季節外れのぽかぽか陽気。紫紺のジャージーは8度トライラインを超えた。締めくくりはキャプテン。勝者の背番号12が、インゴールのど真ん中に駆け込んだ。 試合を通して何度もチャンスを作り出した斎藤隆司が最後は自らファイブポインターとなり、SO関…

 季節外れのぽかぽか陽気。紫紺のジャージーは8度トライラインを超えた。締めくくりはキャプテン。勝者の背番号12が、インゴールのど真ん中に駆け込んだ。
 試合を通して何度もチャンスを作り出した斎藤隆司が最後は自らファイブポインターとなり、SO関根拓磨がコンバージョンを決めた。ファイナルスコアは44-5。12月25日に江戸川区陸上競技場でおこなわれた第15回東西学生クラブ対抗試合で明大MRC(関東学生クラブ選手権優勝)が快勝し、2016年度の学生クラブ日本一に輝いた。関西学生クラブ選手権王者の関西学院大学上ヶ原ラグビークラブを圧倒した。

 前半は10-5と明大MRCが僅かにリードした。上ヶ原クラブも、積み重ねてきた自分たちのスタイルを示したからだ。
 ゲームキャプテンを務めたLO山本廉が言う。
「僕らは関西のチームの中でも体が小さい方なので、まとまりを意識して戦ってきました」
 この日も意思を統一して戦った。少ないパスとタテへのラン。MRCの防御ラインを下げたり、寄せたりしておいてスペースにボールを運んだ。
 SO松崎健吾が巧みにボールを散らした。前半12分にキックをうまく使ったMRCに先制トライを許すも、19分にはラインアウトからボールを大きく動かしてWTB上月翔太郎が同点トライ。40分過ぎには勝ち越しトライを許したものの、前半は攻撃を継続させる時間は長く、防御でもよく粘った。引き締まった40分だった。

 ただ、スコアが競ったのはそこまでだ。上ヶ原の山本ゲームキャプテンは「昨年のこの試合で後半にジーダブ(優勝した早大GW)に走り負けたのですが、また同じ展開になってしまった」と残念がった。週一回練習の同チーム。4日間活動(3日練習+試合)する相手に運動量で上回られた。
 MRCは2分にキックカウンターからFB遠藤慎太郎が独走トライ。6分にはスクラムターンオーバーからWTB小島脩が大きくゲインし、NO8田辺永志がフィニッシュした。16分にもNO8田辺がトライを追加して27-5。流れを保持し続けて勝負を決めた。ボールも人もよく動いた。
 斎藤主将は表彰式と記念撮影を終えた後に話した。
「専属のコーチがいるわけではありません。自分たちで考えられるチームを目指してきました。今日もハーフタイムに修正できた。無理なパスをしたりせず、取り急ぐこともやめようと確認し合いました」

 明大MRCは第8回大会以来8年ぶり2度目の学生クラブ日本一(2002年1月のトライアルマッチを含めると3度目)。今回で関東代表の勝利は8年連続となった(6大会前=2010年は早大GWと関西学院大上ヶ原が両校優勝)。
 チームを頂点に導いた斎藤主将は、明大中野中、明大中野高とラグビーを続けてきて、大学入学後にMRCで楕円球を追い続けた。高校時代を思い出し、「思うようにプレーできていなかった気がします」と振り返った。
「高校2年生のとき、高校3年生のときと、花園予選の決勝まで行ったのに負けました(高2時は試合不出場も、高校3年時は12番でプレー)。大学では自分たちで考えて運営するチームでプレーを続け、きょう、このような試合で勝てた。嬉しいし、このクラブに入って良かったと思います」
 降り注ぐ陽の光の中で気持ちよさそうだった。