プロレスラーとしてデビューしたのが20代後半。1度はレスラーになることを諦め、引きこもった過去を持つタンク永井選手。後編はデビュー後から地元千葉に対する思いを伺った。 <前編はこちらから> --デビューは27歳。入門から半年ですか? 永…

プロレスラーとしてデビューしたのが20代後半。1度はレスラーになることを諦め、引きこもった過去を持つタンク永井選手。後編はデビュー後から地元千葉に対する思いを伺った。

<前編はこちらから>

--デビューは27歳。入門から半年ですか?
永井:そうです。4月に入門して10月にデビューしましたね。月曜日以外は毎日練習してました。今も昔も道場での練習内容は変わらず、午前中に基礎体力やランニングをして、12時くらいからリング練習です。大体午後3時くらいまで行います。寮生活ですし毎日どっぷりプロレス漬けになれるのでレスラーを目指す環境として、2AWは本当にいい環境だと思います。ちゃんこ食べて練習もたくさんして、デビュー当時は順調でしたね。

--デビュー“当時”というのが引っかかりますが…
永井:最初、とにかく強くなりたかったんですよ。ヒールとかベビーフェイスとか関係なく。それでヒールユニット「凶月(まがつき)」に加入しました。リーダーは真霜拳號でしたね。

--ところで元々憧れていたレスラーは佐々木健介さんですよね。今のスタイルも佐々木さんの影響を受けていますか?
永井:気にしたことはありませんが、きっと影響は受けているはずです。健介さんも柔道をされていましたし。実は、健介さんが引退した2014年2月11日の後楽園大会に出場しているんですよ。「憧れていた人の最後の大会に出場していた」、感慨深いものがありますね。

--あの試合、中嶋勝彦選手に敗れて、突然引退を決めましたよね。
永井:そうなんですよ。僕も全然分からなくて驚きました。ただ健介さんとはリング上で戦ったことも組んだこともなかったので、それは残念ですね。

--レスラーとして尊敬する人はいますか?
永井:真霜拳號ですね。あんまり褒めたくないですけど(笑)。技をかけても絵になるし、やられても絵になる。「相手の技を受けて、その後自分がこの技で返せばお客さんが盛り上がる」というのをキチンと頭の中で考え、それをカッコ良く見せることができるんですよ。

--プロレス脳が素晴らしいんですね。
永井:超一流のレスラーって、自分のレスリングを客観的に見ることができる、と思うんですよ。自分もそうなりたいと思って、日々精進しています。

--ところでブログのタイトルが「タンク永井は不完全燃焼防止装置付」ですが、これって「完全燃焼する」ということですよね。なぜ、このタイトルにしたんですか?
永井:「何かひっかかるタイトルはないか?」と思ってつけましたね。寮の湯沸かし器に「不完全燃焼防止装置付」って記載があって、「この言葉いいな」と思って(笑)。

--なんとなく永井選手が見えてきました(笑)。ところで先日、同じユニット「シリウスロア」の吉田綾斗選手と戦い敗れてしまいましたね。残念ながら2AW無差別級のベルトを巻くことはできませんでした。この試合を振り返っていただけますか?
永井:いつもパートナーとして隣にいるので吉田のことは把握しているつもりでした。ただ今回、「自分が知る吉田の強さを超えて来たな」と思いました。具体的に言うと蹴りをもらい過ぎましたね。
吉田の蹴りは全部防げるつもりでいたんです。バズソーキックは貰っても、ハイキックは貰わないぞと思っていました。吉田の得意とするバックドロップも防いだはずでしたね。

--最後はバックドロップからの片エビ固めですか?
永井:そうです。最後ハイキックを受けて防いだら、回し蹴りが来て記憶が飛びました。あれは想定外の攻撃でしたね。それでバックドロップから3カウントを取られたと思います。

--吉田選手は2年ほど前、新日本プロレスに参戦していました。永田選手と行動を共にし、バックドロップの精度は上がりましたか?
永井:永田裕志選手といえば、日本を代表するバックドロップの使い手。吉田が新日に参戦していた時は、試合前の練習から参加していたと聞いています。良いものはどんどん吸収してきたはずですし、技の精度は確実に上がってますよ。

--話は変わりますが、2AWは千葉に密着したプロレス団体。先日、動物園でも動物に扮してプロレスをしていましたね。ニュース番組で拝見しました。
永井:千葉城でもプロレスを行いました。それをニュースとして取り上げて頂けるのは有り難いですね。僕たち「2AW」は千葉密着・発信型プロレス団体です。自分もそうですし、団体代表の十枝も千葉出身。
「千葉を盛り上げて行こう」と言うのが会社の願いであり、僕の願いでもあります。そして、今それが叶えやすい状況なんです。千葉城前広場に特設リングを作り千葉城プロレスを2年連続で開催させてもらいました。僕の地元開催なので大変嬉しいことだったけど、その地域だけではなく、昨年震災にあった千葉県南部、館山や南房総の人たちにもプロレスを届けたいんです。
子供の頃、僕は千葉市に住んでいたのでプロレスの試合を観るのに東京に行っていました。でも千葉県南部の人たちは東京に行くのも千葉市ほど簡単ではないですし、昨年の台風の影響を受けた人たちは、なかなかプロレスを観にいけないと思うんです。
再来年、僕は10週年を迎えますが、来年から動いて千葉県南部エリアで「観戦無料プロレス」をできないか考えています。千葉城や千葉動物園でイベントプロレスをやらせて貰った時、僕が中心になったイベントもあり、そのやり方を学びました。
例えば、地域を元気にしようと思っている企業の方がいる。そこに僕がお話をさせて頂き、力をお借りして一緒に何ヶ所かでチャリティプロレスを実施したい。
まだプロレスを生で観たことがない子供たちがいるはずです。僕は子供の頃、プロレスを観るとパワーをもらえてメチャクチャ元気になりました。全力で繰り出すレスラーの技を真正面から受けるレスラー。それを見てもらいたい、そのプロレスを届けたいです。

--プロレスって理屈抜きに楽しめるし、力を貰えますよね。
永井:本当はベルトが欲しかった。ベルトって「強さの象徴」ですから。ベルトを持って子供達の前に出ることがベストだったんですけど…

--なに弱気になっているんですか。子供たちに元気を与えるはずでは…
永井:もちろんです。今はそれを目標に生きていますから。近い将来ベルトを獲得し、地元千葉の人たちに元気を与えます!

<インフォメーション>

2AW、12月28日「GRAND SLAM in 後楽園ホール」

タンク永井選手はCIMA率いる#STRONGHEARTSのメンバーと6人タッグマッチで激突。詳細は2AWウェブサイトをご確認ください→https://www.2aw.jp

タンク永井Twitter→https://twitter.com/tank_nagai

タンク永井ブログ→タンク永井は不完全燃焼防止装置付→https://ameblo.jp/tanknagai/

 

取材・本文・写真/大楽聡詞

写真提供/2AW

撮影協力/牛バル こじまや 千葉店