6度にわたり全豪オープンを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ドロー抽選でフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)という1回戦の相手としてはかなり厳しい相手を引き当てた。また、故障による活動休止でランキングを落としていたロジャー・フェ…

 6度にわたり全豪オープンを制したノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ドロー抽選でフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)という1回戦の相手としてはかなり厳しい相手を引き当てた。また、故障による活動休止でランキングを落としていたロジャー・フェデラー(スイス)は、第1シードのアンディ・マレー(イギリス)、第5シードの錦織圭(日清食品)、第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)のいる厳しいブロックに入った。

 シーズン最初のグランドスラム大会のドロー抽選は、第2シードのジョコビッチに厄介な相手を割り当てた。ベルダスコは昨年の全豪1回戦でラファエル・ナダル(スペイン)を破るという番狂わせをやってのけた男。まだ先週のドーハ準決勝で、最終的にジョコビッチに敗れる前に5つのマッチポイントを握っていたジャイアントキリングの常連だ。

 また、全豪で6度の優勝経験を持ち、今大会で23番目のグランドスラム・シングルス・タイトルを狙っているセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は昨年第12シードがついていた19歳のベリンダ・ベンチッチ(スイス)という、やはり骨の折れる相手を引き当てた。また、セレナのいるブロックには、第9シードのジョハナ・コンタ(イギリス)、第17シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、第6シードのドミニカ・チブルコバ(スロバキア)がいる。

 昨年の決勝でセレナを破って自己初のグランドスラム・タイトルを獲得した第1シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)は、1回戦でレシヤ・ツレンコ(ウクライナ)と対戦する。ツレンコはやはりブリスベンでも棄権の原因となったウイルス性疾患を理由に、ホバートの準決勝を棄権していた。彼女は全豪の試合までに回復できるよう祈っていると話している。

 フェデラーは全豪オープンで準決勝に至ったあと2月に膝の手術を受け、全仏は背中の故障のために棄権。ウィンブルドンの準決勝で敗れたあと、膝の完全回復に努めるため2016年の後半をコートの外で過ごすことになった。

 年末のランキングで16位にまで落ちたフェデラーは、ブリスベン決勝で錦織を破って15位に上昇したグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に抜かれるなどランキングを落とし、第17シードとなった。

 最初の2ラウンドで予選勝者と当たることになっているフェデラーは、それから3回戦で元ウィンブルドン準優勝者のベルディヒ、4回戦で2014年全米準優勝者の錦織、準々決勝で5度全豪で準優勝している世界1位のマレーと当たる可能性がある。

 フェデラーの元コーチでドロー抽選のセレモニーに参加していたポール・アナコーン(アメリカ)は、35歳のスイスのスター、フェデラーはふたたびタイトルを狙うに十分な経験と実力を持っている、と言う。フェデラーはメルボルン・パークで4度優勝し、ここ13年で12回、準決勝かそれ以上まで至っていた。

「ロジャーの名の横に17シードの文字を見るのは、非常に奇妙な感じがする」とアナコーン。「ロジャーはここに本当に何度も来ているから、どうやって準備すべきかを知っている。だからシードが低かろうが、大きな問題ではないと思うよ」。

 ドロー抽選の前日、錦織はフェデラーがシードのリストで通常より低めの位置にいることはライバルたちにとって怖いことだが、大会にとっては幸運なことだろうと言った。

「間違いなく、僕らにとってはいいニュースではない。厳しいよ」と錦織。「プレーする側にとってはベストじゃないが、ファンにとっては素晴らしいことだ」。

 5度目の決勝での敗退でオーストラリアから去ったあと、マレーは2016年にウィンブルドン、リオデジャネイロ・オリンピック、シーズン末のATPファイナルズのタイトルを獲り、ジョコビッチから世界1位の座を奪った。

 マレーは1回戦でイリヤ・マーチェンコ(ウクライナ)と対戦し、順当に勝ち上がれば3回戦で31位のサム・クエリー(アメリカ)と対戦する可能性がある。クエリーがウィンブルドンの3回戦でジョコビッチを破ったことは、まだ記憶に新しい。

 全米オープン・チャンピオンのスタン・ワウリンカ(スイス)は、マレーと同じ側の半分にいる。つまり順当に勝ち上がった場合、準決勝でマレーと当たるドローだ。

 第2シードのジョコビッチは反対側の下におり、第8シードのドミニク・ティーム(オーストリア)や第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)らと先に当たる位置にいる。

 左手首の故障に強いられた2ヵ月の休止から復帰したナダル、第3シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)はジョコビッチと同じ半分の上部4分の1にいる。

 またタナシ・コキナキス(オーストラリア)が故障による棄権を表明したため、もうひとつの席が予選勝者に与えられることになったと大会開催者は発表した。

 ジョコビッチとケルバーは前年度覇者として、このドロー抽選のセレモニーに参加した。ジョコビッチは昨年、ロイ・エマーソン(オーストラリア)とタイになる6度目の全豪タイトルを獲得。ケルバーは彼女にとって初のグランドスラム・タイトルをつかんだ。

「ほかの皆がタイトルを防衛するためでなく、追うため、勝ち獲るためにここにいる」とジョコビッチ。「そして僕も、自分をそのポジションに置くつもりだ」。

 ケルバーは第7シードとして臨んだ昨年の1回戦で土居美咲(ミキハウス)に対してマッチポイントを凌いだ末に命からがら勝った経験を持っており、それゆえ1回戦を軽視できないことを身をもって知っている。

「たったの1ポイントがすべてを変えたのよ」とケルバー。「あれは、信じられないような2週間だった。相手にマッチポイントを握られてしまった1回戦から始まり、その後、世界最強のセレナと決勝を戦ったのだから。今、第1シードとしてここにいる、というのは本当に特別なことだわ」(C)AP