11月28日放送の「卓球ジャパン!」では、8か月ぶりの国際大会となった女子ワールドカップ2020<11月8~10日/中国・威海>で、自身初の銅メダルに輝いた伊藤美誠の戦いぶりを松平賢二(世界卓球2012男子団体銅メダル)をゲストに迎えてDE…

11月28日放送の「卓球ジャパン!」では、8か月ぶりの国際大会となった女子ワールドカップ2020<11月8~10日/中国・威海>で、自身初の銅メダルに輝いた伊藤美誠の戦いぶりを松平賢二(世界卓球2012男子団体銅メダル)をゲストに迎えてDEEPに解説。日本のエースの進化に迫った。

1回戦の相手は韓国のエース、チョンジヒ、世界ランク16位。2019年のT2ダイヤモンドで伊藤が4-1で勝利して以来の対戦となる。チョンは左シェークドライブ型で、高いトスからの強烈に回転がかかったサーブと安定したバックハンドが武器だ。

第1ゲーム、伊藤にとってまさに8ヶ月ぶりのゲームが始まったが、これまで見たことのないモーションのサーブが解説陣を驚かせた。ところが伊藤は波に乗れず、このゲームを6-11で落としてしまう。

松平はこの現象について、試合がない中で開発した新しいサーブに対する3球目の待ち方の調整が上手くいっていない結果と分析する。つまり伊藤は、自分が開発したサーブにプレーを乱されているのだ。しかし伊藤は次のゲームからは見事な適応能力を見せ、3ゲームを連取し、ゲームカウント3-1とリードした。

伊藤が王手をかけて迎えた第5ゲームは伊藤の変化サーブが冴えに冴えた。通常は難しいとされる左のフォア前に出す巻き込みサーブ、バックサイドを切る巻き込みサーブ、意表を突く伸びるロングサーブなどでチョンを翻弄し、10回のサーブのうち、サーブエースがなんと5回、3球目攻撃での得点が2回という凄さだった。

松平が注目したのは伊藤がサーブを出すタイミングだった。0-0からじっくりと間を取ってサーブを出した様子を松平は「1回タメて、オーラを作ってから出したかと思うと次のサーブはすぐに出す」と独特の表現で伊藤が試合を支配する心理戦を分析した。

ゲストの松平賢二/BSテレ東 卓球ジャパン!


「最近、韓国ドラマをいっぱい見ていたのでチョンジヒ選手に感情移入している」というMC武井壮は「チョンジヒ選手、頑張れ!」とつい言ってしまうほどだったが、武井の応援も空しく、伊藤が11-7でこのゲームを取り勝利を決めた。

伊藤の実力についてMC平野早矢香は、弟の友樹(琉球アスティーダ)が、ある合宿で伊藤と試合をしたところ「普通に負けた」と話したというエピソードを披露。平野友樹といえば全日本選手権ベスト4になったこともある選手だ。

男女の卓球の違いのやり難さがあったとはいえ、それに勝ったというのだから凄い。これを聞いた松平が「じゃあ理論上、俺も負けるな」と白旗を上げる一幕もあった。それにしても、伊藤と対照的なオールフォアの力技の卓球をする松平と伊藤の試合、卓球ファンなら絶対に見たい一戦だろう。

伊藤の変幻自在のプレーは遊び感覚の練習から生まれたものだという。実際に平野が伊藤の練習を見たとき、まるで遊んでいるような練習だったというのだ。

「平野さんがコーチだったら絶対怒りますよね」と突っ込む松平に対して「怒ると思う(笑)。そこを理解している松崎(太祐)コーチが凄い。普通のセオリー通りに育てたら伊藤は育ってない」と平野。伊藤美誠という選手が、いかに類い希な環境から生まれたかがわかる話だ。

女子W杯 伊藤美誠 PHOTO:@ITTFWorld


準々決勝の相手は陳思羽(台湾)、世界ランク26位。最近は伊藤が2連勝しているが、過去には5連敗したこともある右シェーク両面裏ソフトドライブ型のハードパンチャーだ。1回戦で新サーブの手ごたえを掴んだ伊藤はここでも陳をサーブで翻弄、11-6、11-6、11-7と3ゲームを連取。

圧巻だったのはゲームカウント3-0と王手かけた第4ゲームだった。圧巻と言っても伊藤は6-11で取られたのだが、とにかく伊藤が徹底的にゲームの主導権を握ったのだ。

伊藤が攻撃して入れば伊藤の得点、入らなければ陳の得点というゲームで「このゲーム、陳選手なんにもしてないと思います」と松平。かと思えば武井は、速いボールと遅いボールを操る伊藤のプレーに「独特のゆらぎがあって、なんかα波出てますよね」と、武井節も好調だ。

取られたゲームでさえ主導権を握ったように見えた伊藤は、第5ゲームをも支配し続け、11-5で勝利し、準決勝進出を決めた。

松平がリプレーを要求したのは伊藤2-1でのレシーブの場面。相手のサーブがバックに来ると読んだ伊藤はバック側に移動を始めたが、予想に反してサーブはミドル前に。

そこから伊藤は動いてバックハンドでフォアクロスに打ち抜いた。「動きの速さが尋常じゃない」と松平は舌を巻き「急に前に入るときに普通は身体の軸が後ろに倒れるが美誠はまったくブレない」と平野は分析する。「卓球ジャパン!」ならではのDEEP解説だ。

平野の突撃インタビュー第4弾では早田ひな(日本生命)が登場。自粛期間中、外出できない時間を使ってメイクやファッションの勉強をしたことを恥ずかしそうに語った。

左から福田典子(テレビ東京アナウンサー)武井壮 松平賢二 平野早矢香/BSテレ東 卓球ジャパン!


次回12月5日の「卓球ジャパン!」では、いよいよ女子ワールドカップ2020準決勝の孫穎莎(中国)との同世代ライバルとの一戦をDEEP解説の予定。お見逃しなく!

「卓球ジャパン!」 BSテレ東で毎週土曜夜10時放送