今年の2歳戦の重賞は、牝馬限定戦を含めてここまで11競走が行なわれた。そのうち、牡牝混合戦が9レースあって、8レースに…

 今年の2歳戦の重賞は、牝馬限定戦を含めてここまで11競走が行なわれた。そのうち、牡牝混合戦が9レースあって、8レースに牝馬が出走。3勝、2着2回と好結果を残している。

 こうして台頭する牝馬の中でも、とりわけ注目度が高いのは、これら重賞を2勝しているソダシ(牝2歳/父クロフネ)と、メイケイエール(牝2歳/父ミッキーアイル)だ。



デビューから無傷の3連勝を飾っているソダシ

 ソダシは、GIII札幌2歳S(9月5日/札幌・芝1800m)を牡馬相手に完勝したあと、GIIIアルテミスS(10月31日/東京・芝1600m)も難なく勝利。メイケイエールも、GIII小倉2歳S(9月6日/小倉・芝1200m)で強豪牡馬を蹴散らし、のちにGIIIファンタジーS(11月7日/阪神・芝1400m)でレコード勝ちを収めた。

 そして、これら2頭が12月13日に行なわれる「2歳女王決定戦」、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)で激突する。その注目の一戦を前にして、現時点での2歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。



 1位は、白毛馬としてJRAの芝重賞を初めて勝ったソダシ。2歳重賞の中でも重要なレースを制しており、その実績が素直に評価されたと言える。

木南友輔氏(日刊スポーツ記者)
「札幌2歳Sは優秀なレースぶりで、アルテミスSも文句なしの競馬でした。クロフネ産駒で、距離2400mになるGIオークスはわからないですが、GI桜花賞までは中心的な存在になっていると見ていいでしょう」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「昨年のこの時期に私が1位に挙げたレシステンシアと比べると、その数値は低いですが、今年の2歳世代の牝馬では現時点でTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)トップです。牡馬に交じって札幌2歳Sをレコード勝ちし、牝馬同士のアルテミスSは貫録勝ち。無傷の3連勝という実績は申し分ありません。

 ただ、アルテミスSでは途中まで持ったままだったにもかかわらず、いざ追い出すと、意外と伸びませんでした。レシステンシアより数値が伸びなかったのは、その辺りに原因があるのかもしません。現状、やや瞬発力に課題がありそう。今後、そこをどう打開していくのか、注目していきたいですね」

土屋真光氏(フリーライター)
「適性の異なる2つの重賞を勝ったことで、非常に能力が高いことがうかがえます。ただ、"図抜けている"という印象はありません。

 父クロフネがそうだったように、血統面から考えると、この馬も本質は"ダートの怪物"と見ています。芝は基礎能力でこなしているだけで、その適性で勝る馬が現れたときにどうなるか、若干の不安があります。現状では"暫定1位"といったところでしょうか」

 2位は、12ポイントで並んだ2頭。2戦2勝のサトノレイナス(牝2歳/父ディープインパクト)と、冒頭でも触れた3戦3勝のメイケイエールとなった。

木南氏
「サトノレイナスは、2戦目の1勝クラス・サフラン賞(10月4日/中山・芝1600m)の勝利が鮮やかでした。デビュー前に『兄(サトノフラッグ)より早くから活躍できる』と、管理する国枝栄調教師も期待を寄せていました」

吉田順一氏(デイリー馬三郎記者)
「全兄サトノフラッグは馬体重490kg前後で、サトノレイナスは同470kg前後。牡牝の差を考えれば、類似していると判断できます。また、ディープインパクト産駒ながら、掻き込みの利いたフットワークが特徴。それでも、柔らかさがあって、ストライドも稼げるため、長くいい脚が使えます。そうした点も全兄と同様です。

 現在の行き脚や道中の反応などを見る限り、伸びしろはまだまだありそう。それでいて、2戦2勝と血統&素材のよさをきちんと示しており、今後の成長が楽しみな逸材です。阪神JFでどれだけのパフォーマンスを見せるか、という以上に、来年の春にはどこまで成長しているのか、という点に興味が膨らみます。マイルからクラシックディスタンスまで活躍できそうな点もストロングポイントです」

市丸氏
「メイケイエールはソダシと同じく3戦3勝ですが、1400mまでしか走っていない分、やや数値が低くなっています。ファンタジーSはレコード勝ちでしたが、かなりギリギリの勝利に見えました。マイル戦での瞬発力勝負になると、現状では心許ないところがあります」

土屋氏
「軽い芝適性で言えば、母父ハービンジャー、父ミッキーアイルというメイケイエールのほうが、ソダシよりも上でしょう。ファンタジーSは、この馬自身の前後半のラップはほぼ同じで、偏りがありませんでした。となれば、もう1ハロンの距離延長はそれほど苦にならないでしょう。

 ただ軽い芝向きゆえ、京都開催がなく、使い込まれた阪神競馬場の馬場に対応できるかどうか。阪神JFでは、その辺りに不安があります。また、今後を見据えた場合、オークスでは距離面で心配を抱えています」



 4位は、アルテミスSで2着に入ったククナ(牝2歳/父キングカメハメハ)。母は桜花賞2着、オークス3着のクルミナルという良血だ。

吉田氏
「母はクラシックで活躍した馬格のあるディープインパクト産駒でしたが、ククナはキングカメハメハ産駒で馬体重450kg前後と、ややコンパクトなシルエット。骨格からすれば、もう10kg~30kgぐらいは増えてもいい感じなので、伸びしろは大きいと判断できます。

 ストライドがよく伸びる一方で、上々の加速力を持っていて、タメが利けば爆発的な脚を使えそう。現にアルテミスSでは、道中で我慢したことがゴール前の末脚につながりました。素材は確かで、これからの成長度合いによっては、トップレベルで高いパフォーマンスを発揮できる可能性を秘めています」

 5位は、ステラリア(牝2歳/父キズナ)。1勝クラスのベゴニア賞(11月29日/東京・芝1600m)では、牡馬相手にクビ差の2着と好走した。

木南氏
「新馬戦(6月6日/阪神・芝1600m)、2戦目の未勝利戦(6月27日/阪神・芝1400m)は、いずれも3着でしたが、もったいない競馬だったと思います。実際、そこからひと息入れて臨んだ3戦目の未勝利戦(10月31日/京都・芝1800m)は、5馬身差の圧勝でしたからね。その後、ベゴニア賞も強い競馬で2着。まだまだ奥がありそうです」

 今回、選者それぞれの意見が割れたため、4位以降は大激戦となった。5位と1ポイント差の6位には、アールドヴィーヴル(牝2歳/父キングカメハメハ)、インフィナイト(牝2歳/父モーリス)、オパールムーン(牝2歳/父ヴィクトワールピサ)、ポールネイロン(牝2歳/父オルフェーヴル)と4頭の馬が並んだ。つまり、2歳牝馬の序列はまだ固まっていない証拠。阪神JFやその後のレース次第で、今後のランキングは大幅に変わっていきそうだ。