1月7日、RIZINバンタム級王者の堀口恭司がオンライントークLIVE『Memolete Live』(主催:AthReebo株式会社)に登壇した。イベントでは、2020年の大晦日に行われた朝倉海とのタイトルマッチへの準備、信頼するコーチの…

 1月7日、RIZINバンタム級王者の堀口恭司がオンライントークLIVE『Memolete Live』(主催:AthReebo株式会社)に登壇した。イベントでは、2020年の大晦日に行われた朝倉海とのタイトルマッチへの準備、信頼するコーチの存在、武尊と那須川天心の仮想試合展望など、ファンとの興味深いやりとりが繰り広げられた。今回はそのやりとりの一部をお伝えする。



オンライントークイベントで質問に答える堀口

――まず、試合が終わった今の気持ちを教えてください。

「自分はいい意味で練習と同じように試合ができるので、本番でも緊張はしませんでした。だから今も特別な感じはないですね。ケガ明けなので、ちょっとゆっくりしようかなと思っています。久しぶりの日本ですから、豚骨ラーメンを食べにいったり、釣りをしたりして楽しみたいですね」

――試合後にはご両親と話をされましたか?

「試合が終わったあと、すぐに電話がきたんですけど、取材対応などでほとんど時間がなくて。翌日に実家に帰って話をしました。『よくやった!』と喜んでくれましたよ」

――リングの上で朝倉選手と向き合った時は、どんな感じでしたか?

「いつも、相手選手と向き合って顔を見ても、別に何も思わないんです。だから今回も機械みたいに『無』でした」

――試合が始まる前に、朝倉選手の肩をトントンと叩いて、普段見せないような動きをされたと思うのですが。

「あれは決めていたわけじゃなく、とっさのことでした。対戦をすごく待たせてしまったので、『ごめん、ごめん。待たせてすみません』みたいな感じで。たぶん海くんは、『なんだ?』と思ったんじゃないかな。こっちの気持ちは通じていないでしょうから」

――あらためて、勝敗を分けたポイントは?

「早いうちにペースを握れたことだと思います。自分は、いつもは距離を取って戦うんですけど、今回は詰め気味にいったんですよ。だから海くんは面食らって、自分の動きが出せなかったんじゃないかと。

 今回の試合に向けた『プランA』は、パンチを見せながら、組んで寝技に持っていくという作戦だった。でも、向き合った時にカーフキックをよけないし、いけると思ったので『プランB』のカーフキックでいきました」

――前回の敗戦を受けてかなり分析したと思うのですが、今回「これだけはやっちゃいけない」と思っていたことはありますか?

「自分が映像を見たのは5、6回くらいで、それで海くんの癖は分析できました。でも、(コーチの)マイク・ブラウンは、ずっと(朝倉選手の試合映像を)見ていましたよ。来日してからの2週間の隔離の間も、マイクのスマホを覗くと、いつも海くんの試合(笑)。そのおかげで、(マイクが)海くんの癖をマネして対策練習をしてくれたから、すごく役に立ちました。

 これは(言い訳になってしまうので)あまり言いたくないんですけど、前回はあまり体調がよくなかったんです。『早く決めなきゃ自分の体がもたない』と思って、急いでしまったことでカウンターをもらい、あのような結果になったと思っていたから、今回は焦らずに。セコンドの指示も、ずっと『焦るな!』『行くな!』ばかりでした」

――堀口選手が所属するアメリカントップチーム(ATT)の名参謀と言われる、マイク・ブラウン氏のすごさを教えてください。

「本当に『すごい』のひと言。格闘技なしでは生きていけない人です。毎週、土日にはUFCの試合があるんですけど、ATTはめちゃくちゃ選手が多いから1、2人は出場するんですよ。(マイクは)そこに毎回セコンドでついているので、プライベートな時間はほぼない。普段の練習もプライベートレッスンで、1日に5人指導したりしています。研究熱心だし、コーチとしたら他に比べる人がいないくらいですね」

――朝倉選手との試合後に、マイク・ブラウン氏はすぐにアメリカに帰りましたよね。

「翌日には帰りました。1月23日のUFCの試合でセコンドにつかないといけないので。彼は人間性もすごいんですよ。自分は最近フロリダに家を買って、掃除ロボットの『ルンバ』を使っているんですが、それが壊れてしまって。試合のために日本に飛んでしまったので壊れたルンバをカスタマーサービスに送ることができなかったんですが、その手続きを今、ブラウンがやってくれています(笑)」

――試合直後に「イージー・ファイト!」と叫んだことで、SNS上で論争が巻き起こっていましたが、その真相を聞かせてください。

「みんなは海くんに言ったように捉えていますけど、マイクに言ったんです。『プランがうまくいった』というのと、膝のケガによって『堀口恭司、勝てないだろ』っていう声もあったから、『やってやったぞ』みたいな意味を込めた言葉。みんな勘違いして『簡単な試合だった』と解釈したみたいなんですけど、『そうじゃないって!』と言いたかったですよ」

――朝倉選手とは、試合後に再戦の話をしたそうですが。

「海くんが『再戦をお願いします』と言ってくれたんで、『タイミング見て』という感じで答えました。もう一回やってもいいんですけど、もう少し(時間を)置きたいですね。日本で盛り上がるカードがなくなっちゃうんじゃないかと思うので」

――ほかのニュースでは、朝倉兄弟に対してバシッと言っているコメントが見られます。おおらかな堀口選手らしくない印象もあったのですが。

「自分はそんなに言わないので、盛られているところもありますよね。まあ仕方ないですけど、自分がどんどん『敵』になっている感じはします(笑)」

――ちなみに、K-1の武尊選手が試合に観にきていました。堀口選手は以前、武尊選手と那須川天心選手が戦ったら、「武尊選手が勝つんじゃないか」と予想していました(『ゴング格闘技 2019年7月号』)。現時点でもその予想は変わっていませんか?

「戦いに絶対はないので難しいですよ。でも、今は天心くんがちょっと上かなぁ。60%くらいは天心くんが勝つかなと思っています」

――どのような試合展開を予想しますか?

「武尊くんはいつもガンガンいくじゃないですか。でも天心くんの反応がいいので、カウンターを警戒して見合う形になると思うんですよ。天心くんは見合った状態から一発入れるのがうまいので、天心くんがペースを作っていくんじゃないかと」

――ご自身の次戦は、ベラトールのベルトを獲りにファン・アーチュレッタ選手と戦うことになると思うのですが、いつ頃戦う予定でしょうか?

「3月14日に東京ドームでRIZINを開催するという話が出ていますが、1月は休む予定なので、4〜6月あたりに(ベラトールの)試合ができればいいなと思います」

――2015年にUFC世界フライ級タイトルマッチで敗れた、(現在はONEチャンピオンシップで戦っている)デメトリアス・ジョンソンとの再戦はあるのでしょうか?

「団体の壁があるのでちょっときついかなと。過去に負けているので、そういう壁がなければやりたいなとは思っていますが。でも、まずは(2019年11月に)返上したベラトールのベルトを獲りたい。そこで防衛するところまでクリアしたら、次にいきたいと思っています」