サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~Question左サイドでラッシュフォードが顔を上げた瞬間、カバーニはどう動…

サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~

Question
左サイドでラッシュフォードが顔を上げた瞬間、カバーニはどう動いた?

 今季、マンチェスター・ユナイテッドに加入したエディンソン・カバーニが、いよいよストライカーとしての真価を発揮し始めた。

 プレミアリーグ第10節サウサンプトン戦、0-2で迎えた後半開始から投入されると、2ゴール1アシストとすべての得点に絡み、3-2の逆転勝利へと導いた。

 昨季終了後に、パリ・サンジェルマンを契約満了で退団したものの、次の所属先がなかなか決まらなかったカバーニ。10月に入りようやくマンチェスター・ユナイテッドと契約を結ぶと、第6節チェルシー戦から途中出場で徐々にチャンスを得てきた。

 第8節エバートン戦では、後半37分から投入され、アディショナルタイムにプレミアリーグ初ゴールを記録した。

 そしてリーグ5試合目の出場となったサウサンプトン戦。前半で0-2のビハインドと厳しい展開から流れを変えるために投入され、カバーニはその起用に見事に応えた。後半15分にブルーノ・フェルナンデスのゴールをアシストすると、29分にはダイビングヘッドで同点弾を叩き込んだ。



左サイドからクロスが入ってくる状況。ゴール前のカバーニは、どこのスペースへ動いただろうか

 さらに、後半アディショナルタイムだ。ユナイテッドは敵陣でFKを得た。そのFKを、ブルーノ・フェルナンデスは左サイドのマーカス・ラッシュフォードへパス。ラッシュフォードがコントロールしてルックアップしたその瞬間、ゴール前のカバーニはどう動いただろうか。

Answer
ダイアゴナルにニアへ飛び込んでヘディングシュート

 左サイドのラッシュフォードへパスが出された時、サウサンプトンの中央の守備陣は全体的に下がっていったが、その瞬間からカバーニの駆け引きは始まっていた。



カバーニは相手DFラインのギャップを突き、斜め前のニアサイドへ。ヘディングシュートを決めた

 カバーニのマークについていたヤニク・ヴェステルゴーは、ペナルティーエリアの危険な中央スペースを埋めていた。それに対してカバーニはあまりその場から動かず、相手がボールと同一視野に入れづらい、斜め後ろにポジションを取っていた。

 そしてラッシュフォードがルックアップした瞬間、ヴェステルゴーは中央スペースに真っ直ぐ下がり、クロスへ対応しようとする。一方、カバーニの前のヤン・ベドナレクは一瞬止まったため、DFラインにギャップができ、ニアサイドにスペースが生まれた。

 この状況を見てカバーニは、素早くダイアゴナルラン(斜め方向への動き)。空いたニアスペースへと鋭く動くと、ラッシュフォードは低くて速いピンポイントクロス。

 ヴェステルゴーは、途中でカバーニの動きに気づいてシュートコースへと走るも、間に合わず。カバーニは頭に薄く当ててボールの軌道を変え、ゴールのニアサイドに流し込んだ。

 最初のポジショニングの駆け引きから動き出しまで、カバーニがゴールを量産できる理由が凝縮された、ストライカーのお手本と言える逆転ゴールだった。