ATPカップ出場、現役最年長ランカー松井俊英の現地発コラム第8回 男子テニスの国別対抗戦「ATPカップ2021」がオース…
ATPカップ出場、“現役最年長ランカー”松井俊英の現地発コラム第8回
男子テニスの国別対抗戦「ATPカップ2021」がオーストラリアで開幕を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、厳戒態勢で行われる団体戦に日本代表として参戦する42歳の“テニス界現役最年長ランカー”松井俊英が大会中に「THE ANSWER」で現地発のコラムを展開する。第8回は、オーストラリア入国後、2週間の隔離期間終了に伴い、練習予定が全キャンセルになるなど、大会側のドタバタぶりについて語ってくれた。
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ついにオーストラリア入国後、2週間の隔離期間が終了しました。指定ホテルでは時間差で選手や関係者がチェックアウトしています。西岡選手ら僕と一緒にシンガポールからチャーター便でやってきた選手は晴れて自由になりました。
でも、僕は出られません。今日は練習目的の5時間の外出も許されず、ハードロックダウンが決まりました。理由は2点です。本来ならシンガポールチャーター組は今日でホテルを出ることができるのですが、ここでずっと一緒に練習してきた相手のオーストリア人、サム・ワイズボーン選手は一番遅い中東経由で欧州からオーストラリア入りしました。
なので、僕のチェックアウトは練習相手と同じ30日にセットされてしまいました。そして、本来ならワイズボーン選手と通常通りの1日5時間のホテル外での練習が可能でしたが、急遽キャンセルに。30日のチェックアウト組の練習は全員なくなってしまいました。
理由は隔離期間終了に伴う手続きなど、大会側のドタバタにあるようです。今回のATPカップや全豪オープンに参加するためにオーストラリアに入国した選手、関係者は約1200人です。この人たちのチェックアウト手続きや移動の対応でバタバタしています。
さらに入国の際にチャーター便で同乗していた関係者で感染が確認された錦織選手やアザレンカ選手のような72選手への対応が大会としては最優先となりました。1日5時間のトレーニング目的の外出も許されないハードロックダウン組は隔離期間が終われば、1秒でも早くコートで打ちたいという気持ちだと思います。
この日、隔離解除となったハードロックダウン組はこれまでの不均衡を是正するために、練習時間や治療時間で今後優遇されることになります。そして、大会側はこの日、移動面などで72選手のインフラを全面的にサポートするために、自分たちのような30日解禁組のトレーニング予定は全てキャンセルとなってしまったわけです。大会としてもバタバタ続きですが、個人的には想定外でした。実はワイズボーン選手と相談して、27日の練習を中止にしました。チーム練習がスタートする隔離解禁後の追い込みを見据えて、オフに充てていたのですが、今日オフになると事前にわかっていたら……。
錦織は今日にもトレーニング再開「そこは朗報と言える」
しかも、30日も何時に隔離解禁になるかまだわかりません。大会直前に2日間ハードロックダウン状態になることだけは避けたいところです。オーストラリア政府からホテルのドアの下にレターで、ホテルの退出時間が通告されます。それを今は待つのみです。
その一方で、日本代表でチームメートの錦織選手も早ければ今日にもトレーニング再開できるので、そこの部分は朗報と言えると思います。
入国2週間の隔離期間が終わると選手、関係者も基本的には自由になります。これからは自分でホテルを選ぶことができます。選手の中にはAirbnb(宿泊、民泊仲介サイト)で部屋を借りる選手もいます。
メルボルンには新型コロナウイルスの感染者はほとんどいません。28日はオーストラリアの新規感染者が6人と報じられていました。凄いですよね。屋外でマスクをしている人は稀にしか見ませんが、それでもルールは守らなければいけません。
先日タイ料理屋で食事した客からコロナの陽性反応が出たそうですが、市民はトラッキングされているので、同時刻に食事をしていた他の客全員が検査を受けたそうです。陰性だとしても2週間の隔離。陽性なら入院になります。一方、クリケットの試合を観戦した観客の1人が陽性となったようで、この時も周りの観客は全員が検査を受けたそうです。全員が陰性で、この時は隔離されなかったとのことです。状況ごとに政府も対応を分けているようです。
選手もメルボルンのルールを守っています。1.5メートルのソーシャルディスタンスと、屋内ではマスク着用が義務付けられています。観客が陽性になった時、コートの選手も濃厚接触者になってしまうのか。選手たちも心配しています。神経を尖らせて自衛を心がけなければいけない大会になりそうです。
■松井俊英(まつい・としひで)
1978年4月19日、千葉県柏市生まれ。42歳。ATPダブルスランキング世界207位。シングルスランキング802位。私立八千代松蔭中学卒業後、カナダ・トロントのノースビュー・ハイツ・セカンダリースクールで単身語学留学を経て、ブリガム・ヤング大ハワイ校卒業。2000年にプロ転向後、06年、10年にデビス杯日本代表に選出。世界46か国以上を転戦し、19年には41歳で現役選手として世界最年長のATPランカーとなった。2年連続でATPカップ日本代表にも選出されるなど実力は健在。オンラインサロンも展開中。
(THE ANSWER編集部)