ダービージョッキー大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」 昨年末から2カ月間続いてきた冬の中山開催は、今週がラストウイークとな…

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 昨年末から2カ月間続いてきた冬の中山開催は、今週がラストウイークとなります。年が明けて、再び無観客競馬となってしまったことは残念ですが、感染予防対策を徹底して開催を続け、GIが行なわれる頃には、再びお客さんの前でレースができることを願っています。

 さて、1月24日に中山で行なわれる重賞は、GIIアメリカジョッキークラブC(芝2200m)。別定のGII戦ですから、芝の中距離戦でGIを目指す馬が、この一年における始動戦に選ぶレースとも言えます。その分、注目度の高い一戦となります。

 とりわけ、この年末年始にはアーモンドアイをはじめ、ラッキーライラック、フィエールマン、ノームコア、そして有馬記念2着のサラキアが引退。さらに中山巧者だったウインブライト、ミッキースワローに加え、故障で復帰が遅れていたサートゥルナーリアまでもターフを去って、芝の中距離路線のトップホースが一気にいなくなってしまいました。

 もちろん、コントレイル、デアリングタクトという昨年の三冠馬2頭がいて、彼らが同路線を引っ張っていってくれると思いますが、彼らとしのぎを削っていく新たなライバルたちの登場を、ここでは大いに期待したいところです。

 その候補となるのは、やはり2頭の三冠馬たちと激闘を繰り広げてきた明け4歳馬たち。そして実際、今回のAJCCには、GI菊花賞(京都・芝3000m)でコントレイルと激戦を演じた2着アリストテレス(牡4歳)と、3着に入ったサトノフラッグ(牡4歳)、GIホープフルS(中山・芝2000m)とGII神戸新聞杯(中京・芝2200m)と2度、コントレイルの2着となったヴェルトライゼンデ(牡4歳)、さらにGIオークス(東京・芝2400m)でデアリングタクトに次ぐ2着に入ったウインマリリン(牝4歳)と、有力なライバル候補たちが参戦してきました。

 昨年までは2頭の高すぎる壁に阻まれてGI制覇を果たせなかった馬たちですが、今年はそれぞれに適条件を見つけて、戴冠を遂げてほしいところ。この世代の2番手グループが活躍すれば、競馬界全体が盛り上がっていくはずですからね。

 そして今回、最も注目したいのは、アリストテレスです。同馬はGI皐月賞(中山・芝2000m)、GI日本ダービー(東京・芝2400m)には出走できませんでしたが、条件戦を連勝して菊花賞に出走。いわゆる夏の上がり馬だったものの、菊花賞では鞍上のクリストフ・ルメール騎手の好騎乗もあって、三冠レースの中でコントレイルを最も苦しめました。

 今回、初めての中山コースとなりますが、菊花賞ではコントレイルを徹底マークして動いていったように、器用なレース運びができる馬。条件的に不安を感じるところはありません。

 個人的には、コントレイルが出走しなかったGI有馬記念(中山・芝2500m)に挑戦してもらって、3歳馬の代表として古馬のトップクラス相手にどれくらい戦えるのか見てみたかったな、という思いもありましたが、まずはGIIのタイトルを狙って、今後のステップアップにつなげていく、というのは妥当な判断でしょう。

 サトノフラッグも侮れません。菊花賞では、コントレイル、アリストテレスの争いから大きく離されての3着でしたが、中山コースでの経験と実績はアリストテレスより上。それどころか、今回の条件は古馬を含めても、同馬に最もプラスに働きそうな気がしています。

 昨年の1月に中山で2勝目を挙げて、続くGII弥生賞(中山・芝2000m)では重馬場のなか、"これぞ中山の勝ち方"というマクりを見せて圧勝。その後、皐月賞では5着に敗れたものの、秋初戦のGIIセントライト記念(中山・芝2200m)では"負けて強し"の2着でした。

 東京コースでは新馬戦で6着、ダービーで11着と大きく崩れていますが、中山では最も悪かった皐月賞でも5着と掲示板を確保しています。同馬のレースぶりを含め、現役屈指の中山巧者へと成長していきそうな雰囲気があります。今回、その一端を垣間見せてくれることを楽しみにしています。

 これら2頭に限らず、ヴェルトライゼンデ、ウインマリリンら明け4歳馬たちのレースぶりには、とにかく注視したいと思っています。この世代のがんばりが、今年のGI戦線の盛り上がりに直結しますからね。

 翻(ひるがえ)って、今回のAJCCの「ヒモ穴馬」には年長馬をピックアップ。いかにも中山・芝2200mというトリッキーな舞台が合いそうな1頭を取り上げたいと思います。



力をつけたサンアップルトン。AJCCでの大駆けがあっても不思議ではない

 柴田善臣騎手が騎乗するサンアップルトン(牡5歳)です。前走のGIIアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)で3着。その走りを見て、本当に力をつけているなと感じました。

 これは、具体的な成績や数字というより、個人的な第一感なのですが、サンアップルトンはAJCCで走りそうな、渋いタイプだと思います。今までも、AJCCやGII日経賞(中山・芝2500m)、GIIオールカマー(中山・芝2200m)といった中山の長めの距離の重賞では、"こういう条件でこそ"という馬が活躍してきました。AJCCの過去の勝ち馬にも名を連ねるマツリダゴッホ、ネヴァブション、ヴェルデグリーンらがいい例です。

 サンアップルトンも、まさにそういう1頭だというイメージがあります。

 中山で2勝を挙げていますが、その他にも福島・芝2600m戦や、やや重の新潟内回りコースの芝2200m戦で勝っていて、ことさら小回りやタフな条件で強いという印象があります。昨年は日経賞4着、オールカマー6着という結果でしたが、力をつけた今なら、それ以上の成績が残せるのではないか、と期待しています。

 柴田善騎手は先週ケガから復帰して、早速リュウノユキナで今年の初勝利を飾りました。私は45歳で騎手を引退したのですが、柴田善騎手は現在54歳。この年になって、骨折してもきちんと復帰して、しっかりレースに乗って結果まで出しました。その姿に、感動さえ覚えました。

 そんな柴田善騎手とともに、サンアップルトンにはがんばってほしいと思っています。