デビッド・ウィルソン氏が羽生との思い出を語った フィギュアスケートのカナダ人振付師デビッド・ウィルソン氏が、自身が振付を担当した羽生結弦(ANA)について語った。母国放送局「CBC」の番組内でインタビューに応じている。 羽生のフリープログラ…

デビッド・ウィルソン氏が羽生との思い出を語った

 フィギュアスケートのカナダ人振付師デビッド・ウィルソン氏が、自身が振付を担当した羽生結弦(ANA)について語った。母国放送局「CBC」の番組内でインタビューに応じている。

 羽生のフリープログラム「ロミオとジュリエット」や、「ノートルダム・ド・パリ」を担当。ほかにもハビエル・フェルナンデス(スペイン)やキム・ヨナ(韓国)の振付も担当した巨匠ウィルソン氏は羽生と出会った頃の思い出を振り返っている。

 7日に26歳を迎えた羽生だが、出会いは2012-13シーズンの事だった。「ユヅル・ハニュウとソチ五輪の時に2シーズン一緒にやってみてどうだったか」という質問に対して、こう答えている。

「その1年前に彼がやってきて、最初に彼の振り付けをしたのは2013年の世界選手権だった。ファントム(オペラ座の怪人)をやりたがっていた。でも私はすでにパトリック(・チャン)と仕事をしていて、彼はそれ(オペラ座の怪人)をやったことで知られていた。割と最近のことだったし、ユヅとやるのはあんまり心地いいものではなかった。だから少し気まずい状況に置かれていた。だから『出来ない。他の物を探そう』と(羽生に)伝えた。それで見つけたのがノートルダムだった。ファントムとも似た調子の曲だし」

 羽生は後に「オペラ座の怪人」も演じているが、こうした経緯があったという。さらに2013-14年の五輪シーズンにあったエピソードについても明かしている。

「彼は何をやりたいか自分の頭の中で持っていた。私もアイディアがあったが、彼は絶対にロミオとジュリエットをやりたいと。私は『あぁ、どうしよう。まただ』ってね。私はすでにサーシャ(・コーエン)でやっていたし、振付師はみんな何度もやっていると思う」

羽生から届いた長文メールの中身「この五輪で優勝したいんだ」

 そんな時にウィルソン氏は羽生から長文のメッセージを受け取ったのだという。

「彼からとても長いメールをもらった。その内容は、『あなたに言われたことは何でもするから、この曲をお願いだから使って。自分は若いからといって次の五輪まで優勝を待つつもりはない。この五輪で優勝したいんだ』というものだった。こんな力強いスケーターに出会ったことはなかった。だからロミオとジュリエットをやったんだ」

 羽生にとって「ロミオとジュリエット」はどうしても演じたいプログラムだったようだ。そしてソチ五輪でのフリーで演じ、言葉通り金メダルを獲得した。ウィルソン氏は羽生と過ごした当時の日々を振り返っている。

「彼とともに働いた2年間は、彼はまだとても若くて、『ジャンプがすべて』というような典型的なシニアに上がったばかりのジュニア選手という部分があった。スタミナにもまだ不安があったから、プログラムを滑り切るのも大変だった。でも彼と仕事をするのは素晴らしいものだった」

 その後もエキシビションでの振付に携わっているウィルソン氏。羽生との日々は思い出深い記憶として残っているようだ。(THE ANSWER編集部)