1.4後楽園ホールで、同期・坂崎ユカを倒しプリンセス・オブ・プリンセス王座を戴冠した辰巳リカ。試合後、挑戦表明したのはタッグパートナーの渡辺未詩。2月11日、新王者・辰巳は自身の初防衛戦と東京女子初の2ヶ月連続後楽園大会を背負いリングに立つ…

1.4後楽園ホールで、同期・坂崎ユカを倒しプリンセス・オブ・プリンセス王座を戴冠した辰巳リカ。試合後、挑戦表明したのはタッグパートナーの渡辺未詩。2月11日、新王者・辰巳は自身の初防衛戦と東京女子初の2ヶ月連続後楽園大会を背負いリングに立つ。前編は1.4後楽園・坂崎戦と、これまでの足跡を振り返ってもらった。

--プリンセス・オブ・プリンセス王座(以下・プリプリ王座)獲得おめでとうございます。対戦相手の坂崎ユカ選手も話していましたが、まさに「執念の勝利」でしたね。
辰巳リカ(以下 辰巳):私的には戦略とか力技ではなく、執念でしがみついて戦いました。結果として私が勝ちましたが、どっちが勝ってもおかしくない勝負。本当に僅差でしたね。

--昨年、辰巳選手はタイトル戦の前、「ベルトを獲って有名になりたい」という発言をされていました。坂崎選手は「これがリカの本音なんだろう。思い通りに行かなかった分、その中で一生懸命もがいているのかな」と話していました。
辰巳:プリプリ王座への挑戦も4度目で、もう「あとがない」というか。プロレス人生の中でタイトルマッチへの挑戦が何度もあるわけではないですし、1.4は「最後の挑戦だ」という気持ちで臨みました。

--その気持ちが、執念の足4の字固めに繋がったのでしょうね。
辰巳:本当に何も考えず、気がついたら必死で体が動いていたという感じです。自分でもこれまで感じたことのない動きをしていました(苦笑)。きっと別のゾーンに入っていたのだと思います、自分でいうのもなんですけど(笑)

--試合後、リング上で「団体をビートルズのような」と発言されましたね。音楽に例えた人、初めて見ました。やはり音楽好きの辰巳選手ならではの発想ですね。
辰巳:分かりやすいじゃないですか。ビートルズの音楽は聞いたことがない人がいないと思うので(笑)。私自身音楽をしていた時期もあるし、私の中でビートルズを例えに出したのは自然な流れですね。

--チャンピオンになって約1ヶ月経ちます。環境や気持ち的な部分で変化はありますか?
辰巳:意識は変わりました。やっぱり東京女子の顔になるので舐められちゃいけないなと(笑)それは冗談ですけど、今まで以上に周りの人に感謝を忘れずキチンとした態度で日々過ごすようにしています。
あとパワーをつけるために筋トレを、今まで以上に行うようになりましたね。

--やはり気持ちの変化は行動に現れますよね。ところで辰巳選手は、2013年に東京女子の練習生になりましたが、元々は音楽ユニットDPG(※)のメンバーとして活動されていましたよね。その前は地元で会社員だったとか。※ロックフェス「夏の魔物」の主催者、成田大致によって結成された、かつて存在した音楽ユニット。
辰巳:地元長野のケーキ屋で、3年間ケーキ製造を行っていました。でも、どうしても東京で音楽活動をしたくて。一念発起し、いろいろなオーディションを受けました。そこで通ったのがDPGでした。

--地元にいるとき、テレビでプロレスを観たりしましたか?
辰巳:全く観ていないですね(苦笑)。上京してDPGのメンバーとして活動していく中でプロレスに触れました。メンバーの中にアントーニオ本多選手やトランザム☆ヒロシ選手がいたので、自然な流れですね。
最初にミュージックビデオを撮影した時、アントン選手に技を掛けたんです。すると周りの人が「なかなかやるな」と褒めてくれるんです(苦笑)。それでプロレスの楽しさを知っていきましたね。
その時の音楽グループの衣装が、マスクを付けキューティー鈴木選手のような白いコスチュームを着ていました。「衣装を着たときの姿がレスラーっぽいのに、全然プロレスを知らないぞ」と思い、プロレスを見始めました。

--学生時代、何かスポーツをしていましたか?
辰巳:中学3年間はバレーボールをしていました。おかげで20cm近く身長が伸びました。中1で144cmだったのが、中3で162cmになりましたから。親の遺伝もあると思いますが、一気に背が高くなりましたね。高校はスポーツではなく、軽音楽部でバンド活動してました(笑)。

--中学時代のバレーボール経験が、レスラーとして今に活きていますね。
辰巳:練習中とかも、初めての技とかを「バレーのこういう感じか」とか…

--プロレスの技をバレーボールで捉えるのですか?
辰巳:受け身の感じも、バレーでいうレシーブの感じに近いですし、柔軟で身体を柔らかくしておくのも、バレー時代の経験が少しは役に立っていると思います(笑)。

--辰巳選手は想像力が豊かですね。ところで辰巳選手は2015年に改名しました。高木三四郎社長から「辰巳リカ」という名前を提案されたと伺いました。おニャン子クラブ世代ですと、会員番号15番の立見里歌さんを連想してしまいます。
辰巳:おニャン子クラブが活動していたのは、私が生まれる前だったので、立見里歌さんを知らないんですよ(苦笑)。リングネームに関しては、こだわりはなかったです。本名が「りか」なので、それは残したいと高木さんに話したところ、「辰巳リカ」になりました。
ファンの方の中にも、おニャン子世代の方がいるので「リングネームを辰巳リカにしたら喜んでもらえるかな?」という軽いノリで決めました(笑)。
立見里歌さん本人も、SNSで私の存在を知ってくれて1度会場に来てくれました。

--本人との遭遇は貴重ですね。2015年にリングネームを改名し、渡辺未詩選手と組むようになったのは、いつ頃ですか?
辰巳:2019年ですね。未詩とのタッグでプリンセスタッグ戴冠。今手元にあるシングルのベルトとは違う意味で胸がいっぱいになりました。それまで東京女子のベルトを手にしたことがなかったので、思い入れが強かったですね。

--キャリアの長い辰巳選手が、渡辺選手に檄を飛ばした話を伺いました。
辰巳:当時、アップアップガールズ(プロレス)の4人のメンバーが、東京女子の山下実優・坂崎ユカ・中島翔子、そして私と試練のシングル4連戦を行うことになりました。その会見の時に私が「アプガのメンバーは、ちょっと甘えているんじゃないの?」と、ちょっとキツいことを言いました。そしたら未詩が「アイドル活動と同じくらい、プロレスも頑張っている」とSHOWROOMで泣きながら熱い気持ちを話してくれました。その時の試合でも、未詩はじめアプガのメンバーはみんな頑張ってくれて、叱咤激励をして良かったと思いましたね。

--その後、渡辺選手とはタッグを組むことになるんですか?
辰巳:そうです。当時、私にはタッグパートナーがいませんでした。もし組むなら誰がいいのか、ずっと考えていて「組むなら未詩がいいな」と思っていたので。
タッグのベルトを持っていたのが、沙希様のNEO美威獅鬼軍。あの2人を倒したいという気持ちを、私と同じくらい持っていたのが未詩でした。気持ちが合ったからこそ、勝ってベルトを獲得したと思っています。
未詩は「毎日道場にいるんじゃないか」と思うくらい、東京女子の中でも1番か2番の練習量を誇る選手です。道場でも、ずっと動いていますね。

<後編に続く>

<インフォメーション>
東京女子プロレス史上初、2ヶ月連続での開催となる後楽園ホール。メインイベントはチャンピオン辰巳リカ選手が、“白昼夢”タッグパートナーである渡辺未詩選手の挑戦を受けるプリンセス・オブ・プリンセス王座選手権。詳細はこちらをご確認ください→https://www.ddtpro.com/schedules/14903

また2.11後楽園大会の模様は、動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」でLIVE配信されます。
WRESTLE UNIVERSE→https://www.ddtpro.com/universe


辰巳リカTwitter→https://twitter.com/doratles
辰巳リカInstagram→https://www.instagram.com/doratles/


取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング