1月3日、全国高校サッカー選手権大会の3回戦が行なわれ、プロ入り内定4名を擁する昌平(埼玉県)が初出場の創成館(長崎県…

 1月3日、全国高校サッカー選手権大会の3回戦が行なわれ、プロ入り内定4名を擁する昌平(埼玉県)が初出場の創成館(長崎県)を3-0で破り、前回大会につづいてベスト8に進出した。



高校サッカー選手権ベスト8に進んだ昌平。須藤直輝がゴールを決める

 前半に3点を奪った昌平が終始優位に進め、優勝候補の力を見せつけた一戦だった。なかでも秀逸だったのが、攻撃から守備、守備から攻撃への切り替え。いわゆる「トランジション」である。

 昌平と言えば、鹿島アントラーズ加入内定のMF須藤直輝、MF小川優介、アルビレックス新潟加入内定のFW小見洋太らが起点となって繰り広げる、攻撃的なスタイルが特徴だが、それを可能にしているのが、この攻守の素早い切り替えだ。

 昌平の攻撃スタイルは、狭いところへと怯まずにドリブルやパスで入っていくところである。もしボールを奪われても、すぐさま守備に切り替えて、ボール保持者にアタックする。

 これを言葉で説明するのは簡単なのだが、実際にやりつづけるのは難しく、ましてや4日間で3試合目というハードスケジュールのなかで実行しつづけるのは、並大抵のことではない

 この試合、昌平が決めた1点目と2点目は、守から攻への素早い切り替えが生んだゴールだった。1点目は奪われたボールに対して、須藤、小川が体を張ってアプローチに行くと、最後は1年生の荒井悠汰が拾い、ドリブルからコントロールシュートを流し込んだ。

 2点目は左サイドの高い位置で3人がかりでボールを奪うと、そのうちのひとり、須藤が相手の背後のスペースへ猛然とダッシュ。そこに小見からのスルーパスが通り、エースが鮮やかにゴールネットを揺らした。

「(相手は)やり方を研究してきている。もっとできると思っているが、全国大会なのでマークが厳しい。そのなかで、もっとドリブルなどでチャンスをつくれたらなと思っている。今日の1点は、結果という面では自分のよさは出せたと思う」(須藤)

 昌平はワントップの小見も献身的な守備が特徴で、昨年の選手権時から目立っていた。そこに須藤も絡んでいくので、その後ろの中盤のフィルター役である小川、柴圭汰(福島ユナイテッドFC入団内定)が前向きでボールを奪うことができ、スムーズに攻撃へとつなげられていた。

 須藤と同じく鹿島アントラーズに進む小川は、試合を決定づける3点目のミドルシュートを決めた。昨年の選手権でも、その技巧と戦術眼が全国レベルであることを示していたが、3年生になってスピードとパワーが上積みされたように見える。

 良いボランチの条件のひとつに「攻撃時に守備のことを考え、守備時に攻撃のことを考えられる」というものがある。小川は高い予測力と判断力で攻守に関わり、素早いトランジションを牽引していた。

 昌平の攻守の切り替えについて、対戦した創成館のキャプテン・岩﨑雄永は「切り替えが速く、さすが日本の高校で上に行くチームだと感じた」と感想を述べている。

 須藤、小川、芝、小見の"J内定4人衆"は全員身長が170cm以下と小柄だが、ボールサイドに2人、3人と人数をかけて奪いにいくので、そのハンデを感じさせない。むしろ、小柄で足元の技術と俊敏性に優れているので、局地戦を仕掛けることで優位性が際立つ。

 サッカーは攻撃と守備が表裏一体のスポーツだが、昌平のサッカーはまさにそれを体現している。須藤は言う。

「昨年の結果(ベスト8)を塗り替えるために一年間やってきた。難しい試合を積み重ねてきて、ベスト8という最初の試練に向かえるのはうれしい。絶対に勝たなければいけないとの強い思いはある。みんなで準備してやっていきたい」

 1月5日の準々決勝の相手は、山梨学院(山梨県)に決まった。昌平同様、攻守の切り替えと敏捷性、技術に定評のあるチームだ。中1日の休養を挟んで迎える準々決勝は、高強度のなかで、高い技術の応酬が繰り広げられる試合になるだろう。