スポルティーバ厳選! Jリーグ年間MVP&新人賞 スポルティーバ編集部が発表している、独自選考のJリーグMVP。今回はリ…
スポルティーバ厳選! Jリーグ年間MVP&新人賞
スポルティーバ編集部が発表している、独自選考のJリーグMVP。今回はリーグを取材している識者5人に、年間MVPと新人賞を選んでもらった。MVPは5人、新人賞は3人を順位をつけて選んでもらい、合計ポイントで決定した(MVPは1位5ポイント、2位4ポイント......5位1ポイント/新人賞は1位3ポイント、2位2ポイント、3位1ポイント)。

シーズンを通して高い得点力を見せたオルンガがMVPに選ばれた
圧倒的な成績で優勝を決めた川崎フロンターレ勢が多く挙がったが、彼らを上回るインパクトを残したとしてMVPに選ばれたのは、柏レイソルのFWオルンガ。シーズンを通してゴールを量産しつづけた今季得点王に、各識者から賞賛の声が挙がった。また、新人賞は、セレッソ大阪のセンターバックとして高い能力を発揮した瀬古歩夢が獲得した。

オルンガ以外は、やはり川崎フロンターレ勢が上位を独占した
それではここからは、各識者の選考順位と、その評価を紹介する。年間を通して活躍した選手のプレーぶりを振り返りたい。
<年間MVP>
オルンガはJリーグから失いたくない選手
杉山茂樹氏(スポーツライター)
1位 オルンガ(柏レイソル)
2位 チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)
3位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)
4位 マテイ・ヨニッチ(セレッソ大阪)
5位 マテウス(名古屋グランパス)
川崎から選びたかったが、特定の選手を挙げにくい、チームスポーツの理想を見るかのような優勝劇だったので、MVPはリーグ全体に枠を広げて選ぶことにした。
となると、28ゴールを挙げ、得点王争いを独走したオルンガが浮上する。Jリーグにやってきた歴代の外国人選手のなかでも1、2を争う得点力。怪物だ。
現在26歳。欧州のクラブから再び、いつ声が掛かっても不思議ではない可能性を秘めた選手。Jリーグから失いたくない貴重な選手でもある。
2番手は優勝チームから出したい。GKチョン・ソンリョン。川崎が攻撃的サッカーを貫くことができるのも、最後尾に安心感をもたらしてくれるこの名GKがいるからだ。
3番手はオルンガにつづき、得点ランクで2位になった鹿島のエヴェラウド。鹿島に久々に現れた本格派ストライカーだ。それでいて多機能的な面もある。監督にとって使い勝手のいい選手だ。
4番手はC大阪の安定感抜群のCB、マテイ・ヨニッチ。今季のベストディフェンダーである。
5番手は名古屋のマテウス。今季のJリーグは、この選手の動向が大きく影響した1年だった。横浜F・マリノスの昨季の優勝は、この左利きのウインガーを名古屋から獲得したためで、今季の低迷、そして名古屋の飛躍は、そのマテウスが古巣に戻ったことと関係が深い。
田中碧は川崎優勝の最高殊勲者
小宮良之氏(スポーツライター)
1位 田中碧(川崎フロンターレ)
2位 三笘薫(川崎フロンターレ)
3位 オルンガ(柏レイソル)
4位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)
5位 ランゲラック(名古屋グランパス)
田中碧は、川崎優勝の最高の殊勲者と言える。戦術を動かしていた。シーズン前半はアンカー、後半はインサイドハーフが多かったが、攻守両面でカギを握っていた。
とにかくポジショニングに優れ、体格、パワー、スピードも非の打ちどころなく、弱点がない。背後を見ながら守れて、次のプレーを読んでインターセプトし、一方でボールを運べるし、攻め上がった時の迫力や精度も高かった。
昨シーズン、FC東京が優勝した場合、戦術の要だった橋本拳人はMVPに値したが、今シーズンは田中で決まりだろう。川崎はリーグ戦で3試合しか負けていない。3試合とも、田中は先発から外れていた。決して、偶然ではない。
三笘薫は当初、切り札的存在で"戦術外の選手"だった。相手の動きが鈍ったところ、変則的なドリブルで仕留める。マーカーはまったく止められていない。
もっとも、シーズンを戦うなか、三笘投入が、川崎の戦術を完結させることになった。彼自身が戦術の核になったとも言える。コロナ禍のなか、最も飛躍を遂げたルーキーだ。
オルンガは得点王を受賞。サッカーの原点であるゴールでスペクタクルを見せた。裏に飛び出し、ボールを受け、ゴールに放り込む。そのスピードと決定力は傑出していた。ヘディングやミドルシュートなど得点パターンが多く、マークを絞らせず、シーズンを通して得点を量産した。
エヴェラウドは、センターフォワードとしてのうまさ、怖さを同時に見せた。クロスを呼び込み、放り込む。その技術とパワーだけでも、一つのショーだった。ポストワークやサイドに流れるのもうまく、貢献度も高かった。
もし名古屋が優勝していたら、MVPはランゲラックだった。どれだけの勝ち点をチームにもたらしたのか。沈着冷静なセービングは、見事の一言に尽きた。
家長昭博のプレーが川崎の戦いを機能させた
原山裕平氏(サッカーライター)
1位 家長昭博(川崎フロンターレ)
2位 三笘 薫(川崎フロンターレ)
3位 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
4位 オルンガ(柏レイソル)
5位 清武弘嗣(セレッソ大阪)
川崎の圧勝の要因は、今季より導入した4-3-3による戦いがはまったことが大きい。その新機軸を機能させたのは、右ウイングに入った家長昭博だ。サイドの高い位置で起点となって、味方に中央のエリアを活用させる。あるいは正確なクロスでゴールを演出し、時には自らが中に切れ込んで豪快な一撃を見舞う。
優勝決定試合でのハットトリックのインパクトも強烈で、様々な役割をハイレベルにこなしたこのレフティこそが、今季のMVPにふさわしい。
圧巻のドリブルで見る者を魅了した三笘薫も、今季を代表する選手のひとりだろう。大卒ルーキーとは思えない存在感を放ち、川崎の優勝に大きく貢献した。その川崎のキャプテンとしてチームをまとめ上げた谷口彰悟も、シーズンを通してハイパフォーマンスをつづけた。圧巻の攻撃力を示せたのも、最後方から安定を担保した谷口の存在があったからだろう。
異次元のゴールショーを見せつけたオルンガも候補のひとり。相手に警戒されようとも、それを上回るフィジカル能力を見せつけて、ゴールを量産しつづけた。清武弘嗣はキャリアハイとも言えるパフォーマンスを披露。守備的なチームにおいて、このアタッカーの攻撃能力がチームを上位へ押し上げる要因となっていた。
オルンガは突出した個人成績とインパクト
中山 淳氏(サッカージャーナリスト)
1位 オルンガ(柏レイソル)
2位 家長昭博(川崎フロンターレ)
3位 チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)
4位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)
5位 稲垣祥(名古屋グランパス)
年間MVPは優勝チームから選出するのが妥当なところだが、突出した個人成績、見る者に与えたインパクトという点において、今季のオルンガの活躍ぶりはベストに値する。
年間28ゴールは、得点ランキングのダントツトップ。ズバ抜けた身体能力はもちろん、技術的な部分もJリーグのなかでは別格のレベルにある。シーズン途中に欧州のクラブに移籍しなかったことも、プラスアルファの評価として加えたい。
優勝チームからは、攻撃の要として数々の"味わい深い"プレーで違いを見せた家長昭博を2位に選出。シーズンを通してよいコンディションを維持し、出場した試合ではコンスタントにハイパフォーマンスを披露した。
3位は、川崎の守備の要として抜群の安定感を誇ったチョン・ソンリョン。シュートストップはもちろん、ハイラインをとるDFの背後に広がる広大なスペースも管理した。
4位は、鹿島の絶対的キーマンとして活躍しつづけたエヴェラウド。33試合出場、18ゴール、4アシストと、加入初年度から申し分のない成績を収めた。
5位の稲垣祥は、全試合スタメン出場を果たし、途中交代も1試合のみというフル稼働ぶりを最大限に評価。異例の過密日程のなか、しかもボランチでこの働きぶりは驚愕のひと言で、逆に来季が心配になるくらいだ。
谷口彰悟は総合的な貢献度大
浅田真樹氏(スポーツライター)
1位 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
2位 三笘薫(川崎フロンターレ)
3位 家長昭博(川崎フロンターレ)
4位 チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)
5位 オルンガ(柏レイソル)
まず大前提として、今季のMVPは川崎から選ばれてしかるべきである。唯一例外があるとすればオルンガだったが、終盤戦で得点ペースも落ち、あえて選ぶ理由もなくなった。
では川崎から誰を選ぶかだが、筆頭候補の家長昭博、谷口彰悟、三笘薫は甲乙つけがたく、最後は「何を重視するか」次第だろう。
今季の川崎が圧倒的な攻撃力を武器にJ1を制したことを考えれば、そこで中心的役割を果たした家長で決まりだ。しかし、家長は2018年にJリーグアウォーズでMVPを受賞しており、新鮮味に欠ける。
そこで浮上してくるのが、三笘だ。新人最多の13ゴールという数字もさることながら、攻撃の切り札として圧倒的な存在感を示した。インパクトだけで言えば、文句なしの今季MVPである。ただし、ネックとなるのは出場時間の短さ。途中出場の試合が多く、量的な貢献度で言えば、質的な印象ほどに高くない。
その結果、総合的に判断して1位に推したのが、谷口である。最終ラインから自慢の攻撃陣を支え、新キャプテンとしても、異例のシーズンにあって若い選手が多いチームをまとめた。質量両面で、優勝に最も貢献度が高かった選手と言っていいのではないだろうか。
ここに出場試合数(出場時間)が最多だったチョン・ソンリョンを加え、今季MVPのトップ5とした。
<新人賞>

新人賞ランキングのトップには、セレッソ大阪の瀬古歩夢が入った
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郷家友太は同年代のなかで抜けた存在
杉山茂樹(スポーツライター)
1位 郷家友太(ヴィッセル神戸)
2位 原大智(FC東京)
3位 瀬古歩夢(セレッソ大阪)
1番手は神戸のサイドアタッカー、郷家友太。前半こそ、途中交代が多かったが、後半はスタメンの座を獲得。選手として一段進化した。高卒(青森山田)で入団して今季で3シーズン目。ボールを持って前進する力に長けた選手だが、実績も光る。同年代の選手のなかでは抜けた存在だ。
2番手は191cmの長身FW、原大智。今季は交代出場が8割方を占めたが、長身選手と言えば、ベディングという従来像を打ち破る、躍動感に富んだ動きを披露した。日本サッカーに不足しがちな要素を備えた貴重な選手。3番手は昨季より出場機会を倍増させたC大阪のCB、瀬古歩夢にした。
瀬古歩夢はセンターバックとして熟成
小宮良之(スポーツライター)
1位 瀬古歩夢(セレッソ大阪)
2位 沖悠哉(鹿島アントラーズ)
3位 斉藤光毅(横浜FC)
瀬古歩夢はロティーナ・セレッソの守備の確立で、CBとして熟成した。左CBを担当できる数少ない選手。ヘディングなどコンタクトプレーに強いだけでなく、サイドチェンジで攻撃につなげるようなプレーもできる。ベストイレブンに選出されても不思議ではない出来だった。
沖悠哉は、年齢に合わない成熟したゴールキーピングを見せた。今シーズンは、GKの世代交代が起こり、競争力が高まったが、その象徴的な存在だろう。非凡なポテンシャルを示した。
斉藤は、ゴールに向かっていく明朗さを感じさせた。持ち前の技術を十全に使って野心的に挑む姿は、人気が出る要素だろう。決定力が向上したら、一気にスターダムを駆け上がるかもしれない。
果敢なプレーが光った斉藤光毅
原山裕平(サッカーライター)
1位 斉藤光毅(横浜FC)
2位 瀬古歩夢(セレッソ大阪)
3位 沖悠哉(鹿島アントラーズ)
コロナ禍におけるハードスケジュールや交代枠が増えた影響で、若手がチャンスを掴みやすかった今季。とはいえ、21歳以下のくくりとなると、コンスタントに活躍した選手は限られる。
そのなかで目に留まったのは、キレのあるドリブルで昇格チームの攻撃を牽引した斉藤光毅だ。狭いエリアでも苦もなくボールをコントロールする技術の高さはもとより、ボールを持ったらとにかく仕掛ける果敢なプレーが光った。
CBとして独り立ちした瀬古歩夢の堂々たるプレーも印象に残る。外国籍のFWに対しても物怖じすることなくバトルに挑み、打点の高いヘッドでロングボールを跳ね返す。C大阪の堅守に欠かせない存在だった。
鹿島の守護神の座を手にした沖悠哉も、ブレイクを果たしたひとり。鋭いセービングを連発し、正確なキックで攻撃の起点となった。世代交代を目論む今季の鹿島を象徴する選手だろう。

今季J1は、20歳前後の若手選手の活躍が数多く見られた
橋岡大樹は攻守両面で成長している
中山 淳(サッカージャーナリスト)
1位 橋岡大樹(浦和レッズ)
2位 沖悠哉(鹿島アントラーズ)
3位 瀬古歩夢(セレッソ大阪)
レギュラーメンバーの見極めにシーズンの半分以上の時間を費やした浦和にあって、唯一シーズンを通してスタメンをキープし、安定したプレーをつづけた橋岡をベストに選出。スピードを生かした攻撃参加とクロス、90分走りつづけるスタミナとボール奪取能力など、攻守両面において能力の高いDFに成長している印象だ。
2位は、8月から鹿島の正GKに君臨する沖悠哉。鹿島というクラブにおいて、21歳にしてクォン・スンテや曽ヶ端準をサブに押しやったこと自体が快挙と言える。ビルドアップ能力を含め、来季以降も楽しみなGKだ。
3位の瀬古は、マテイ・ヨニッチの相棒としてC大阪の堅守を支えた点を評価。ポテンシャルが高いだけに、安定感が増せばリーグ屈指のCBに成長できるはずだ。
非常にクレバーなプレーをする成瀬竣平
浅田真樹(スポーツライター)
1位 成瀬竣平(名古屋グランパス)
2位 瀬古歩夢(セレッソ大阪)
3位 沖悠哉(鹿島アントラーズ)
今季J1は20歳前後の若手選手が数多く活躍しており、そのなかから3人だけを選ぶのは難しいが、まだ19歳という年齢と、今季が実質的なデビューシーズンだった新鮮さを加味して、成瀬竣平を1位とした。
体は小さいが、プレーは非常にクレバーで、今季引退した内田篤人を思わせるタイプの右SB。シーズンを通じて上位を争った名古屋で主力を努めたことも、高い評価に値する。
つづく2位は瀬古歩夢。まだまだ粗削りではあるが、CBとしてのスケールの大きさを感じさせる。左右両足を過不足なく扱える技術の高さも魅力だ。
そして、最後はGKの沖悠哉。今季台頭した若手GKのなかでも、安定して高水準のパフォーマンスを披露した。シュートセーブはもちろん、足元の技術にも優れ、序盤戦で出遅れた鹿島の巻き返しに力を発揮した。