2020年の締めくくりに行われた「RIZIN.26」で、堀口恭司が朝倉海に1ラウンドTKO勝ちし、RIZINバンタム級タイトルを奪還した。 ・今すぐ読みたい→【RIZIN】鬼のメンタル・堀口恭司「たとえ不安であっても、何事もプラ…

 2020年の締めくくりに行われた「RIZIN.26」で、堀口恭司が朝倉海に1ラウンドTKO勝ちし、RIZINバンタム級タイトルを奪還した。

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【RIZIN】鬼のメンタル・堀口恭司「たとえ不安であっても、何事もプラスに捉える」 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/kyojihoriguchi-serialization-64/



やられたらやり返す—。当時売り出し中だった朝倉海にまさかの1ラウンドKO負けを喫し、辛酸をなめたあの日から約500日。右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の大怪我を乗り越えて上がった復帰戦で、堀口恭司が勝利の雄叫びをあげた。

試合を見た元総合格闘家の大山峻護さんは、逆境から這い上がってきた堀口のメンタルに感服。このリベンジマッチを絶賛した。

「神がかったいい試合でしたね。ここまでのストーリーが、500日かけてでき上がった映画みたいでドラマチックな試合。コロナ禍でみんなが大変な思いをしてきたなか、最後に素晴らしい試合を見せてもらいました。世界のトップを走ってきて、日本のMMA(総合格闘技)史上最高傑作と言われた男(堀口)が、アウトサイダーから成り上がってきた男(朝倉)にすべてを持っていかれて、そしてアスリートとして致命的な前十字靭帯断裂。その上、世界的な新型コロナの蔓延で、気持ち的にも環境的にも、選手生命が終わってしまうような人もいると思います。でも堀口選手はそのネガティブな要素すらを力に変えてしまいました。本当に堀口選手のメンタリティは異次元です」

試合を決定付けたカーフキック(ふくらはぎへの蹴り)について、大山さんはこう語る。

「足を滑らせるように蹴るので、動作が小さくてそれだけ初動が速い。初動が速いから相手からすると反応しにくい。しかも、怪我をした方の足で蹴ってくるということがすごい。普通だったら無意識で守ってしまいます。怪我で壊れてしまった足で攻めて、それで勝負の流れを変えてしまった。本当に凄まじい選手です」

試合前に「早い展開で試合が決まるかもしれない」と予想していた大山さんの読みはズバリ的中。

「怪我をする前と全く違う戦い方で来るだろうなと思っていましたが、見事に戦略がはまりましたね。堀口選手の所属するATT(アメリカントップチーム)は最高峰のコーチ陣なので、今までと全く同じ戦い方をするということはありえないなと思っていました。堀口選手は今まで、松濤館流の距離をとってそこから強い踏み込みでアタックするという戦い方でしたが、今回僕はテイクダウン狙いで距離を縮めてくるんじゃないかなと思っていました。実際に最初の間合いを見たら、どんどん圧をかけていったので、やっぱり今までと違う戦い方なんだなって思いました」

試合後のインタビューで、カーフキックの他にグラップリングも用意していたが、朝倉選手と対峙してカーフキック主体に切り替えたと明かした堀口選手。

「状況に応じて変化できる選手は本当に強い。それだけ引き出しもあるし、余裕もある。強い選手は戦略をたくさん立てられるし、それを場面によって使い分けられます。朝倉選手も戦略を立てられる選手だけど、堀口選手はそれを上回っていましたね。堀口選手が予想していない動きを見せてきたから、朝倉選手が慌ててしまっていました。どんな一流選手でも想定外になった時には思考停止になってしまうので、最高の場合から最低の場合までいろんなパターンを考えておく。その中でできるだけ自分の想定内で戦うことが大事。状況に応じて変化できる選手は強いですし、『変化』って今まさにキーワード。コロナ禍でいかに状況に応じて変化していくか、それは格闘技以外でも当てはまると思います」

大山峻護さん

最強の新旧王者による一戦を見届けた大山さんは、この試合の意味を熱く語った。

「朝倉選手は進化のスピードが凄まじく、時代を掴んだオーラがあります。距離感やタイミングも抜群で、一発で決められる驚異的なパンチを持っています。勢いや流れ的には朝倉選手有利という中で、それをひっくり返した堀口選手はやはりすごいです。キャリア初のKO負けから大怪我という、どん底にも見える状況から立ち上がって、チャンスを掴み取った姿は僕たちへのメッセージだと感じました。諦めなければ立ち上がることができるんだって、生き様で見せてくれたし、その思いがあるからこそ強い心を保つことができたんだと思います。あれだけの試合を見せてもらったからには、暗い話題の多い状況でも前進していこうと思わされましたね。試合前から、試合中も、試合後の余韻まで、満喫させてもらいました」

ネガティブな状況でも準備期間として前向きに捉えること、諦めないこと、周りの雑音に惑わされず信じること、状況に応じて変化すること、堀口自身の想いや信条を自らの勝利で体現した。チームやファン、家族や支えてくれる人全てに最高の結果で恩返しをした。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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大山峻護(おおやま・しゅんご)

5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版。

大山峻護さんInstagram
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「科学的に証明された 心が強くなる ストレッチ」
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