一流のアスリートが未来を担う子どもたちにスポーツの魅力を 発信する、三井不動産主催の「第19回三井不動産スポーツアカデミー for TOKYO2020」が11月22日、都内のクライミングジムで開かれた。 「スポーツクライミングアカデミー」…

 一流のアスリートが未来を担う子どもたちにスポーツの魅力を 発信する、三井不動産主催の「第19回三井不動産スポーツアカデミー for TOKYO2020」が11月22日、都内のクライミングジムで開かれた。 「スポーツクライミングアカデミー」と題し、国内のトップクラ イマー2人が講師となり、技術や、自宅でできるトレーニング、 本番で力を出せる方法などを伝授した。
 今回は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、初のオンラインでの開催となったものの、東京五輪代表に内定している野口啓代と、2018年W杯総合優勝の野中生萌が登場すると、参加者は画面越しから歓声をあげ、両手を振りながら喜んだ。

 野口は「オンラインですけれど、みなさんと距離感近く楽しくやっていきたいです」、野中は「どんどん質問してください。楽しくやっていきましょう」と呼びかけ、野中の「頑張りましょう !」という掛け声とともに、スタートした。

 最初は、世界トップレベルのクライミングを披露。ダイナミックなムーブで課題をクリアする姿に、参加者は釘付けで「指先の女王」「超かっこいい」とコメントを送っていた。 続く、「トレーニングセミナー」は、自宅でできるウォーミングアップと体幹トレーニングを紹介。野中は、股関節まわりのストレッチにもなるウォーミングアップを実演し、「骨盤が横にならないように前を向いた状態になるよう意識して」とアドバイスを送った。野口が指導した体幹トレーニングは、かかととつま先を一直線上に揃えて行うスクワット。後ろの膝が少しタッチする程度の状態で立ち上がるため、不安定な体勢になるが、「前のめ りにならずに体がまっすぐになるよう意識して」と励ました。

 イベント中には2人の“凄さ”を知れる筋力測定コーナーもあり、握力と背筋力を測定した。背筋力では、野口が脅威の204.5kgを記録。これには、130.5kgを計測した野中も、「筋肉お化けです」と苦笑していた。握力でも、野口は48.9kg、野中は42.7kgと女子中高生の平均26kgを大きく上回り、終始周囲をざわつかせた。

 参加者の質問に答えていく「オンラインコーチング」や「一問 一答コーナー」には、プロの視点で悩みなどを解決。かかとでホールドを引っ掛ける「ヒールフック」が苦手だという女性には、野中が「お尻に力を入れて腰を立てると体幹に力が入り、足がぶれなくなり固定される」、野口は「股関節からかかとに体重を乗せることを意識してみて」とポイントを説明した。 クライミングの大会にも出場するという男性は「本番で普段の力が出せない」と相談。野口は「どういう理由で力を発揮できな いのかを考えることが大事で、試合中に気になっていることを考 えてみて」と助言すると、男性は「試合の結果が気になっている」。 野中は自身の経験に触れ、「結果が大事なのは分かるけど、後悔しないよう全力でトライすることも重要」と強調した。ほかにも、参加者は指の力が強くなる方法や、課題をどうやってクリアするかを考察する「オブザベーション」の仕方、よく聴く音楽など根掘り葉掘り聞いていた。最後に、2人のサイン入りグッズが当たるクイズ大会も開かれ、「スポーツクライミングアカデミー」は大好評のうちに幕を閉じた。

 野口は「盛り上がって楽しんでもらえたのでオンラインでも温度差を感じることなくできたと思う。今後も積極的に参加したい」、 野中は「今日のようなイベントは初めてだったが、とても楽しか った。私たちとの交流が皆さまのモチベーションになると嬉しい」 とそれぞれ感想を述べていた。
 今回のイベントには、国内外から約80人が参加。参加者の中から、日本のクライミング界を担う選手たちが台頭することに期待したい。