2月8日に開幕する「全豪オープン」。現在選手たちは、新型コロナウイルス感染症拡大を抑えるために、それぞれ現地のホテルで2週間の隔離に入っている。だが一部の選手は2週間まったく部屋から出ることができない完全隔離となっており、完全隔離が終わった…

2月8日に開幕する「全豪オープン」。現在選手たちは、新型コロナウイルス感染症拡大を抑えるために、それぞれ現地のホテルで2週間の隔離に入っている。だが一部の選手は2週間まったく部屋から出ることができない完全隔離となっており、完全隔離が終わった後すぐに試合をすることになる。これは「非常に危険なこと」だと、アンディ・マレー(イギリス)のストレングス&コンディショニングコーチであるマット・リトル氏がメトロ紙のインタビューで語っている。【動画】ダニエル太郎 笑顔で隔離生活の様子を報告!「全然元気です」

本来の予定では隔離期間中も、練習やトレーニングのための外出が、移動を含め1日5時間認められていた。しかし大会側が用意したオーストラリアへのチャーター便で移動後、選手以外のスタッフに陽性者が出た便が複数あり、同じ便に乗っていた合計72人の選手は外出も認められない完全隔離となっていた。

彼らは一歩も部屋から出ることができず、ホテルの部屋という限られたスペースと設備で、2週間コンディションを整えなければならない。

リトル氏は「一般の人は運動すると筋肉が硬くなったり痛んだりする。一方エリートテニス選手は、運動を定期的に続けないと筋肉が硬くなったり痛んだりする。つまりスポーツカーのようなものなんだ」「2週間の強制的な休養期間の後に爆発的な負荷が身体にかかることは、彼らにとって非常に危険なことだ」と警鐘を鳴らしている。

特にサーブ動作を危険視しており、「そうならないことを願っているが、多くの選手が肩を痛めるだろう」とコメント。

「ほとんどの選手は1セットあたり30~40本はサーブを打つことになり、5セットマッチだと150本打ったりする」「1週間の休養から戻ってきた選手でも、肩がサーブ動作に慣れるのに時間がかかるんだ」

日本人選手では、錦織圭(日本/日清食品)とダニエル太郎(日本/エイブル)がこの完全隔離の対象に。錦織は昨年「全仏オープン」で肩を痛め、シーズン残りを欠場。12月のエキシビションマッチ「WOWOWテニスフェスティバル2020」でも、何度かかなり緩めのサーブを披露したものの、基本的にサーブは打つ予定ではなかった。

錦織は隔離中にホテルの部屋から行ったInstagramでのライブ配信でも「隔離期間を終えて2日間空いてすぐ試合があるので、試合ができるのかというところもあるのですが、まだ試合に出れるかどうか…出れるとは思いますけど、やっぱり怪我の心配だったり、パフォーマンスの心配っていうところもある」と話していた。

まずは復帰戦として予定している「ATPカップ」、そして「全豪オープン」では、怪我をしないことが願われる。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2017年「Nitto ATPファイナルズ」でのリトル氏(左)

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)