髙田延彦のRIZIN.26展望 後編 前編から読む>> 前編で、RIZIN.26のメインを飾る朝倉海vs堀口恭司の注目ポイントを話した髙田延彦氏。その他にも、敗戦明けの朝倉未来、RIZIN初参戦の注目選手など、大晦日を熱く盛り上げそうなカー…

髙田延彦のRIZIN.26展望 後編 前編から読む>>

 前編で、RIZIN.26のメインを飾る朝倉海vs堀口恭司の注目ポイントを話した髙田延彦氏。その他にも、敗戦明けの朝倉未来、RIZIN初参戦の注目選手など、
大晦日を熱く盛り上げそうなカードについて聞いた。



RIZIN.26の注目カードについて語った髙田氏

----メインカード以外の試合の見所について、まず朝倉未来選手と弥益ドミネーター恥志選手の試合はいかがでしょうか?

「朝倉未来選手は、前回の斎藤裕選手との対戦でいろいろなものを巻き込み、多くのことを考えさせる試合をしましたよね。結果的に敗れはしたものの、『朝倉未来』という名前を傷つけず、逆にブランド化しました。そんな彼が、前回の敗戦からたった1カ月で出場してくれることは、MMA界への大きなプレゼントだと思います。

 朝倉選手がこの大晦日に参戦することを決めた裏側には、日本の格闘技界を背負うという自覚はもちろん、敗者として過ごしたくないという彼のポリシーが垣間見える気がします。一方、弥益ドミネーター恥志選手にとっては千載一遇のチャンスですね」

----今回、朝倉選手は攻める試合をすることを明言しているようですが、試合開始から一気に仕掛けるような試合になるでしょうか。

「最初から飛び出していくかは未知数ですが、朝倉選手は斎藤戦で感じたマイナスポイントはしっかり修正して試合に臨んでくると思います。彼は相手だけではなく、自分のこともしっかり分析できる選手ですからね」

----弥益ドミネーター恥志選手もDeepの元チャンピオンですし、ひと筋縄ではいかなそうですが。

「弥益ドミネーター恥志選手の打撃は思い切りがいいですし、グラウンドも強いです。アームロックをはじめ、関節技はオールラウンドにできて、しかも変則的に仕掛けてくる。朝倉選手にとってミスは禁物です。逆に、ドミネーター選手から見れば、ミスを狙えれば"美味しい"結末が待っているかもしれません」

----その他に、髙田さんが特に注目しているカードはありますか?

「アマレスから転向し、デビュー戦となる太田忍選手が所英男選手相手にどのような戦いをするかは見ものです。太田選手は、ワールドクラスのテイクダウン能力を持っていますが、対戦する所選手も下になると非常に力を発揮する選手。なので、一瞬の隙を与えることも許されないグラウンドでの攻防になると思います」

----太田選手はやはりグラウンドに勝機を求めるべきなのでしょうか。

「今のバンダム級で勝っていくには、打撃の能力が絶対に必要です。荒削りでもいいのですが、太田選手が強い打撃を持っているのか、この1試合で分かるでしょう。彼の今後のポテンシャルを見極めるにあたって、とても大事な部分ですね」

----太田選手にとって理想の展開は?

「スタンドの打撃で自分から仕掛けていき、可能であればKOを奪うことが一番の理想です。太田選手にはオリンピックでメダルを取った経験がある。彼の体幹の強さや肩の強さがあれば、少々荒いパンチでも当たれば倒すことが可能です。所選手をKOすることができたら、強烈なインパクトを残せますよ。

 また、彼がこれまでやってきたグレコローマン独特のジャーマンスープレックスなんかも見せてもらいたいですね。会場を沸かせつつ、『バンタム級四天王(扇久保博正選手、石渡伸太郎選手、元谷友貴選手、佐々木憂流迦選手)との対戦を見てみたい』と思わせたら"勝ち"だと思います」

----その四天王の元谷友貴選手vs井上直樹選手、佐々木憂流迦選手vs瀧澤謙太選手のような、実力者同士の試合が組まれています。

「バンタム級四天王の元谷選手や佐々木選手が、若くて勢いのある相手にどん戦いをするかは、今後のバンタム級戦線を占う上でとても重要です。また、それ以外では、太田選手と同様にデビュー戦となる平本蓮選手が楽しみです。

 K-1から転向した彼はなかなかのビッグマウスで、すでにキャラクターが立っている。誰にも文句を言わせない勝ち方をして実力を証明し、斎藤選手や朝倉未来選手といったフェザー級のトップの選手に絡んでいけるポテンシャルを見せてほしいです」

----RIZINは朝倉未来選手が頑張ってきたことにより、フェザー級にもいい選手が集まってきていますね。

「今後の展開が楽しみです。斎藤選手が朝倉選手に勝ったことで、この階級にマグマのような熱い塊を作ることができました。フェザー級に強いスポットライトが当たるようになったという点で、2人は非常に大きな仕事をしたと思っています。今後のタイトルを占う意味で、カイル・アグォン選手vsクレベル・コイケ選手にも注目しています」

----注目カードが目白押しですが、最後にファンにひと言お願いします。

「今年は新型コロナウイルスの影響で、昨年のように外国人が来日できない状況ですが、これまでの戦いの中で生まれたストーリーが最大限に活かされたカードが組まれました。2020年を締めくくる意味でも、2021年のMMAを占う意味でも、この熱い戦いから目を離さないでほしいですね」