チームメイトが語る中村憲剛(2)谷口彰悟中村憲剛が引退を発表し、現役最後の瞬間が迫ってきた。スポルティーバでは、川崎フロ…
チームメイトが語る中村憲剛
(2)谷口彰悟
中村憲剛が引退を発表し、現役最後の瞬間が迫ってきた。スポルティーバでは、川崎フロンターレのチームメイトたちにインタビュー。常に先頭に立ってチームを引っ張ってきた中村との思い出や、彼に対する思いを語ってもらった。
谷口がCBとしてプレーする自分を受け入れたことによって、17年のJ1初優勝もあれば、18年のJ1連覇にもつながった。中村の言葉がすべてではないだろうが、間違いなく谷口が守備の柱へと成長する契機だった。

今季からキャプテンを務めている谷口。中村らの姿を見て、自分なりの主将像をつくってきた
リーグ優勝を逃した昨年のオフもそうだった。川崎のかつてのキャプテンであり、「背番号14」の前任者である中西哲生氏との食事会に、中村は谷口を誘ったのである。
「憲剛さんとふたりで食事に行く機会もなかったですし、哲生さんと3人で食事に行くのも初めてでしたからね。それだけで緊張します。自分が行っても大丈夫なのかなと思ったくらいです」
その席で聞かされたのは、クラブへの思いであり、谷口に対する中村の思いだった。
「キャプテンやれば? そうすれば、選手としても、さらにひと皮剥けると思うよ」
今シーズンの開幕を迎えるにあたって、鬼木達監督からキャプテンに任命された谷口は、中村の言葉を思い出していた。
「キャプテンをやることによって、自分自身も成長できるチャンスかもしれないなって思いましたよね」
その結果は言わずもがなである。今季の谷口はCBとしてだけでなく、キャプテンシーでもチームを牽引していた。
「自分ではひと皮剥けたかどうかはわからないですけど、強くなったというか、いろいろなことに対して動じなくなったように思います。以前の自分は、自分のプレーがダメだと、周りにも言えないところがあったんです。でも、今は自分がうまくいっていなかったとしても、チームとしてやるべきことは変わらない。言うべきことは言おうと思うようになりました」
中村がキャプテンをやるように促し、キャプテンをやることで成長すると言っていたのは、そこにあったのかもしれない。
CBになってからは、14番の勇姿をずっと後ろから見守ってきた。
「だから僕が思い浮かべるのは、あの背中なんです。スルーパスを出す背中、シュートを決める背中。その姿が焼き付いている」
そして、キャプテンらしくなった谷口はこうも語る。
「僕が憲剛さんから学んだ姿勢は、背中で語る、背中で見せるというところかもしれない。(小林)悠さん(前キャプテン)は自分が点を取ることでチームを引っ張ってきたし、憲剛さんは自分がプレーで見せたり、声をかけて鼓舞したりすることでチームを牽引する姿だった。それをずっと後ろから見てきたんです。
僕はDFなので、なかなかプレーで引っ張ることはできないですけど、その分、後ろでどしっと構えられたらと思う。だから、継続できるところは継続しつつ、新たなものを自分のなかでつくっていければと思って、今シーズンもやってきたつもりです」
中村から引退の二文字を告げられた時、谷口が感謝の気持ちを伝えると、こう返事があったという。
「道標だったと思っていてくれたことはうれしいよ。今はもう、彰悟もそういう立場になっている。だから、これからもその姿勢を継続していってほしい」
道はつづいていくし、思いも受け継がれていく。谷口は決意するかのように言う。
「憲剛さんがいなくなって来年のチームがどうなっていくか、見えないところもあります。ただ、僕らもいつまでも憲剛さんにおんぶに抱っこではいけないって思ってる。だから、憲剛さんがいなくても、オレらはやれますよという姿を見せなければいけない」
次は谷口が誰かの道標になる番だ。