年の瀬も押し迫る中、最後の最後までコロナウイルスである。思い起こせば5月のG1日本選手権競輪が中止、それ以前からの無観客開催。業界は何とか乗り越え、競馬、ボートには及ばないまでも弱点とされてきたネット投票の売上が緩やかに伸びてきた。そして、…
年の瀬も押し迫る中、最後の最後までコロナウイルスである。思い起こせば5月のG1日本選手権競輪が中止、それ以前からの無観客開催。業界は何とか乗り越え、競馬、ボートには及ばないまでも弱点とされてきたネット投票の売上が緩やかに伸びてきた。そして、最後のG1競輪祭も終わり、残すところはKEIRINグランプリ2020。来年へ向けて、良い形で終わる予定だった。
しかし、コロナの猛威の前に、またもや業界は決断を下した。“業界”というと大袈裟かもしれないが、決断したのはチャリロトバンクひろしま(広島競輪場)だ。東京をはじめ、大阪、北海道などでコロナ感染者が増加。テレビのニュースはまず1日の感染者数報告から始まるのがほとんどだ。旭川には自衛隊が入り、災害派遣の名目で、クラスターが発生した病院に看護官が送り込まれた。この原稿を書いている時点ではまだ旭川だけだが、今後、多くなることは確実であろう。このような状況下で、新型コロナウイルス感染症広島県対策本部は「新型コロナ感染拡大防止集中対策」の一環として、チャリロトバンクひろしまでの無観客開催を決めた。期間は14日~正月までの4開催。
これは『大英断』と、褒めたい。正直な話し、競輪業界では最近、コロナに対する危機感が薄れてきたように感じていた。と言うのも、知人のメディア関係者から「考えられないのだが、一部の関係者が選手と飲みにいったりしているのをSNSにUPしている。選手と一緒じゃなくても、夜の街で飲んでいるところもあった」。その話しを聞いた時、信じられなかった。業種は異なるが、報道に携わるという意味では同じである。その人間の資質が疑われても致し方ないであろう。果たして、その人間はフリーランスなのか?それとも、どこかに所属しているのか?仮に所属しているとしたら、上司はなぜ注意をし、止めないのか?
つい最近も女子ゴルフの渋野日向子のプレー中、民放カメラマンがお菓子を渡していることが発覚し、大きな問題になった。ゴルフのルールではキャディー以外との接触は禁止されているし、このコロナ禍にあって、手渡しなど言語道断であろう。コンビニに買い物に行っても、トレーに乗せてお金の受け渡しが行われている時代である。競輪界だけでなく、報道する側にも緩みが出てきているのは明らかであろう。
このような中で発表されたチャリロトバンクひろしまの無観客開催。当然と言えば当然で、もっと早く、無観客にしても良かったとさえ思う。以前、この場を借りて書いたが、ゴール前は『密』。それを注意しない警備員、主催者。無料バスも完全な『密』。定員を決めている競輪場があれば聞きたいものだ。検温、マスク着用は当たり前だが、マスクを外している関係者もいると、知人は言っていた。行政の決定が出ての無観客開催ではあるが、それを待たずとも、現況を考えれば無観客にすべきであろう。ハッキリ言ってしまえば入場したファンがコロナに感染しても、追跡調査はできない。入場時に名前と住所、連絡先を記入しても良い。もはやコロナに関しては、そこまでしなくてはならない時期にきている。
選手の感染者も以前に比べ増加の傾向にある。今一度、足元を見つめ直す時期が来ているのではないだろうか?日本全国、どこでも感染する恐れはある。だが、最低限の自己防衛はしなくてはならない。大声は禁止と言っても、ゴール前では大声が聞こえている。それを野放しにしている業界。本当にコロナの恐ろしさを分かっているのだろうか?と、改めて問いたい。さらに考えたくはないが、コロナの感染者数がもっと増えれば無観客どころか、再び開催自体も危ぶまれてくる。そうならないためにも業界は一丸となって、口先だけではない、徹底したルールを作り、違反したものは処罰も検討すべきだろう。そのくらいの覚悟は持っていて当然だ。