17年は名球会入りとなる200勝に到達する投手の誕生は難しい状況だが、今年復活を目指す巨人・杉内俊哉は節目の150勝到達に最も近いところにいる。■現役勝利数2位の142勝、今年復活期す36歳左腕 2016年のプロ野球では広島・黒田博樹投手が…

17年は名球会入りとなる200勝に到達する投手の誕生は難しい状況だが、今年復活を目指す巨人・杉内俊哉は節目の150勝到達に最も近いところにいる。

■現役勝利数2位の142勝、今年復活期す36歳左腕

 2016年のプロ野球では広島・黒田博樹投手が日米通算200勝を飾り、現役を引退した。通算172勝のDeNA・三浦大輔も引退を決断。そのため現役選手のNPB通算勝利数のトップはヤクルト・石川雅規の152勝となった。36歳の左腕は昨年、球団史上3人目となる150勝に到達。入団1年目の02年から5年連続の2桁勝利を挙げるなどヤクルト一筋でここまでやってきた。

 そして次に続くのが、ここまで142勝の巨人・杉内俊哉だ。17年は名球会入りとなる200勝に到達する投手の誕生は難しい状況だが、今年復活を目指す男は節目の150勝到達に最も近いところにいる。

 度重なる故障を治療と強い精神力で乗り越えてきた杉内は今年プロ16年目のシーズンを迎える。最多勝、最優秀防御率、3度の最多奪三振、最優秀投手賞、MVPと数々の栄誉を手にしてきたが、15年シーズン中盤にずっと投球を支え続けてきた股関節に限界がきて、手術を受けた。過去にほとんど例のない症例で、マウンドに立てなくなる可能性もあるオペだったが、懸命のリハビリを経て昨年2軍戦で復帰。16年シーズンは入団後、初めて、1軍のマウンドに立つことはなかったものの、復活へ向けて準備を進めている。

 歴代通算奪三振は2156個で現役トップ。140キロの直球ながら、キレ味鋭いスライダーで右打者も左打者も関係なく、空振り三振を奪ってきた。杉内にとっての好調のバロメーターは、相手から空振りを奪えるかどうか。スライダーを生かすためのストレートのキレが最も重要だ。

■岐路に立つ36歳は復調に手応え

 術後の球速は140キロ前後で、術前のように戻ってきている。しかし、ストレートの出来には納得していない。ボールの回転、ベース盤付近のもう一押しが足りないからだった。

 そのため実戦復帰しても1軍では戦えないと、首脳陣も自分自身も判断。16年の登板は見送られ、秋季練習から次のシーズンに向け、投げ込みを開始した。秋季キャンプではチーム最年長で参加し、感覚を取り戻すために、必死に投げ込んだ。復調へ手応えをつかんだ。

 鹿児島実時代は甲子園でノーヒットノーラン。右投手の世代のナンバーワンが松坂大輔(ソフトバンク)なら左の世代ナンバーワンだった。ホークスでも輝かしい成績を残し、巨人でも12年にノーヒットノーランを達成。優勝請負人として活躍した。WBCでも日本代表として先発、中継ぎとフル回転した男が、野球人生の岐路に立つ。

 150勝は杉内にとっても大きな節目となるが、次の143勝目となる白星が何よりも価値のあるものになるだろう。まずは15年7月以来、2年ぶりの白星なるか。36歳の復活の瞬間を期待したい。