髙田延彦のRIZIN.26展望 前編 今年も注目カードが目白押しのRIZIN.26。その中でもやはり、メインカードの朝倉…
髙田延彦のRIZIN.26展望 前編
今年も注目カードが目白押しのRIZIN.26。その中でもやはり、メインカードの朝倉海と堀口恭司によるバンタム級タイトルマッチを楽しみにしているファンは多いだろう。
昨年8月には朝倉海が1回KO勝ちを収め、同年の大晦日に再戦がある予定だったが、堀口のケガで実現しなかった。堀口の長期離脱を経て実現したリマッチの観戦ポイントを髙田延彦氏が熱く語った。

前回の対戦では朝倉海(左)が堀口恭司(右)に1回KO勝利 Photo by Nikkan Sports/AFLO
――今大会最大の注目カード、朝倉海選手と堀口恭司選手のバンダム級タイトルマッチについて、髙田さんの注目ポイントを聞かせてください。
「このカードは『黙って見ておけ』というくらい、飾る必要のないドラマティックなストーリーがあります。前回の対戦では、試合開始68秒で朝倉海選手がKO勝ちを収めました。この2人があれから日々進化している姿を見ていると、内容の予想は立てづらいところですが......まずはスタンドでの攻防が中心になるのではないでしょうか。
お互いにチャンスがあれば一気に仕留められる決定力を持っているので、序盤に勝負が決する可能性も十分にあります。でも、両者がすべてを出し切って判定にもつれ、5分3ラウンドの試合を存分に堪能できたなら、それもファンにとっては『ご馳走』ですよ。どんな展開になるにせよ、この試合は理屈抜きに楽しんでもらいたいですね」
――前回の対戦から1年4カ月が経ちました。その間、堀口選手はケガで長期離脱し、朝倉選手もマネル・ケイプ選手に敗北しています。両者の気持ちの面で、どのような変化があると思いますか?
「深層心理はわからないですが、堀口選手から見ると1年4カ月のブランク明けの復帰戦で、もっとも勢いのあるチャンピオンと戦うことになります。こんな選択は普通なら誰もしませんよ。これは『失ったチャンピオンの座に一刻も早く戻る』という、強い思いを持った彼ゆえの選択だと思います。

朝倉海vs堀口の展望を話した髙田氏 photo by Tanaka Wataru
一方で朝倉選手は、心技体すべての状態が昇竜の如く上がり、準備万端と言えるでしょう。彼は大舞台での緊張感を楽しむことができる稀有な才能を持っています。前回の対戦と異なり、今回は堀口選手からの挑戦を受ける立場なので、平常心でリングに立つことができるかがカギになる。しかし、前回の対戦の直後に『堀口選手は得意なタイプでした』と言いのけたように、メンタリティが崩れることは考えにくいです。むしろ、『俺の成長を見てくれ』と言わんばかりに、のびのびと戦ってくれるのではないでしょうか」
――前回の対戦では、「堀口の弱点を朝倉兄弟が徹底的に研究をしていた」ということがよく報じられていましたが、堀口選手の弱点についてどう考えていますか?
「朝倉兄弟は、堀口選手には動きの中で踏み込んでいく癖があると分析していました。しかし、分析することと実行することは別。実際の戦いの中で弱点を突くことは本当に至難の技ですが、それを前回、朝倉選手は実行したわけです。
なので今度は、堀口選手側がチームと一体になって修正をしてくると思います。情報戦は乗り遅れた側がハンデを負うことになる。両陣営共に総力をかけて相手を分析して乗り込んでくるでしょうね」
――2人とも作戦を遂行できる能力が十分に備わっていると思いますが、観戦ポイントを挙げるとしたら?
「朝倉選手はそんなに大きくスタイルを変えてくることはないと思いますが、堀口選手はこの試合に向けてじっくり"自分作り"をしてきたはずです。彼がどの部分を『かさ上げ』してきたのかを、戦いの中で感じて見てほしい。リング内の濃密な時空間の中で、本能的な嗅覚で嗅ぎ分け、日頃から積み重ねてきたことを生かし、相手の急所に噛みつくことができるか。それが勝負を分けます。本当に一瞬たりとも目の離せない『まばたき厳禁』の戦いになるはずです」
――朝倉選手は海外挑戦を口にしています。もしここでもインパクトを残すような勝ち方をしたら、一気に世界の舞台に行ってしまうことも考えられそうですが。
「堀口選手は、ベラトールとRIZIN、修斗で世界を獲っていて、20代で伝説になった選手。その選手を相手に大きなインパクトを残すような勝ち方をしたら、朝倉選手の株が本格的に急上昇し、引く手数多になると思います。すでに、『RIZINは(海外挑戦のため)チャンピオンがいなくなってしまう』というジンクスは生まれていますけどね(苦笑)」
――RIZINとしては、この2人にはずっと残ってもらいたいのではないでしょうか。
「それは微妙です。RIZINでチャンピオンになった選手が、例えばUFCに挑戦してチャンピオンになってくれたら、こんなに嬉しいことはないですよ。そうすることでRIZINの価値が上がり、日本人ファイターへの評価・信頼度が上がり、リスペクトへと繋がります。寂しいけど世界でも活躍してほしい、といったところですかね」
(後編につづく)