果たして、横浜に真のエースは誕生するのか――。DeNAのアレックス・ラミレス監督は石田健大投手を3月31日のヤクルト戦(神宮)の開幕投手に指名した。■10年連続すべて異なる開幕投手、ラミレス監督が描くエース像とは 果たして、横浜に真のエース…

果たして、横浜に真のエースは誕生するのか――。DeNAのアレックス・ラミレス監督は石田健大投手を3月31日のヤクルト戦(神宮)の開幕投手に指名した。

■10年連続すべて異なる開幕投手、ラミレス監督が描くエース像とは

 果たして、横浜に真のエースは誕生するのか――。

 DeNAのアレックス・ラミレス監督は石田健大投手を3月31日のヤクルト戦(神宮)の開幕投手に指名した。昨季7勝の井納、8勝の今永という候補もいたが、対戦相手との相性などデータを重視するラミレス監督は、昨季のヤクルト戦3登板で2勝0敗、防御率1.00と好成績を残した3年目左腕に初の大役を託した。

 これで前身の横浜時代の2008年・寺原隼人(現ソフトバンク)から10年間、すべて異なる投手が務めることになった。開幕投手といえば、エースが担う重責。毎年入れ替わることは、三浦大輔(開幕投手7度)以降、「エース」と呼ばれる投手が定着しなかったという歴史でもある。

 では、石田は長年のチームの壁を打ち破り、待望のエースとなれるのだろうか。

 カギとなるのが、ラミレス監督が常々口にする「エースの条件」だ。昨年、同様に年明け早々に開幕投手に指名した山口に対し、こう言っていた。

「エースである以上、10~15勝はしてほしい。投げる試合はすべて完投するつもりで投げてほしい」

 言い換えれば、求めるのは「2桁勝利」と「完投能力」。それが、石田にとって克服すべき最大の課題となる。打線の援護に左右される前者より、とりわけ重要となるのが後者だろう。

■デビューから2年間完投ゼロ、山口のFA移籍で石田に求められる役割

 1年目に2勝、昨季に9勝を挙げた石田は1年目に8イニングを1度投げたのが最長で、プロ入り後は完投したことがない。ラミレス監督が就任した昨季は、すべて7イニング以内で降板しており、指揮官の求める理想像にはまだ達していない。

 これには指揮官なりの配慮があった。ルーキーイヤーに左肩痛で出遅れた大器の将来性を考慮し、決して無理に引っ張ることはなかった。背景には、好投しながら打順が3巡目に入る6~7回に痛打される場面が目立ち、代えざるを得なかったこともあった。

 ただ、昨季は完投能力の高い山口や井納がイニング数を稼いだが、リーグトップタイの5完投をマークした山口がFA移籍した今季、石田には山口同様に9回まで投げ切ることが求められる。当然、長いイニングを投げれば、それだけ勝利も近づき、2桁勝利も近づいてくる。

 自身初の月間MVP(5月度)、オールスター出場を果たした昨年は11月に侍ジャパンの強化試合にも選出され、大きな飛躍を遂げた1年となった。今季はマークも厳しくなり、カード頭は各球団のエース級との投げ合う機会が増え、よりタフなシーズンとなる。だが、開幕投手の看板を与えられた勝負の3年目は、いよいよ独り立ちする機会だ。

 昨季、球団史上初のCS進出を果たしたチームにとって、次なる目標は1998年以来のリーグ優勝&日本一。石田が長年不在となっていた真のエースとなれば、19年ぶりの夢は夢じゃなくなるだろう。

 以下ここ10年のベイスターズの開幕投手。

2008年 寺原隼人 ●2-4 阪神
2009年 三浦大輔 ●1-4 中日
2010年 ランドルフ●3-7 阪神
2011年 山本省吾 〇5-4 中日
2012年 高崎健太郎△5-5 阪神
2013年 藤井秀悟 〇4-3 中日
2014年 三嶋一輝 ●1-9 ヤクルト
2015年 久保康友 ●2-3 巨人
2016年 井納翔一 〇2-1 広島
2017年 石田健大 ? ヤクルト