2021年、DDT最初のビックマッチが2月14日カルッツかわさきで行われる。10.25後楽園KO-Dタッグ戦で坂口に絞め落とされた上野勇希は、第4代DDT UNIVERSAL王者として坂口征夫の挑戦を受ける。上野は雪辱を果たすことはでき…

2021年、DDT最初のビックマッチが2月14日カルッツかわさきで行われる。10.25後楽園KO-Dタッグ戦で坂口に絞め落とされた上野勇希は、第4代DDT UNIVERSAL王者として坂口征夫の挑戦を受ける。上野は雪辱を果たすことはできるのか!

 

<前編はこちらから>

--ところで上野選手がプロレスを知ったのは、いつ頃ですか?
上野勇希(以下 上野):実は高校生まで知らなかったです。タケ(竹下幸之介)がプロレスラーになりDDTを観戦したことでプロレスを好きになりました。
タケと出会う前のプロレスのイメージは「怖い」。たまたまテレビで観た時、グレートムタが毒霧を吹き付け合っていた。上野少年はプロレスに対して「身体の大きい人たちが、口から何かを吹き付け合って怖いな」と感じました(苦笑)。
高校生になって、「どうやら同級生がプロレスラーとしてデビューし、大阪にも来るらしい」と。当時男子生徒が少ない学校で、タケとはお昼は一緒に食べるけど、どこかに遊びに行くほどの仲ではありませんでした。
でも同級生がプロレスを頑張っている姿は応援に行きたいと思って。DDTはU-18チケットがあり高校生以下は1,000円で観戦できます。それで観に行ったら「こんなに世の中に面白いものがあるのか」と一回観てビビッと来たんですよ。
ただプロレスラーになる気はなかったですね。その頃は器械体操していましたし。でも毎回DDTが大阪に来るたびに観戦しました。
器械体操を引退した後、身体が細かったので、タケに紹介されたジムに通い始めました。この頃からタケと仲良くなりましたね。そしてトレーニングをしている時にタケが「プロレスラーもいいと思うよ」と勧めてくれたこともあり、入団試験を受けました。
それまでは自転車屋と寿司屋でバイトをしながら、プロレスラーのような身体になりたくて鍛えている19歳でしたね。

--入団試験を受けたのは、いつぐらいですか?
上野:2016年1月、成人式の日です。偶然にも吉村くんと一緒に入団試験を受けました。その後、僕は成人式に出る気はなかったけどHARASHIMAさんに「成人式は出た方がいいよ」と言われて成人式に行きました。
1月末、新小岩の寮に引っ越しましたね。新小岩駅から徒歩15分、その時は中津良太さんとディエゴさんと遠藤哲哉さんが住んでいて、挨拶もそこそこにディエゴさんと掃除しました(苦笑)。

--寮は一軒家でしたか?
上野:一軒家が2つあって、それが隣り合わせ。片方の家の壁がなく二つの一軒家が繋がっているという不思議な作りの家でしたね。隣の家に行くのに窓から移動、家と家の間に若干隙間があるので砂埃が入ってきました。
僕は今までプロレスを続ける上で、1度もネガティブなことを考えなかったですけど、上京した初日その家を見て「続けられるかな…」と不安になりましたね(笑)。

--初日に、レスラーとして高いハードルを乗り越えられたということですね(苦笑)。
上野:それで初日一気に掃除をして住みやすくしました。そこには半年くらい住みましたね。今思えば楽しい思い出です。

--ところで試合前に行うルーティンは、ありますか?
上野:「マッサージガン」と言って、先に球のようなアタッチメントをつける機械があり、それで筋肉をほぐします。
あと試合直前に関してはニコニコする、プレッシャーのある試合であればあるほど入場ゲートの前で笑顔を作ります。笑顔はストレスを解消すると聞いたことがあるのでプレッシャーを跳ね除ける意味でも実践しています。

--プロレスをする際に、こだわって使う道具とかありますか?
上野:「A-wear」ですね。タケから誕生日プレゼントでもらったものです。試合前やトレーニングの時、指に装着しエクササイズをすることで身体を整えることができます。周りでも評判が良く、平田一喜さんも彰人さんも使っていますね。

--レスラーの方は日頃から体調管理に気をつけていますよね。ところで2.14カルッツかわさき大会、坂口征夫選手と戦うことになりました。これまでの借りを返すチャンスですね。
上野:楽しみですよ。坂口さんってスカさないじゃないですか?ド直球の方なので煽れば煽るほど、ぶつかって来てくれる。翔太さんと掛け合うのも好きですけど、坂口さんのようにストレートに来てくれる方も楽しいですね。

--坂口選手とはタッグマッチで何度も戦っていますが、気をつけている点はありますか?
上野:坂口さんは1発1発の攻撃レベルが高いです。打撃もサブミッションも一発が強いので一瞬も油断できない相手です。昔、一度だけ広島でアイアンマンのタイトルマッチを戦った記憶があります。
坂口さんは芯が一本通っているレスラーなので、真正面からぶつかる時もあれば、坂口さんの嫌なことを仕掛けたり、怒らせたらどうなるのかな?と楽しみながら戦っています。

--上野選手、やりそうですね(苦笑)。
上野:坂口さんには6人タッグでは絞め落とされて、タッグでは頭を何度も蹴られて、「このままでは2020年は終われない…」と思っていたら、2021年になってしまいました(苦笑)。ですから2020年の忘れ物を回収しないとダメですね。

--坂口戦に向けて対策はありますか?
上野:クリスやMAOさん・翔太さんに関しては、自分の中で非常に緻密に考えて臨まないと、相手の手の内で転がされてしまう。だからいろいろ策を練りました。
総合格闘技を経験している坂口さんは、他の選手と関節技の入り方も違うので研究しています。ただそれ以上に感情で戦う方なので、自分もリング上での気持ちを大事にしたいと思います。

--最後にDDT UNIVERSAL王者として、坂口戦に向けて意気込みを聞かせてください。
上野:チャンピオンとしてDDT UNIVERSALのベルトを持っていることで刺激的な日々を過ごせています。その最たるものが、坂口さんが挑戦してくれたことだと思います。2020年の「忘れることが出来ない記憶」を払拭するために坂口さんを指名したわけですから。
まだまだ、このベルトで楽しみたいし、もっと遊んでいたい。岡田さんみたいに僕がチャンピオンだから向けられる目を、もっと体験していきたいですね。

--DDT UNIVERSALは自由なベルトですよね。
上野:若いベルトに若いチャンピオンですから、僕が保守的に走るわけにはいかない。UNIVERSALというのは「世界に向けてのベルト」ですけど、状況的に海外に行くことが難しい。ですから「UNIVERSAL=世界」という解釈を自分の中で深めていきたいと思っています。
海外だけではなくて、ネットやDDTの中で、もっとベルトの価値を高めていくことを目標にしています。だから坂口さんに負けるわけにはいかない。2020年の借りも、ここできっちり返しますよ。

<インフォメーション>
DDT、2021年最初のビックマッチ「KAWASAKI STRONG 2021」が神奈川カルッツかわさきで行われます。上野勇希選手に坂口征夫選手が挑むDDT UNIVERSAL選手権を始め、遠藤哲哉vs秋山準のKO-D無差別級選手権など全8試合が予定されています。詳細はこちらをご確認ください→https://www.ddtpro.com/schedules/14872

また2.14カルッツかわさき大会の模様は、動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」でLIVE配信されます。
WRESTLE UNIVERSE→https://www.ddtpro.com/universe

上野勇希Twitter→https://twitter.com/dna_ueno
上野勇希Instagram→https://www.instagram.com/dna_ueno/
DDTサウナ部Twitter→https://twitter.com/DDT_SaunaClub

 

取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング