「ゴロ投手」は外国人投手らツーシームを武器とする投手が多く並ぶ 投手によって分かれる投球のスタイル。ゴロを打たせることが…
「ゴロ投手」は外国人投手らツーシームを武器とする投手が多く並ぶ
投手によって分かれる投球のスタイル。ゴロを打たせることが得意な投手もいれば、アウトをフライ中心に奪う投手もいる。その傾向によっても投手起用が変わることもある。併殺打を打たせたい場面では、ゴロを打たせる傾向の強い投手を送ることも戦略の1つとなる。
では、昨季のプロ野球でゴロを打たせることの多い、いわゆる「ゴロピッチャー」と、逆にフライを打たせることの多かった「フライピッチャー」は誰だったのか。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータをもとに検証してみよう。
昨季20イニング以上に登板した投手の中で、それぞれ打球におけるゴロ割合、フライ割合の多い投手をそれぞれ見ていってみよう。
まずは「ゴロピッチャー」だ。
○ゴロ割合の高い投手
1 大竹寛(巨人)74.3%
2 山本拓実(中日)64.0%
3 青柳晃洋(阪神)63.7%
4 B・ディクソン(オリックス)62.6%
5 R・スアレス(阪神)62.5%
6 高梨雄平(巨人)61.9%
7 小川龍也(西武)61.3%
8 塹江敦哉(広島)60.7%
9 J・ガンケル(阪神)60.2%
10 J・フローレス(ロッテ)59.7%
昨季20イニング以上を投げた投手の中でゴロ割合が最も高かったのは巨人の大竹だ。打球におけるゴロ割合は実に74.3%にもなり、10球のうち7球以上がゴロになることを示している。もともとゴロ割合の高い大竹だが、昨季は全投球のうちツーシームが41.9%と例年以上に多くなっており、よりゴロ割合が高くなった要因と考えられる。
フライ割合が高かったのは日本ハムの秋吉と宮西のリリーバー
2位の中日・山本は64.0%と、こちらも6割を超えるゴロ割合に。阪神の青柳は規定投球回到達者では群を抜くゴロ割合63.7%となり、先発投手でただ1人、ゴロ割合の上位10人に入っている。上位10人を見ると、外国人投手を中心にツーシームを武器とする投手が数多く並んでいる。
続いて「フライピッチャー」を見ていこう。
○フライ割合の高い投手
1 秋吉亮(日本ハム)70.0%
2 宮西尚生(日本ハム)61.2%
3 中村祐太(広島)60.4%
4 本田圭佑(西武)60.0%
5 中田廉(広島)57.8%
6 吉田凌(オリックス)57.6%
7 西村天裕(日本ハム)57.4%
8 山中浩史(ヤクルト)57.0%
9 増田達至(西武)56.8%
10 鈴木優(オリックス)56.4%
フライ割合が昨季最も高かったのは日本ハムの秋吉で、70.0%と20イニング以上を投げた投手で1人だけ70%を超えていた。秋吉はこれまでもゴロよりもフライが多い傾向のある投手だったが、昨季はそれがより顕著に。2位の宮西はこれまでどちらかと言えば、ゴロ傾向の強い投手だったが、昨季はフライが多い結果となっている。
ゴロ割合もフライ割合も上位に並んだのはリリーフが多くなっており、青柳以外の先発投手では、大きく割合に差が出る投手は少なかった。なお、規定投球回到達者でフライ割合が最も高かったのは楽天の涌井秀章投手(51.9%)で、巨人の菅野智之投手(47.3%)、オリックスの田嶋大樹投手(46.9%)と続く。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。