フィギュアスケート女子元日本代表の中野友加里さんがフィギュアスケートを様々な角度からお届けするYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」。

5日に投稿された動画では、フィギュアスケートを滑る上で欠かせない、選手たちの「体力づくり」や「体力維持」について解説。

ジャンプやスピンといった高度な技を行うために必要な、過酷なトレーニング内容、さらには、あの金メダリストの凄さについても語った。

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私が現役時代1番嫌だったトレーニングが・・・


冒頭、中野さんは

「4分のプログラムを滑るのって、本当に大変なんですよ。加速するだけでも結構体力がいるんですが、ジャンプして、回転して、スピンして息止めてと言った中で、尚且つ表情は豊かで美しく魅せないといけないので、ものすごく大変です。4分間滑った疲労度を、一般のランナーの方が1km全力疾走したのと同じだと言われています。」

と、フィギュアスケートがいかにハードなスポーツであるかを解説。

実際に選手たちは、どのようなトレーニングをしているのか。

「フィギュアスケートをやる上では踊ることが重要なので、クラシックバレエやダンス、曲調によってはフラメンコをやったりします。しかし、それよりも重要なのは、走ったり筋トレをするなどして、体力を作ることです。その中でも私が現役時代1番嫌だったトレーニングが『走り込み』ですね。
やはり走ることによってスタミナもつきますし、汗を掻いたり体を温めることもできるので、基本のトレーニングかなと思います。
私は新横浜のスケートリンクを使っていたので、近くの『日産スタジアム』周辺にあるランニングコースで走っていました。1周が1km弱なんですが、男性陣は5周していましたが私はあまり走りたくなかったので、先生と相談していつも3周走っていました・・・。
なので、オフシーズンの走る量としては、3km走れればいいかなというくらいで、週1〜2回は走って体力を付けていました。」

と、自身の経験も踏まえ、体力づくりに欠かせない、走り込みについて解説。

さらに、完成度の高いプログラムを作り上げるためには欠かせないトレーニングがあるという。

「ジャンプを跳んだり、スピンを回るため、そしてショートプログラム&フリープログラムを滑りきるための体力が必要になってくるので、その体力に見合った筋力を絶対につけなければいけません。
そのために、毎日ではありませんが、週3回くらい、筋トレを欠かさずにやっていました。
ジャンプを跳ぶ時に重要なのが、『上半身から上の筋力』だと、佐藤先生から教わりました。
手の締める力、そしてしっかりとした体幹がないと、回転も出来ないんですよね。
腹筋を鍛えることによって、ジャンプのバランスや安定感、ジャンプを跳ぶ時の力が加わるので、体幹が整っていないといけません。
腹筋でジャンプを跳ぶと言っても過言ではないくらい、腹筋に力を入れることで力が一気に集中して、高く跳べたり、幅のあるジャンプに繋がっていきます。
それまで全く腹筋が好きじゃなかったんですが、佐藤先生にそう教えていただいて、しっかり取り組むようになりました。」

腹筋が凄かった選手が・・・

ただ滑り切るための体力をつけるだけでなく、美しいジャンプやスピンを作り上げるためには、それに見合う筋力が必要だという中野さん。

元々自身は筋トレ、特に腹筋が嫌いだったという中野さんだが、ある人物のおかげで意欲が湧いてきたという。

「フィギュアスケーターは、ジャンプやスピンをやることによって、脚力と背筋はついているんですけれども、腹筋だけは自分でトレーニングをしないとつかないものなので、しっかりと取り組んでいかないといけないですね。
男子選手は当たり前に腹筋が割れている方が多いんですが、ビックリすることに女性選手もバキバキに割れていて、脱いだらびっくりする選手が結構います。
私が現役のころ、長座の姿勢で右手で縄跳びを回転させてお尻を上げて跳ぶことや、座った状態でこのままジャンプを跳べるか、と言われてやってみたことがあったんですが、全然出来なくて・・・。
その時に先生から、『これが凄かったのが荒川静香なんだよ。』って言われて、そこから、私も頑張らなきゃと思い、腹筋をやろうと火がつきました。
荒川静香さんは、凄く体幹の整った方で、そう言ったことが簡単にできる天性の才能のスケーターなので、今でも尊敬しています。
荒川さんは今でも滑っていますが、トレーニングを積んでいないと出来ないことなので、今滑っていることが素晴らしいですね。」

さらに中野さんは、これ以外にも、フィギュアスケートに欠かせない体づくりの要素についても語っている。

「男子も今そうだと思うんですが、女子はなんと言っても柔軟性が重要ですね。柔軟だけは毎日欠かさずやった方がいいと思いました。
体はあっと言う間に硬くなってしまうんですが、そうすると、体の使い勝手が悪くなったり、見栄えもだんだん変わってきます。
そのために、クラシックバレエやダンスなど、必ずフィギュアスケートに付随してためになるトレーニングをやっていました。
クラシックバレエって、姿勢も綺麗になりますし、手の位置や腕の動きが凄く美しい見栄えになるので、やって損は全くないと思いますね。
もしフィギュアスケートを長く続けたいと思っている方は、クラシックバレエも一緒にやるとまた違った表現方法や見栄えになると思います。」

中野さんによると、筋トレや柔軟の他に、体力をつけるために行っていた、ある「過酷」なトレーニングがあるという。

「筋トレやクラシックバレエといったトレーニングもある一方で、体力をつけるために、高地トレーニングを実践します。わざと、標高の高いところに行って練習をして体力をつけるんです。
標高が高いことによって、凄い息切れがするんですが、そこで4分間滑り切る体力をつけていきます。
日本でいうと、野辺山(長野県・標高1200m)にスケートリンクがあるんですが、そこを貸し切ってトレーニングを行っていました。
ある時、メキシコで、標高2000〜3000mの会場で行われた試合があったんです。なんと、その時キスアンドクライに酸素ボンベが置いてありました。そのくらい危険だというのを大会運営の人たちは感じたんでしょうね。私も初めてのことだったんですが、酸素ボンベを吸ってから演技に向かいました(笑)
実際私は色々なトレーニングを積んでいたおかげで大丈夫だったんですが、前に足が進まなくなって滑るのが精一杯というくらい大変そうな選手もいました。
なので、標高の高いところで練習するというのは、凄くいいトレーニングだったんだなと思いましたね。」

さらに動画では、美しく魅せるフィギュアスケートに欠かせない、体型維持についても語っている。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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