現地時間12月8、9日にグループステージの最終節(第6節)を迎えるチャンピオンズリーグ(CL)。第5節を終えた段階で、…
現地時間12月8、9日にグループステージの最終節(第6節)を迎えるチャンピオンズリーグ(CL)。第5節を終えた段階で、ベスト16入りが確定しているのは以下の9チームだ。
バイエルン、マンチェスター・シティ、ポルト、リバプール、チェルシー、セビージャ、ドルトムント、バルセロナ、ユベントス。
残る椅子は7つ。例年より混戦模様となっている。それを象徴しているのがH組だ。パリ・サンジェルマン(PSG)、マンチェスター・ユナイテッド、ライプツィヒ、バシャクシェヒル(トルコ)。昨季、準優勝のPSGは、マンU、ライプツィヒとともに勝ち点9で並んでいる。

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最終節は、すでに16強入りの可能性が消えたバシャクシェヒルとのホーム戦。同勝ち点で並ぶ他の2チーム(マンUとライプツィヒ)が直接対決するので、この試合を落とさない限りグループリーグ突破を果たす(PSGはライプツィヒとの当該対決で勝るため)。3チームの中では優位な立場にある。しかし、その先はどうだろうか。
CLの優勝の行方を探ろうとしたとき、筆者が注目するのは"順番"だ。ビッグクラブ、あるいはそれに準じるクラブの中で、最も勝ちたがっているのはどこか。優勝に飢えているのはどこか。感覚的な話になるが、CLの歴史的な流れを踏まえつつ、いいサッカーをしているクラブ、戦力が整っているクラブを探っていけば、優勝候補はおぼろげながら見えてくる。
昨季の覇者、バイエルンはそうした意味でシーズン当初から最右翼の存在だった。今年はバイエルンの順番だとばかり、早い段階から本命に推していた。
今季はどうなのか。バイエルンが2連覇する可能性を探ろうとすれば、それが簡単ではないことはCLの歴史が物語っている。その28年史をひもとけば、連覇を果たしたチームがレアル・マドリードしか存在しないという事実が浮かび上がるので、「今季もバイエルンだ!」とは簡単には言いにくい。別の可能性を探りたくなる。
そこで浮上するのが、昨季の準優勝チームPSGだ。それまで毎シーズン、優勝候補の一角に挙げられながら、最高位はベスト8。一介の金満クラブの域を脱せずにいたが、昨季の準優勝でひと皮剥けたのではないか。モチベーションも高そうだし、今季はPSGの番ではないかと密かに期待していた。
とはいえ、ポルトガルのリスボンで行なわれた昨季の決勝を振り返れば、スコアこそ1-0ながら、バイエルンとの差は歴然としていた。6分4分というより、7分3分だった。
その差が詰まっていそうならば、あるいはPSGのサッカーがさらによくなっているのなら、PSGを本命に推したくなるが、グループリーグの戦いは残念ながら、こちらの期待をかき立たせる内容ではなかった。
3-1で勝利した第5節のマンU戦にしても、不満が残る戦いだった。1-1で迎えた後半24分の勝ち越し点は、かなりオフサイド臭かったし、その直後、後半25分に主審がマンUのMFフレッジに出した2枚目のイエローカードも、PSGにとってはラッキーなジャッジだった。
それまで応援したくなるサッカーを展開していたのはマンU。試合を優勢に進めていたのも、いいサッカーをしていたのもマンUだった。
PSGに何より欠けていたのはゲームをコントロールする力だ。選手の顔ぶれでは上回るはずなのに、その優位性をピッチに反映できずにいた。1回攻めたら1回守るという感じで、ペースが長続きしないのだ。
ネイマールのフィーリングに頼るサッカー。PSGのサッカーをひと言でいえばそうなるのだが、その個人技が全体の中で活かされているとは言い難いのだ。周囲はネイマールとコンビネーションが図れずにいる。よくも悪くも何をするのかわらないその奔走なプレーは、味方をもしばしば欺く様子。パーツになることができていないので、プレーが流れないのだ。ネイマールにボールが渡ると、PSGの攻撃はそこでいったん、仕切り直しになるのだった。
リオネル・メッシ、ルイス・スアレスと3トップを形成したバルサ時代のように、ポジションにこだわりながら殊勝にプレーしたその姿を、もはや拝むことはできない。お山の大将と化している。往年のメッシやクリスティアーノ・ロナウドの域(=バロンドール級)に達しているわけではないのに、だ。
もうひとりの主力、キリアン・エムバペも突破力、破壊力はあるが、いかんせん単発的だ。そのアクションがチームプレーの中に組み込まれているわけではないので、活躍は個人能力が炸裂した瞬間に限られる。
PSGはけっしていいサッカーをしていない。順番的には、そろそろ優勝しても不思議はない存在ながら、それが今季かと言われれば懐疑的にならざるを得ない。その分だけ、2連覇を狙うバイエルン評は上昇する。
第5節でA組(バイエルン、アトレティコ・マドリード、ザルツブルク、ロコモティフ・モスクワ)のバイエルンは、メンバーを落としながら、アトレティコと引き分け。層の厚さを見せつけた。PSGとは対照的な、ある特定の選手の個人技に頼らないサッカーだ。とはいえ、気になるのは昨季の決勝トーナメントで、まさに欠かせない選手として活躍したチアゴ・アルカンタラを失った影響だ。この技巧的なパッサーをリバプールに放出した穴は、大きいとみる。
身体能力の高い選手たちが織りなすバイエルンのシステマチックなサッカーは、ともすれば一本調子になりがちだ。昨季よりバイエルンは、お洒落度という点で劣る。それこそが減点材料になる。
一昨季の覇者で、昨季はベスト16でアトレティコの軍門に下ったリバプールは、現状では横ばいだ。ポルトガル代表のアタッカー、ディオゴ・ジョタがスタメンを奪う勢いにあるが、基本的には昨季、一昨季と大きな変化がない。獲得したティアゴ・アルカンタラもケガで出遅れ、新鮮味に乏しい状態だ。今季はリバプールの順番だと声高に言える段階にはない。
H組以上に混沌としているのはB組(ボルシア・メンヘングラードバッハ、レアル・マドリード、インテル、シャフタール・ドネツク)だ。最終週を残してすべてのチームにチャンスがある。最終週をホームでボルシアMGと戦うレアル・マドリードは、負ければクラブ史上初のグループリーグ落ちになる。
これもCL史上初の3連覇を達成した反動だとみる。レアルはCL優勝に飢えているようには見えない。勝ちたくてどうしようもないという気配が伝わってこない集団と化している。たとえ、ボルシアMGを下してベスト16入りしても、その先、多くを望めないように見える。
バルセロナはのるか反るか、微妙な状態だ。新しい芽は確実に伸びているが、順番が到来するのは、メッシの契約が切れるとされる来季以降ではないか。スペイン勢で言うならば、現在A組2位で苦戦しているアトレティコのほうが面白そうに見える。コロナ感染で欠場中のスアレスと、ケガで休んでいるジエゴ・コスタが復帰すれば、急上昇しそうな可能性を感じる。
それはポルトガル代表の21歳、ジョアン・フェリックスの活躍が今季、本格化していることと密接な関係がある。この1年で頼りになる選手になった。個人的な趣味の問題もあるが、筆者がいま見ていて楽しい選手のひとりである。アトレティコは最終週のザルツブルクとのアウェー戦で、引き分け以上の結果を収めれば、ベスト16入りが決まる。
現在、CLが日本で視聴できるのはUEFA.tvにおいてのみ。最終節はゼニト対ドルトムント、バルセロナ対ユベントス(8日)、ミッティラン(デンマーク)対リバプール、レアル・マドリード対ボルシアMG(9日)がライブ配信される。