ついにセンターコートまで来た。準決勝となったこの日の相手は順天堂大。一進一退の攻防を繰り広げ、ゲームセットまで行方の読めない展開に。だが前回王者の貫禄を見せつけ、セットカウント3-0(25-21、25-18、25-22)でストレート勝利。…

 ついにセンターコートまで来た。準決勝となったこの日の相手は順天堂大。一進一退の攻防を繰り広げ、ゲームセットまで行方の読めない展開に。だが前回王者の貫禄を見せつけ、セットカウント3-0(25-21、25-18、25-22)でストレート勝利。悲願の優勝まであと一つとした。

 1セット目の序盤は早大がリードをするも、7-4の場面で展開は変わる。エースの岡本捷吾(3年)のブロックアウトを皮切りに4連続得点を許し、7-8に。ここで崩されることなく点を取り返すものの、サイドに展開される速い攻撃や自チームのミスで得点される場面が続き、今度は早大が追う立場となった。この悪い流れを断ち切ったのは、17-19で強烈なバックアタックを放った水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)。また荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)がワンハンドでのフライングレシーブでピンチを救ったこともあり、6連続得点をあげ4点差まで広げた。その後はブレイク(※1)されることなく、25-21で先取した。2セット目は早大有利の試合運びに。3-2では水町が応援席まで飛び込む決死のつなぎを見せたが、相手のチャンスボールとなったためにバックアタックで決められる。直接点にはつながらなかったものの、このプレーがチームを勢いづける。一気に5連続得点を奪い、タイムアウトを取らせた。それ以降も早大有利の状況は変わらず。得点されても相手サーブをAパス(※2)で返球し、村山豪副将(スポ4=東京・駿台学園)、上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)のクイックで決める流れを作り出してそのままブレイク。このセットを25-18で奪った。

 


サーブやクイックでチームをけん引した村山副将

  3セット目は試合終了まで行方の読めない展開となった。1、2セット目と同様、序盤はリードする。だが17-10の場面で怒とうの反撃を食らう。パイプ(※3)やブロックで連続得点を与えると、スパイクミスを連発し、2点差まで詰め寄られた。「(スパイクが)一発では決まらない粘り強い守備にストレスがかかり、ミスが多くなってしまった」と宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)。立て直しを図るべく、この試合で初めてタイムアウトを取った。終盤まで一進一退の攻防が続くが、22-22の場面で、今大会サービスエースを多く決める大塚達宣(スポ2=京都・洛南)にサーブが回ってくる。相手レシーバーを崩しブロックで仕留める、早稲田のプレースタイルを体現。25-22で終え、この試合もストレート勝利を収めた。

 


大塚は攻撃だけでなくサーブレシーブでも貢献している

 これまでとは異なり接戦となったこの試合。特に3セット目の20点目以降勝負は、決勝にも生きてくるはずだ。個々の攻撃力の高さはもちろんのこと、拮抗した展開で崩れないわけは、セッターの中村駿介(スポ4=大坂・大塚)へきれいに返るサーブレシーブにある。 大塚はサーブレシーブに参加する1年生の水町と荒尾をけん引している。「今年はすごくサーブレシーブを練習していました。去年だとディフェンス型の選手がコートにいてくれたというのがあって、自分は打つだけでよかったんですけど。パスもしてパスからの攻撃もしないといけないうえに、サーブレシーブを中心にするあとの二人(水町、荒尾)は1年生なので、自分が中心となってやらないといけないと思っていました。またシニアに選んでもらってパスもしてスパイクも打てるようにならないといけないと思ったこともあって。今年試合がない分しっかり練習できる期間が長かったから、その練習の成果が出てきていると思います」。サービスエースを取られたのは、今大会を通してわずか1本。それは目立つものではないが、確実に強さの基盤を築いている。

 いよいよ明日は決勝。「どんな相手が来ようとも、持っている力を全部出すだけ」(松井監督)。悲願の優勝、前人未到の四連覇へーー。持ちうる武器を手に戦火を交える。

(記事 西山綾乃、写真 平林幹太)

 
(※1)ブレイク…連続得点をすること

(※2)Aパス…セッターの定位置にきれいに返球できたサーブレシーブ

(※3)パイプ…中央からの速いバックアタック

 

セットカウント
早大25-21
25-18
25-22
順天堂大
スタメン
レフト 大塚達宣(スポ2=京都・洛南)
レフト 水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)
センター 村山豪(スポ4=東京・駿台学園)
センター 上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)
ライト 宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 中村駿介(スポ4=大坂・大塚)
リベロ 荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――決勝進出おめでとうございます

4年生を中心にチームは頑張っていたので、ほっとしていますし、よくここまで頑張ってくれているなと思います。

――今日の試合を振り返っていかがですか

順天堂大学はうまさのあるチームだったので、我々の弱点を研究されていて、相当向かってこられましたね。それに対してうちは近畿大学でピークを持ってきたというのもありますが、それで頑張った分体が重かったなという感じはしていますね。

――連戦なのでとても疲れがたまっていると思います

それはありますね。それでもそういう顔をせずに戦っていたのは立派だと思います。

――順天堂大の特徴を教えてください

左の9番の岡本君(捷吾、3年)が中心となるチームです。彼に決められたら仕方ないだろうと思っていたのですが、そこをしっかりマークしていたら(岡本の)ミスが27%くらい出ていました。3本に1本ミスしているような数字には落とし込めたので、我々がやっていたことは正しかったですね。そこは良かったのですが、逆に自分たちの攻撃でブロックされたりコート外に行ったりというミスがだいぶんあったので、その部分で相手にリードされたのかなというのはありました。

――全日本インカレを初めて経験する1年生の水町泰杜選手(スポ1=熊本・鎮西)、荒尾怜音選手(スポ1=熊本・鎮西)についてですが、お二人の今日のプレーはいかがでしたか

1年生は満点だと思います。ただチーム全体として前回の試合に比べて向かっていく元気がなかったと思います。上級生は決勝に行きたいという願望が出てきて、力が入っていましたね。近畿大との試合では自分たちの力を出すことを意識して臨みましたが、今回は優勝まであと一つになって、目の前の決勝が見えていたので。僕はそういう目で見ています。

――決勝で選手たちに期待したいことは何ですか

コロナ禍で試合ができるかできないかという不安の中で大会ができました。4年生にとっては最後の大会なので、自分たちらしさを全部出してほしい、それだけですね。その先に勝利がついてくるので、勝ちを意識せずに持っている力を全部出してほしいなと思います。

宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)

――決勝進出おめでとうございます

今日も勝って決勝に進出できたので、本当に良かったですしほっとしています。

――今日の試合を振り返っていかがですか

連戦の疲れが今日見えたのかなと思って。けっこうこっちからのミスも出て接戦になりましたが、その中でセットを取れたのは良かったと思います。

――順天堂大の特徴を教えてください

攻撃面ではサイドに速いバレーを展開してきました。セッターも色々トスを散らしてきて、早稲田からしたら嫌なチームでした。守備も粘り強くて一発では決まらなくて、ストレスがかかりました。

――これまで早稲田がリードしてきた試合が多くありましたが、今回初めて接戦になりましたね

今までは序盤から自分たちがリードする展開になっていましたが、今日接戦になりました。自分たちが100%先に走れるわけではないし、こういう展開になることは決勝ではあると思うので、そこでどうやって点差を詰めていくかとかは考えないといけないなと思いました。

――決勝に向けての意気込みをお願いします

体のコンディションを整えて、後悔しないようにスタッフやベンチメンバー、応援してくれるメンバー、みんなで一致団結して戦いたいなと思います。

大塚達宣(スポ2=京都・洛南)

――決勝進出おめでとうございます!

ありがとうございます。勝てて良かったです。

――これまで早稲田がリードしてきた試合が多くありましたが、今回初めて接戦になりましたね

今まで関東の大学とは当たっていなかったので、久しぶりに対戦して競った展開の試合で勝ち切れたというのは決勝への自分たちの自信にもつながると思うし、すごくいい試合だったと思います。

――今日の試合を振り返っていかがですか

競った展開、20点以降の勝負で3-0で勝ち切れたのはすごく大きいと思うし、その中で自分たちのやるべきことをやって25点取り切れたのは良いことだと思います。逆にもっと自分たちがブレイクできるチャンスはあって、そこは取りこぼしてしまうと決勝では危ない試合になることもあると思うので、そういう意味では自分たちの課題は見えたと思います。

――前よりもサーブレシーブが良くなっているように思います

去年よりはうまくなりました。今年めっちゃ練習してたんですよ。去年だとパスしてくれるディフェンス型の選手がコートにいてくれたというのがあって自分は打つだけでよかったんですけど。パスもしてパスからの攻撃もしないといけないうえに、サーブカットを中心にするあとの二人は水町君、荒尾君の1年生なので。自分が中心となってやらないといけないと思っていたし。シニアに選んでもらってパスもしてスパイクも打てるようにならないといけないと思ったということもあって。今年試合がない分コツコツみっちり練習できる期間が長かったから、その練習の成果が出てきていると思いますし、それがこうやって今につながっているからもっと磨いていけるように頑張りたいと思います。

――全日本インカレが始まってから調子が上がってきているように見えます

秋の代替大会よりも上がってきていると思います。プレーだけじゃなくて指示を出す声だったりとかプレー以外のところも自分がこうしたいというのを表現できるようになってきたと思うので、それを自分のプレースタイルだと思うし、それを今年1年の自分の役割だと思っているので、決勝でもプレーでもそれ以外でも自分らしさを出していけたらいいなと思います。

――決勝進出を決めていかがですか

決勝はセンターコートでの試合なんですけど、まだそんなに実感がないというか(笑)でもインカレ最後の試合で、勝っても負けてもこれが最後になるので、最後は自分たちがやってきたことを全部出せたらいいかなと思います。

――どうして実感がないのでしょうか

やっぱり去年と比べて寂しくないですか?周りの歓声もないし自分たちのコート内の声しか聞こえないので。中継とか見ていてもコート内の声しか聞こえないから寂しいなと思います。応援はあった方がいいですね。決勝は観客が入るので楽しみです。

――決勝に向けて意気込みをお願いします

4年生とできる最後の試合になるので、最後は勝って終わりたいです。コートに入っているからこそ、プレーでチームに貢献することができると思うので、優勝に貢献できるプレーをして、コート内コート外も全員で早稲田というチームで勝ち切れるように頑張りたいと思います。