最優秀新人賞候補のひとりである。

 今季の日本最高峰ラグビートップリーグで一気に注目を集めたのが、リコーの松橋周平だ。身長180センチ、体重99キロと、数字上は決して大柄ではない。それでもボールを持つ機会の多いNO8の位置に入り、鍛え上げられた胸板、足腰、上腕をフル稼働。突破力をアピールする。

 快調な足取りでシーズンを駆け抜けるなか、こんなことを話している。

「最近はマインドコントロールができるようになってきた。いまも毎試合、毎試合、楽しみで…」

 チームのレギュラーを獲得するだけでなく、今秋は日本代表入りも果たす。ここでは、NO8と同じFW第3列のFLを任された。

「さらに成長したい。もっとレベルアップしなきゃいけない。いま、その意欲が凄いです!」

 このツアーに際し、松橋と同じFW第3列での代表辞退者が続出。昨秋のワールドカップイングランド大会で主将だった身長189センチ、体重105キロのリーチ マイケル、同大会に出場した身長196センチ、体重111キロのマイケル・ブロードハーストらは、候補メンバーにも名を連ねなかった。

 ぶつかり合いでの優劣は未知数とされていたが、ふたを開けてみれば、松橋は持ち前のフィジカリティを存分に発揮した。

 自身が出場したゲームは3戦全敗だったものの、南米のアルゼンチン代表、欧州のウェールズ代表、環太平洋のフィジー代表と、各地域の強豪と対峙。タックルでランナーを倒す。ボールを持って人垣を突っ切る。そうした勝負の根っこを支えるプレーで、引けを取らなかった。

「明らかに通用していたかはわからないですけど、自分なりに手ごたえはありました。スキルがあれば、(大きな相手も)倒せる」

 12月18日、東京・秩父宮ラグビー場。貴重なツアーから帰国して3つ目の試合に挑んだ。国内最高峰トップリーグの第12節で、3連覇中のパナソニックとぶつかる。

 第11節の試合で身体を強く痛めたため、この日に向けた練習にはほとんど参加できなかった。それでも存在感と実績を買われてリザーブ入りし、さらに、試合直前のチームメイトのアクシデントを受けてスターティングメンバーに入っていた。

 ノーサイド。17-45で屈した。後悔の念を明かしてから、気持ちの切り替えを誓った。

「スタメンに入った以上はやるしかないと思って臨んだんですけど、あまりいい状態ではなかった。準備していなかったところもありますし、もっとできた、やりきれない…。ただ、あと3戦、続くので、チームの勝利に貢献していきます!」

 国内シーズンが終わった2月からは、またも世界へ挑む。国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するサンウルブズへ加わるのだ。

 日本代表強化を目的とするサンウルブズからは、今秋の遠征が始まるタイミングで声がかかったという。過密日程下のフィジカルバトルで、自分の力を試したいという。

「南アフリカの選手たちとやれるなか、自分のフィジカリティ、ハードワーク、ブレイクダウン(接点)でのスキルがどこまで通用するか…。楽しみです。チームのシステムに合わせて、自分の強みを出していきたいです」

 スーパーラグビーでは、南アフリカやニュージーランドなどの強豪クラブと対戦する。特に南アフリカの各チームは、歴史的にフィジカリティを重視。攻守両面で巨躯が迷いなく突っ込む環境のもと、日本有数の突進役がどこまで対抗できるか。(文:向 風見也)