『ホンダ NSX』ホンダ初のミッドシップ・スポーツカー開発史著者:上原 繁発行:三樹書房定価:4500円+税ISBN978-4-89522-741-42020年にデビュー30周年を迎えたホンダ『NSX』。その6年間にわたる開発の経緯と、発売…

『ホンダ NSX』
ホンダ初のミッドシップ・スポーツカー開発史
著者:上原 繁
発行:三樹書房
定価:4500円+税
ISBN978-4-89522-741-4

2020年にデビュー30周年を迎えたホンダ『NSX』。その6年間にわたる開発の経緯と、発売後のモデル展開、ユーザー向けのソフト活動までを開発総責任者が綴った1冊が刊行された。

ホンダの“夢”を実現したスポーツカー、NSXの誕生と歩みなどのストーリーをNSXの開発総責任者(LPL)であった上原繁氏が著者となり、書き記したのが本書である。

「快適F1」を目指し1990年に発売されたNSXは、量産車世界初のオールアルミモノコックボディーを採用。サーキットでも街中でも、乗り手を選ばず快適に走りを楽しめる、全く新しいスポーツカーとして国内外で大きな注目を集めた。さらにその後、タイプR、タイプT、タイプS、NSX-R(後期型のタイプR)と様々なモデルを世に送り出し、世界中のファンを魅了。その開発経緯をLPL自ら語った1冊というのはファンならずとも非常に興味深いものだ。

その内容はまさに開発ストーリーで、そのきっかけから始まり、そのポイント、またデザイン開発にまつわるエピソード、アルミボディーや走りにまつわるプロジェクト進行など、クルマ1台を完成させるまでの経緯が、苦労や歓びとともに語られている。

巻頭口絵では、開発初期からのエクステリア・インテリアのデザイン画や珍しいモックアップモデル、プロトタイプ車から量産車まで、カラー画像60点以上が掲載されていることも貴重だ。本書後半では発売後の商品展開、特にType Rの開発なども語られているほか、ファンイベント、レース活動などにも触れられている。

本書を読みとおすことで、初代NSXが目指したかったことだけでなく、ホンダがNSXにかけた思いをつぶさに感じ取れるだろうし、自動車開発の面白さに触れることが出来るだろう。