8月9日、宇都宮森林公園を使ったコースでJBCFシリーズのJプロツアー第5戦・宇都宮ロードが開催され、トマ・ルバ(KINAN CyclingTeam)が2kmにも渡る独走を経て優勝。ここまでリーダージャージを着ていた増田成幸(宇都宮ブリッツ…

8月9日、宇都宮森林公園を使ったコースでJBCFシリーズのJプロツアー第5戦・宇都宮ロードが開催され、トマ・ルバ(KINAN CyclingTeam)が2kmにも渡る独走を経て優勝。ここまでリーダージャージを着ていた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が体調不良で途中リタイアし、ツアーリーダーは同チームの小野寺玲へと移った。

宇都宮ロードは前日に開催されたクリテリウムに続き、宇都宮開催の2戦目。コースはアジア最高峰のワンデーレース、ジャパンカップサイクルロードレースの会場となる宇都宮森林公園にスタート・フィニッシュが設けられ、過去にコースとして使用されていた鶴カントリー前を通る1周=6.7kmのサーキット。

小周回になるが、鶴カントリー前の勾配の厳しい上りとラスト2kmからの萩の道の上りが含まれ、長い下りにはカーブが連続する。サーキットが小さい分、この難所が繰り返し登場することになり、登坂力、テクニック、持久力が求められるタフなコースになっている。



レースはパレード区間を終え、リアルスタートへ。
最前列には、赤いリーダージャージを着た増田(宇都宮ブリッツェン)、 U23リーダーの白いジャージを着た織田(弱虫ペダルサイクリングチーム)の姿が。

宇都宮森林公園をスタートするレースと言えばジャパンカップのあたりを埋め尽くす大観衆の光景が思い浮かぶが、この日のレースも一般サポーターの観戦は禁止され、穏やかなスタートエリアとなった。レースはサーキットを11周回する73.7kmの距離に設定されている。リーダージャージを着る増田成幸(宇都宮ブリッツェン)やU23リーダーの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)らが前方に並んでのスタート。

曇天となり、走りやすい気温になることが期待されたが、午後になると雨が降り始め、小降りながらも湿度が上昇、厳しい条件下のレースとなってしまった。



レースが始まると、各チームが集団の前方に競り出してくる。



田園地帯を駆け抜ける。

リアルスタート直後からアタックを試みる選手たちが現れ、序盤からアクティブに。前年度のリーグチャンピオンを獲得したマトリックスパワータグや開幕から強烈な存在感を見せ、このレースに関しては地元開催という「負けられない」要素も加わった宇都宮ブリッツェンなどが前方に集まり、ペースを上げていく。結果、集団はバラけ始め、4周目には早々に集団は40名ほどに絞り込まれた。体調を崩していたという増田成幸が序盤にリタイヤ、リーダー不在の波乱の展開に。



地元チームであり、リーダーを擁する宇都宮ブリッツェンも集団前方に集結。



登り区間では織田が積極的に仕掛ける。

アタック、そして、その吸収が繰り返され、集団が絞り込まれていく中で7周目に16名の先頭集団が形成された。宇都宮ブリッツェンはここに西村大輝1名を残すのみ。前日はレースを支配し、完璧なレース展開を見せたブリッツェンだが、状況は一転、この日は苦しい展開に追い込まれていく。



レース中盤、先頭集団が形成された。



十数名が残った先頭集団。

8周目、ここからトマ・ルバ、石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)、小石祐馬(Team UKYO)の3名が飛び出した。この動きに食らいつこうとするものの、追走の足並みが揃わない。先行する3名とのタイム差は徐々に開いていき、勝負はこの3名の間で決められる可能性が濃厚になっていく。



集団からトマ・ルバ、石原(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)、小石(Team UKYO)が飛び出した



昨年大会の覇者・今村(TEAM BRIDGESTONE Cycling)らが追走するが、巧く足並みが揃わない。



先頭集団のペースアップを試みる小石。

先頭3名は1分以上のタイム差をつけたまま最終周回へ。鶴カントリーへの登りで小石がアタックするが、決定的な動きとすることはできなかった。ラスト2km、再度、小石が仕掛けたが、このタイミングを見計らっていたルバが強烈なカウンターアタックを決め、小石と石原を抜き去る。アッと、いう間に独走態勢に。残り距離は2kmだ。



ラスト2km、トマ・ルバが勝利に向け、強烈なアタックを決めた。

スピードのあるルバは、2人を突き放したまま2kmを単独で走り切った。独走でフィニッシュに飛び込み、勝利を掴んだ。


独走で勝利を掴み取ったトマ・ルバ。



3名の表彰台。2位は僅かに先行した石原。

KINAN CyclingTeamとしては開幕戦の山本の勝利に続き、今季2目となった。ルバは小石の強さを知り、石原はスプリントに長けているため、勝つには独走に持ち込む必要があると考え、力を温存してラスト2kmのアタックに賭けていたと、戦略を語った。まさに狙い通りの勝利だった。



中間スプリントポイントをトップで通過し、スプリント賞を獲得した3名。



赤いリーダージャージを着る小野寺(写真・左)とU23のリーダーを守った織田。

増田のリタイヤもあり、リーダージャージは再びブリッツェン内で動き、小野寺玲の手に移った。ランキング上では増田は小野寺と47ポイント差の2位をキープするが、3ポイント差で3位に愛三工業レーシングチームの大前翔が迫った。

【結果】宇都宮ロード JPT 73.7km

1位/トマ・ルバ(KINAN Cycling Team) 1時間49分9秒
2位/石原悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +25秒
3位/小石祐馬(Team UKYO) +26秒
4位/西村大輝(宇都宮ブリッツェン) +1分26秒
5位/横塚浩平(Team UKYO) +1分29秒
6位/伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +1分29秒

【敢闘賞】

該当者なし

【中間スプリントポイント】

2周回完了時/山本大喜(KINAN Cycling Team)
4周回完了時/門田祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
6周回完了時/今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

【Jプロツアーリーダー】

小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

【U23リーダー】

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)