「自分が巡り合ってきた人たちのような指導者になりたい気持ち」

 楽天ドラフト1位の早川隆久投手(早大)は12日、仙台市内で行われた新人合同自主トレの第1クール(3日間)を終えた。休養日を挟んで14日から始まる第2クールへ向けて「運動量を上げていくとともに、自分に足りない部分を自主練習で補っていきたい」とプランを描く。身体能力のみならず、その頭脳も半端ではない。

 早川がいま練習の傍らで取り組んでいるのが、大学の授業で出された課題だ。とはいえ、“最難関”の卒業論文は昨年12月に提出済み。「胸椎と下半身の連動性」をテーマに、人間や物の動きをデジタル的に記録する「モーションキャプチャ」を使って、自分の投球を3次元解析。ストレートを投げる時と変化球を投げる時とで、捻転差(上半身と下半身の回転差)にどれほどの違いがあるかを調べた。「今後、もし自分がセカンドキャリアで指導者の道に進んだ時、指導に役立つかなという思いもあってテーマを決めた」と言う。

 結果的には「思っていたほどの違いがなく、微妙な感じで卒論を書き終えました」と笑ったが、早大スポーツ科学部スポーツ科学科でスポーツ教育を専攻して得た知識、ノウハウは、プロ生活でも生きるはず。「球団スタッフの方々のアドバイス、意見を取り入れながら、さらに進化していけたらと思います」とうなずいた。

教職課程を履修したのは「セカンドキャリアのためにも…」

 一方で、中学・高校体育の教員免許も取得できる見通しとなった。教職課程を履修した分、卒業に必要な単位は増えた。数多くの授業を抱え、野球部の全体練習に参加できないこともあった。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で教育実習の受け入れ先が無く、オンライン授業で代替。主将兼エースを務めた野球部も、東京六大学の春季リーグ戦が真夏の8月に延期されるなど、文武両道にわたって不測の事態続きだった。

「早大に進学した時からプロ野球を目指していましたが、(教職課程を履修したのは)自分が巡り合ってきた人たちのような指導者になりたい気持ちも少しはあったから。セカンドキャリアのためにも、教職を取っておいて損はないと思いました」

 卒論で自分の投球を解析したのも、現役引退後のセカンドキャリアまで視野に入れてのことで、人生設計能力の賜物だと言える。苦しくてもやり通す突破力は並大抵ではない。

 教職課程の授業が、野球に好影響を与えた部分もある。「実は、自分はカナヅチで泳げなかったので、水泳の授業が一番苦しかった」と告白。しかし「1学年上に(水泳の)池江璃花子さんのお兄さんがいらっしゃって、その方に教えていただいて泳げるようになった」。その結果「水泳を取り入れて、コンディショニングの整え方が変わってきた。競技生活に生きていると思います」と言うのだ。ドラフトで4球団から1位指名された最速155キロ左腕は、バイタリティにあふれている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)