私にとって夢だったスポーツ実況を「東都大学野球」という大舞台で学生アナウンサーとして務めさせていただきました。実況させていただいたのは秋季リーグ最終週の2試合、優勝争い真っ只中の試合でしたので、球場の熱気が本当にすごかったです。初めての実況…

私にとって夢だったスポーツ実況を「東都大学野球」という大舞台で学生アナウンサーとして務めさせていただきました。実況させていただいたのは秋季リーグ最終週の2試合、優勝争い真っ只中の試合でしたので、球場の熱気が本当にすごかったです。初めての実況でとても緊張していました。前日、前々日は緊張しすぎて、全然寝られなかったです。

その中でも大切にしたのは、試合前の準備です。一週間前から、雑誌や公式サイトで、選手の成績や大学ごとの特徴を調べまとめました。大学のOBやOGの方などの方が見ているということを念頭に置き、出身高や学部などの情報など調べ上げました。しかし、実況当日、作った資料から話せたのは、ほんのわずかな情報だけでした。プレイボールともに、何を伝えればいいのか、どこをみればいいのか、頭が真っ白になり、反省ばかりでした。そんな中、無言の時間があったり、たどたどしかったり、神宮球場の実況席で足がブルブル震えるほど、緊張していた私に隣の席に座っていたディレクターの方が「もっと楽しんで実況していいよ」と言ってくれました。情報ばかり気にしていた私は、まずは自分が楽しまないと観ている人も楽しめないと気づけました。

 表現が一辺倒になっていたことや勝負の境目の声のトーンの上げ方などの反省を振り返り、二試合目、秋季リーグ最終戦、亜細亜大学対中央大学の一戦を実況しました。この試合に亜細亜大学が勝てば優勝が決まるという試合で、この試合を実況できることに喜びを感じましたが、緊張の方がとても大きかったです。試合中盤、亜細亜大学の攻撃で、ここが勝負の分かれ目になるというチャンスの場面がありました。球場の雰囲気や選手の表情から、ここだと感じ、ギアをさらに上げて実況しました。緊迫した場面、選手の気持ちになって、届けました。試合の開始直後は緊張しかしていませんでしたが、言葉に気持ちが乗ってきて、本当に楽しかったです。

 最終回、亜細亜大学のエース平内投手がマウンドに上がると球場の雰囲気がまたガラッと変わりました。平内投手が投げた1球1球が頭の中で今でも思い出されます。最後の打者を三振で抑え、優勝を決め、マウンドで選手が喜びを分かち合う瞬間は、実況していて、心が踊りました。優勝が決まった試合、このような試合を実況できたことは、一生の宝物です。反省はまだまだ多いですが、観ている方に伝えるという実況の仕事を楽しんでできたことは、大きな自信になりました。

 最後に、このような機会を設けてくださったスポーツブルさん、大学スポーツ協会の皆さま、そして何より、全力でプレーしていた選手、チーム関係者のみなさま、本当にありがとうございました。