昨年のラグビーワールドカップは、ラグビーにとって史上最大規模で、最も深く“つながり”を得たイベントでした。記録という記録がフィールド内外で破られ、ラグビーのブランドをはじめ、スポンサー企業やクラブチームにも膨大なチャンスが広がることになりました。

2015年、ワールドラグビー(ラグビーユニオンの統括団体)は、世界中のラグビーファンや視聴者に忘れられない瞬間をライブで提供しました。この年のワールドカップは英国では、2011年のニュージーランド大会と比べて、6600万人以上の視聴者数を獲得しました。

英国やアイルランドでは、クラブチームもますます強大になりつつあります。クラブチームや各国のラグビー協会では次々と新しいスポンサー契約が締結。新しい冠スポンサーやソーシャルチャンネルで大型の投資が行われるなど、改めてそのポテンシャルが注目されています。

商業的に成長の勢いをみせるラグビーは、これからシーズン本番を迎えます。そこでニールセンスポーツでは国内外の大会を深く掘り下げて考察したいと思います。

ラグビーを取り巻くメディア

ワールドカップ以降、英国でもラグビーの注目度が上昇。2016年の上半期は昨年の同時期と比べると、「とても興味がある」もしくは「興味がある」と答えた人の割合が6%増えました。

メディアで起こった最も大きな変化は、人々がSNSを通じてスポーツを追うようになったことでしょう。ニールセンスポーツの分析によると、2015年はシックスネーションズ(ラグビー欧州6カ国対抗戦)で57万4000の投稿でしたが、1年後には108万7166をマーク。89%増の成長を見せました。

シックスネーションズの最終週では、イングランドがグランドスラム(全勝優勝)を達成。この時、世界中のスポーツに関する投稿の中で10%を占めるほどでした。デジタルツールが盛り上がれば、企業もファンもあらゆるユーザーの利益にもなります。

ファンと繋がるためには、ターゲット層がどんなコンテンツを好むのか理解しなければいけません。イングランドラグビーと協賛企業は、2016年のシックスネーションズで、こうした目的を見事に果たしたと言えます。

スポンサーシップの「分布図」

ラグビーはイギリス国内でも国際的にも進化しています。ここ4年でみても数々の大きなスポンサーシップが見られるようになりました。スポーツ業界でグローバルなスポンサー投資額は、2012年から2015年にかけて21%もの成長を記録しました。

英国だけで見ても、ラグビーは1位サッカー、2位モータースポーツに続く、3位となる3億6000万ポンドの投資額をマークしています。2012年から2015年の間、英国とアイルランドのスポンサーシップ総額では、ラグビーが8%を占めました。

今後、2017年にはシックスネーションズと英国大手銀行「ロイヤルバンク・オブ・スコットランド」(略称RBS)のスポンサー契約が終了しますが、新しい冠スポンサーが迎えられるのか注目されます。

国内でも、ラグビーのプレミアシップが「Aviva(アヴィバ)」との6年間の冠スポンサー契約を終えるので、2017/18シーズンは冠スポンサーが未定となっています。

大型のスポンサー契約

ラグビーにまつわるその他のビッグニュースは、「Guinness(ギネス)」がプロ12(、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、イタリアの4ヶ国で行われるリーグ戦)のスポンサー契約を4年延長したこと。

英金融サービス会社「Old Mutual Wealth」とイングランドラグビー協会が、男子と女子のオータム・インターナショナルズ(11月のテストマッチ)で4年のスポンサー契約を結んだことなどがあげられます。

また、「アンダー・アーマー」は、ウェールズラグビー協会と9年のパートナー契約の延長を締結したばかり。オータム・インターナショナルズの冠スポンサーにも就きます。

ウェールズ協会はミレニアムスタジアムのネーミングライツで、地元住宅金融組合「Principal Building Society」と10年の大型契約を結び、同スタジアムはPrincipal  Society Stadiumに改名されました。これはWRUにとって歴史的な出来事になります。

今年、英資産運用会社「Standard Life Investments」は、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ(4年に1度結成される英国4協会の連合チーム)のメインパートナーとなり、2017年度のニュージーランドツアーでのユニフォームスポンサーとなりました。

ラグビー内では、なおもスポンサー企業やチームに大きなチャンスがある状態です。ヨーロッパで最も注目されるヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ(ラグビー版チャンピオンズリーグ)では、サラセンがワスプスと、レスター・タイガースがラシン92と激突。

好カード・好ゲームでブランドが露出し、熱気が高まることで、国内外の企業から注目を集めています。

英国とアイルランドでは、ラグビーのスポンサー投資額が1年で16%も増加し、2015年には1億1700万ポンドに達しました。加えてラグビーでは、国内企業からの投資額もここ4年で成長しています(2012年は7%だったのが2015年で11%に)。

代表チームやクラブチームの試合が成功を収めた結果、国内外の企業が英国とアイルランドでラグビーユニオンのファン層とつながりを求めるようになりました。

2019年は日本開催、今後の開拓地は…

2019年のラグビーワールドカップは日本で開催されます。試合は国内各地の12のスタジアムで行われ、開催によって、経済効果やスポーツ熱の向上、観光促進を生み出します。

2015年のラグビーワールドカップでは、アジアがサクセスストーリーの主役となりました。アジアでの視聴者数はトータルで69%増、生観戦では221%増をマーク。なかでも日本代表チームの快進撃は、多くの人々をテレビに釘付けにしました。

日本で開催される次のワールドカップはビッグチャンスとなります。課題は、若い世代への訴求でしょう。PCやタブレット、スマホといったプラットフォームの選択肢が増えたことで、人々は時と場所を選ばず、自由に見たいものを見られるようになりました。こうした傾向は特に18歳から24歳の年齢層で顕著となっています。

ワールドラグビーが戦略の中心に据えているのは、ウェブと中継コンテンツの充実。SNSやデジタルコンテンツは今後もファンを結びつけるツールとなりますが、同時に無料でストリーミングする場を提供していくことも、視聴拡大のカギとなるでしょう。

ワールドラグビーの最高責任者ブレット・ゴスパー氏は、「ラグビーは絶えず、世界中で新しいプレイヤーや視聴者、そして商業パートナーに訴え、惹きつけ、インスパイアする。(中略)グローバルにラグビーの関心を高めていくという我々の目標は明らかに前進している」。

「リオ五輪、昨年のワールドカップでの数々の成功に続き、2019年の日本でのワールドカップはさらなる関心を集める機会となる。我々は従来のマーケットを超え、今までにないチャンスに恵まれている」。