催されるかどうかがまだわからないとはいえ、それでも五輪代表に向けてアピールする選手がひとりでも増えることを願っている。

 新型コロナウイルスの影響で、今シーズンも難しい状況のなかで幕を開けるJリーグには、公平性を保つために最大限の努力をしながら、閉塞感に覆われている日本を元気にするような試合を見せてくれることを期待している。