第3回は岡本隼(商4=滋賀・彦根東)、中村祐貴(スポ4=北海道・札幌西)、前田理玖(スポ4=福井・高志)の3人。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)で攻守ともに大活躍をした彼らの目線でチームとして躍進を遂げた秋季リーグを振り返っていただいた。※…

第3回は岡本隼(商4=滋賀・彦根東)、中村祐貴(スポ4=北海道・札幌西)、前田理玖(スポ4=福井・高志)の3人。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)で攻守ともに大活躍をした彼らの目線でチームとして躍進を遂げた秋季リーグを振り返っていただいた。

※この取材は11月15日に行われたものです。

「悔いなく笑って終われたのは本当によかった」(前田)


秋季リーグでの自身のプレーについて振り返る前田

――秋季リーグは準優勝という結果となりましたが、このリーグ戦はどういったようなリーグ戦になりましたか

岡本やっぱり最後優勝目前にして大会が中止になったということだったので優勝目指していた身としては悔しい思いはやはり残りました。

前田僕的には最後の集大成として迎えたリーグは4試合しかなかったんですけど、本当に全試合めちゃくちゃ楽しんできたので悔いはないというか。悔しさもあるけれど悔いなく笑って終われたのはほんとに良かったなと思っています。

中村コロナの影響で4試合しかできなかったわけですけど結果的に全勝して、練習試合も全勝していてっていう早稲田で結果的にこんなにも強い代はなかったんじゃないかなと思っているのでそこは伝説を残せたと思っています。

――昨年度と比べかなり大きく順位を伸ばしたような印象がありましたが、その要因はどこにあると思われますか

前田僕ら選手の中でもこれは話すことがあって、中には今回の秋リーグの順位の要因は4年生の仲の良さって言う人もいます。4年生がレギュラーに多くいるチームが気持ちの面で勝っているから僕たちが勝ったんじゃないかと言われていたんですけど、僕は去年から結構出ている選手が多くて去年の経験をすごく生かしている選手が今年は多かったなと思っていて。去年出ていた選手は試合中やはり余裕があったように思えます。

中村今年、早稲田は後半強いと言われていたのですがそうではなくて他の大学が弱いなと思っていて。結構、走り方がほぼ4試合そんな感じで。なんでかなって考えると僕らはコロナが流行っている状況でも日本一を取るという目標は常に見失わずに結構走っていたんですよね。多分、他の大学とかはそこまでやっていなかったんじゃないかなと。おそらくそれが試合の勝敗に直結していたんじゃないかと思っています。

前田うーん、それは確かに。3月後半から6月まで練習できてない期間とかやっぱりあって。でもそのときにzoomでトレーニングしたりとか練習できてない期間の取り組み方で、最後の試合後半のパフォーマンスとかの差が出たのかなと思っています。

岡本オフェンスでのミスを減らそうっていうことを目標にしていたんですけど、ミスはやっぱりあって。でもその分ディフェンスでの集中力というところが試合を通してできていたのでそれがやっぱり安定した勝利につながったのかなと思います。

――秋季リーグを通してどのようなプレー/役割をチームの中で果たせたと思いますか

前田僕は去年から試合に出ていたのでチームの得点源としてしっかり活躍しようと決めていて。ただ去年と違ってディフェンスを要とするチームにしなければならないと言うことがあるので、オフェンスだけでなくディフェンスでも貢献しなくちゃいけないというところがありました。なのでリーグまでは迷惑かけることもあったんですけど、オフェンスだけではなくてディフェンスにも集中してやっていました。

中村僕らは似ているのですが役割がディフェンスの真ん中守っていてディフェンスに徹しなければと思っていました。ただポストでも点を取るだけじゃなくて味方を生かすプレーとかを理玖(前田理玖)とか阿南(阿南遼星、スポ4=大阪・大体大浪商)とかにできたんじゃないかなと思っています。

岡本去年はディフェンス専門で試合の後半から出ることが多かったんですけど今年はオフェンスも入るっていうことで試合全体通して、まぁ結局ディフェンスメインなんですけど試合全体通して貢献できたかなとは思います。

――リーグ戦での個人での/チームでの反省点は何かありましたか

前田個人だったら得点を取った代わりに逆にミスも結構してしまったのでミスを減らしながら得点とか味方を生かすプレーができたかもしれないというところですかね。

岡本祐貴はあれじゃね?試合前にトイレ行ってテーピング巻けなくて試合最初出られなかった事件(笑)。

中村それはあるね(笑)。

岡本マジで反省した方が良い(笑)。

中村早慶戦はそれ気をつけないと(笑)。

岡本僕に関してはシュートを外すのは多かったですね。

中村僕個人としてはテーピング問題だけなので(笑)。ただ練習していたよりも相手チームのオフェンス力がすごく高くて想定していないプレーもやられたときになかなか修正できずに国士舘戦とか前半ズルズル行っちゃったこともありました。そこは臨機応変に、プレー変えるのも大事ですけどそれをコートに出ている7人全員が把握しないといけないのでそこの問いかけが十分できなかったなとは思います。

――コロナウィルスの影響で秋季リーグ戦までにかなりの時間を要してしまいましたが、その半年間の間はどういったことを個人で取り組まれていましたか

中村まぁ…バスケかな(笑)。ハンドボールはキーパーがいてゴールがあって人がいないとできないんですけどバスケはキーパーがいなくてもできるのでバスケをしていました(笑)。

岡本ご飯をいっぱい食べました。その期間サボっていたらもっと減っていたと思います。まぁ増量ですね。

前田筋トレとかはみんなやっていたよね。僕も個人で言うとめっちゃご飯食べて増量しました。

中村まぁそれは良かったよね。フィジカルの強さが試合に生きたし。

前田ウェイト班というのがあるんですけど、4、5人のグループで分かれていてそのグループごとに、結構実家に帰っている人とかも多かったのでその班同士でずっとzoomでトレーニングしていました。

――今季リーグでは4年生のみならず下級生の活躍も目立ったリーグ戦となりましたが、来年度、下級生に期待したいプレーは何かありますか

中村僕らが今年確立したチームカルチャーというのがスーパースターとかがいなくても泥臭くプレーをして最後に勝つというカルチャーです。なのでそれを来年は引き続いてラントレ(=ランニングトレーニング)を死ぬほど頑張ってもらって(笑)。めちゃめちゃディフェンシブだけどオフェンシブなチームを見たいなと思っています。まぁ要はラントレがんばってくださいと言うことです(笑)。

岡本まぁ絶対俺らよりも能力あるよな。

前田いやそれはほんとにそうだと思う。やっぱり個人個人は僕らよりもよっぽど上手かったりすごい選手が多いので。後はやっぱりその歯車が。やっぱり1人だけ上手くても全員の息が合わないとハンドボールは勝てないので。まぁ,仲良くなってもらって(笑)。仲の良さはやっぱり大事だと思っていて、仲良いととしゃべるじゃないですか。コミュニケーションとか。仲良くなっていっぱい喋ってもらったら結構良いチームになると思いますね。

岡本みんな紺碧(※紺碧寮)に入ればいいと思う(笑)。

中村本当、それはそうだな(笑)。

岡本いやもうほんとに言った通りで僕らよりも能力があってスキルもあるメンバーなので、まぁ言うとしたら遠慮がちな選手が多いかなと。そういう人たちがもっと意見を言う環境だったりがもっと整えば良いと思います。

――具体的に期待されている選手はいらっしゃいますか

岡本僕は福田(福田友貴、スポ3=神奈川・法政二高)ですかね。フィジカルも握力もハンパないので今後のディフェンスの要になっていくんじゃないかなと思っています。

前田結構みんなに期待しているんですけどキーパーの匠(中村匠、スポ3=千葉・市川)とかですかね。今年レギュラーで匠以外は4年生と言う中でやりにくい部分もあったかもしれないですけどめちゃめちゃ止めてくれてもちろん智宇(塚本智宇、スポ1=富山・高岡向陵)も止めてくれたんですけどキーパーはほんとに日本でも12を争うキーパーが2人揃っているのでもっとしゃべってほしいかなと(笑)。キーパーからチームを作るぐらいの行動をして欲しいなとは思います。

中村僕は健友(中惣健友、スポ2=石川・小松)ですね。熱いハートを持っていてハンドボールに対しての情熱があると思うので、まぁ僕を見習って素晴らしいディフェンダーになってほしいかなと思います(笑)。今年のリーグ戦から多分出ていたんですけどまぁ要所要所で得点決めたり外したり、あいつも思うところがあると思うので来年の健友に期待したいと思います。

「ハンドボールについて深く知った」(中村)


1年生時の下積み時代の話をする中村

――今年度で引退されてしまいますが、4年間を通してどういったところが一番成長できたと思われますか

岡本フィジカルが大きいんじゃないですかね。身長もちょっと伸びましたし。

中村この3人全員は大学入ってから20キロ増えたしね。

岡本20キロ盛りすぎやろ(笑)。

中村俺らは20キロ増えたよ(笑)。

岡本じゃあ僕だけですね20キロが増えてないの(笑)。まぁでもそれが自信にもなりました。プレーでも余裕が出るというか。

中村個人的には僕はハンドボールについて深く知ったというのが一番大きいと思っていて。ありきたりに聞こえるんですけど僕は高校の時はすごい弱小校で地区大会1回戦負けの高校だったんですけど、大学入ってから一生懸命ハンドボールを見たり体験したりして、4年生の後半は自分がこういう展開だから次こういう展開になるよとか後輩に教えられるぐらいハンドボールについて知ったというのが僕が1番成長したところかなと思っています。

前田ここ3人は全員弱小校出身で同じような境遇だったのでお互いに頑張ろうなって言っていて今に至るので。

中村いや俺はほんとにこれ、普通に凄いと思うんだよね。

前田一年生の時、僕ら紺碧寮に最初に入って、僕ら以外遠藤(遠藤遼、スポ4=神奈川・法政二高)もいたんですけど。その時にみんな試合出てるなってお互いに言ってて、それをめちゃめちゃ覚えているんだよね。

中村他の大学とか日本代表レベルがゴロゴロいるんですけど僕らはそんな人はいなくて逆に勉強で入ってきた奴らがほとんどなんですよ。だから今回のリーグで4勝できたのは本当に成長できたなと思っています。

――4年間で一番辛かったシーズンや時期はありますか、その理由もお聞かせください

岡本場ゲロした時かな…。

中村場ゲロって言い方なんか酒酔った時みたいな感じだけど違うよね(笑)。

岡本お酒じゃないですよ、本当に(笑)。ラントレで走りすぎて最後の集合で、ちょっと咳き込んじゃったらそしたら勢いでそのまま出ちゃいけないものが出ちゃって(笑)。

前田いやあの時はシーンとなったよね、ほんとに(笑)。

中村僕は2年生の時ですね。1年目は試合に出てなかったんですけど2年目になって急に試合に出させてもらえるようになって、2年生で初心者って言ったらアレですけど初めて試合に出るやつだから大目に見るかというか先輩のそういう目が逆に辛くて。早く認められるように頑張ろうっていうのは思っていたんですけどやっぱり辛かったですね。

前田僕は何でもポジティブシンキングするんで。あんまり悩むということがないんですけど普通に一年生の頃のリーグ期間とか仕事が結構多くてきつかったかなと(笑)。

中村辛すぎてもう俺、記憶がなかった(笑)。

前田寮の人は仕事が多くてよく喧嘩じゃないけどバチバチしてたな。

岡本朝起きなきゃいけないのに起きてこない奴がいるとか(笑)。バチバチ系って言ったらそんな感じだよね。

中村『起床』とかまだあったよね、俺らの頃は。

岡本練習の1時間前に絶対に先輩の部屋に行って、「失礼します。練習1時間前です」って言って起こしにまわるんですよ(笑)。それを30分後ももう一回やらなきゃいけなくて。で、その時間を縫って体育館とかでいろいろ準備しなきゃいけなかったっていう。もう今はないですけどね。

中村隼は、昼寝した後に起こされた機嫌悪い4年の先輩とかに「1時間前です」って言わなきゃいけなくて(笑)。

岡本そうそう(笑)。

前田それ以外のことだと…。例えばユニホームを洗濯して、土曜日が午後の試合だとして日曜日が朝の試合だとするじゃないですか。まず1回洗濯するんですよ。で、洗濯しているところを4年生に見られちゃいけないんですよ、絶対に(笑)。僕らが洗濯機の前でずっと見なきゃいけなくて(笑)。絶対に先輩が来ない洗濯機を使っているんですけど一応いなきゃいけないから。で、終わったら明日の朝まで時間がないんですけど乾燥機とか絶対使っちゃダメなので。

岡本縮むからね。

前田乾かすんですけど、絶対乾かないんですよ(笑)。だけどドライヤーとかも使っちゃいけなくて。だからどうするかって言うと暖房をガンガンにつけるっていう(笑)。

中村僕らは2部屋あったんで1つの部屋を犠牲にしてね(笑)。

岡本あったなー、そんなこと(笑)。

中村その苦行が仲の良さを作りましたね(笑)。

岡本今はもうそんなこと(風習)はないけどね(笑)。

――最高学年になってから意識/行動の面で何か変わったことはありましたか

中村でも去年から先輩はわりとおとなしい方だったし俺らが割と去年から試合出てるのが多い学年でもあったので、4年から特に変わったこととか特にないですね。3年生ぐらいからみんな自覚を持って僕はやれていたかなと思います。

前田キャプテンとか副キャプテンとかはいろいろ考えていたかもしれないけど。

中村まぁ割と俺らはのびのびとしていたよね(笑)。

岡本のびのび勢だったので、僕らは(笑)。

――この学年での1番の思い出は何かありますか

岡本僕らの学年は11人もいるのであんまり全員で集まるというのは、完全に揃うということはなかなかね。本当に箱根旅行ぐらいじゃないかな。全員で揃ったのって。

前田プレー面とかで良かったなってなったのは本当にここ最近ですね。

中村先週の水、木曜日あたりとかかな(笑)。

前田ここ最近は4年生対下級生と言う試合をするのでめっちゃ楽しいんですよね。

岡本まぁ勝つしね(笑)。

――3人での思い出でも大丈夫です

中村1番って難しいね…。

岡本1年生の頃、台風の中4人で川に行って入っていて怒られたって言う(笑)。

中村台風の次の日で川が増水しているのに入っていったから怒られたんだよね(笑)。

前田じゃあ1番の思い出としてはそれですね(笑)。

――4人とおっしゃっていましたがあと1人はどなただったんですか

前田遠藤(遠藤遼、スポ4=神奈川・法政二高)ですね(笑)。

岡本遠藤は最初、紺碧寮に入っていたので。

「今年の強い早稲田っていうのをみんなに見せられるような試合をしたい」(岡本)


早慶戦での活躍を約束する岡本

――引退試合となる早慶定期戦では、どういったようなプレーをしていきたいですか

岡本僕、回転シュートしたいんですよね(笑)。

中村全員トリプルスカイでもする(笑))?

岡本真面目な話をすると、ディフェンスに割いていた時間が長かったのでその集大成としてプレーしたいなと。慶應には特殊な7人攻撃と言う攻撃展開もあるのでしっかり注意してめちゃめちゃボコボコに守りたいと思います(笑)。

中村ボコボコに守りたいよね(笑)。今まで僕の記憶だと慶應をボコボコにしたっていう代が1回あったんですけど、他の代は結構接戦で。4年生のための早慶戦というところもあると思うんですけど全員出てほしいので、前半で勝負を決するような完璧な試合をしたいなと思います。

――最後の質問となりますが、定期戦への意気込みをお願いします

中村理玖とかは違うんですけど、僕とか隼はこの早慶戦が本当に(ハンドボールをする)最後の機会になってしまうので。僕、スポーツの試合で泣いたことがないんですよ。なので早慶戦で勝ってうれし涙みたいなのを流したいなと思います(笑)。

前田まぁ僕は通過点なので(笑)。でもさっき、めっちゃ大差で勝つということを2人も言ってくれていたと思うのですがこれは絶対だと思っています。またライブ配信があるみたいなので再生回数を伸ばせるぐらいのプレーを、派手なプレーを最後にして引退したいなと思います(笑)。

岡本ライブ配信があるということなので、僕の実家は滋賀なので(家族とかが)試合会場に来られなくても見てもらえるということが逆にメリットでもあると思っています。今年の強い早稲田っていうのをみんなに見せられるような試合をしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋さくら、手代木慶)


 

これまでの4年間を振り返っての一言を色紙に書いていただきました!

◆岡本隼(おかもと・じゅん)(※写真中央)

1998(平10)年5月4日生まれ。182センチ。滋賀・彦根東高出身。商学部4年。対談中、質問に対して様々な話題を交えて盛り上げてくれました。チームの中ではディフェンス面での活躍が大きい岡本選手。早慶戦でも鉄壁のディフェンスでチームを盛り上げてくれることでしょう!

◆中村祐貴(なかむら・ゆうき)(※写真下)

1999(平11)年3月8日生まれ。187センチ。北海道・札幌西高出身。スポーツ科学部4年。弱小校出身でありながらも大学ではハンドボールに『全集中』して、深く知ることができたと語る中村選手。4年間で身につけた経験やフィジカルを活かして早慶戦ではチームに勝利をもたらしてくれます!

◆前田理玖(まえだ・りく)(※写真上)

1999(平?)年2月22日生まれ。185センチ。福井・高志高出身。スポーツ科学部4年。昨年から試合に出場しており、チームの得点源である前田選手。自粛期間に強化したフィジカルを活かして、今期リーグではディフェンス面での貢献もありました。早慶戦は通過点だと話す前田選手は、攻守ともに会場を沸かすようなビッグプレーに期待です!