東京五輪内定者会見 長距離種目の陸上・日本選手権で東京五輪代表内定を決めた選手たちが5日、大阪市内のホテルで会見した。女子5000メートルの田中希実(豊田自動織機TC)、女子1万メートルの新谷仁美(積水化学)、男子1万メートルの相澤晃(旭化…

東京五輪内定者会見

 長距離種目の陸上・日本選手権で東京五輪代表内定を決めた選手たちが5日、大阪市内のホテルで会見した。女子5000メートルの田中希実(豊田自動織機TC)、女子1万メートルの新谷仁美(積水化学)、男子1万メートルの相澤晃(旭化成)が出席。レースから一夜明け、田中は「涙が出た」というメッセージを多くもらったことを明かし、責任を持って戦い抜くことを誓った。

 21歳の田中は、廣中璃梨佳(日本郵政グループ)と1秒46差の15分05秒65で初優勝を飾り、五輪初出場を決めた。1学年下のライバルとのデッドヒートを繰り広げた激走。一夜明けた会見で「苦しい思いをして権利を獲得した。苦しかった分、嬉しいよりもまだ信じられないというか実感がわかない」と心境を明かした。

 若い世代の火花散るレース。新女王は多くの祝福を受けた。「直接会場でお会いした人とか、LINEでメッセージをくれた方々がいた。意外ですが、『泣いた』『涙が出た』という言葉を多くもらった。私も出しきれたけど、そこまで何かを感じてもらえたのは嬉しかった」。無我夢中で戦い抜き、心を揺さぶる争いだったことを知った。

 快走を見せた一方で、課題もある。「技術、体力を上げていく必要はあるけど、昨日までの苦しみの中でも精神的な弱さを自分自身感じていた」と吐露。「そこの部分の底上げをしないといけない。苦しみ抜いて結果を出すことが必要だけど、苦しいで終わるだけではなくて、しっかりそこで笑顔になって結果を出して人の心を動かせれば」と21歳らしからぬ広い視野で先を見据えた。

五輪内定でさらに高まる向上心「去年より今年、今年より来年」

 昨秋のドーハ世界陸上5000メートルで自己ベスト15分0秒01をマーク。今季は7月に3000メートルで2002年の福士加代子を、8月に1500メートルで06年の小林祐梨子を上回る日本新記録を叩き出していた。5000メートル以外の種目で五輪代表を狙うかどうかは決めていないが、今後はどの種目とも幅広く向き合い、5000メートルの強化に繋げていく。

「もっと堂々と5000メートルを走りこなせる選手になりたいという思いが昨日で強くなった。私はどの種目でも強くなりたい。去年より今年、今年より来年という取り組みをずっと続けていく。来年、最大限の力をつけて臨めたら。それだけ準備期間が長くなるので、今よりも強くなって臨める」

 会見では、ライバルとしてともに戦ってきた選手たちの努力や心の葛藤にも思いを馳せながら「だからこそ、責任を持って次からも頑張りたい」と日の丸を背負うランナーとして強い決意を滲ませた。(THE ANSWER編集部)