1984年の番組大改革によって新設されたマイルGI競走で、グレード制の導入、天皇賞・秋の距離変更とともにJRA新時代を象徴するレース。一貫して京都競馬場芝1600m戦を舞台としてきたが、37回目を迎えた今年は初めて阪神競馬場で開催される…

 1984年の番組大改革によって新設されたマイルGI競走で、グレード制の導入、天皇賞・秋の距離変更とともにJRA新時代を象徴するレース。一貫して京都競馬場芝1600m戦を舞台としてきたが、37回目を迎えた今年は初めて阪神競馬場で開催される。

 強い馬が勝つはずの定量戦のGI競走だが、過去10年で1番人気馬は、なんと2着3回3着2回で勝っていない。それでも2〜5番人気で8勝2着6回と、人気の上位馬はしっかりと馬券に絡んでくるケースが多い。

 今年の場合は、3歳世代から3頭のマイルGI優勝経験馬が出走しており、その力関係の比較がポイントになりそうだ。

 前走の毎日王冠で、はっきりと成長のあとが窺えた◎サリオスを本命に推す。春シーズンに減っていた馬体をしっかりと元に戻し、古馬相手に最後は流すようにして3馬身差。天皇賞・秋を見送り、ここに目標を絞ってきた。半姉にエリザベス女王杯2着サラキアがいる血統で、父はハーツクライ。ただし、筋肉量に恵まれた馬体は、字面の血統表よりもやや短めの距離に適性を示すようにも見えるし、実際2歳時には東京マイルのサウジアラビアロイヤルCをレコード勝ちしている。あまりにも強かった前走と、皐月賞でコントレイルを苦しめたレースぶりから、今回の距離がベストディスタンスかどうかは判断に迷うところだが、少なくとも適性がないとは言えない。

 連覇を狙う○インディチャンプが侮れない存在だ。昨年の安田記念は、アーモンドアイに大きな不利があったとはいえ同馬を3着に退け、今春の安田記念も落鉄しながらもゴール前の2着争いで同馬を苦しめた。予定していたスプリンターズSを使えなかったのでやや割り引いたが、春のマイラーズCは本当に強かった。マイラーとしての完成度では一日の長があり、キャリアを武器に若いチャレンジャーを受けて立つ立場だ。

 悩んだのは3番手だが、NHKマイルCの勝利に敬意を表して▲ラウダシオン。あまり人気にならないタイプで、NHKマイルCに勝ったときも9番人気だったが、大きく崩れたのは2歳時の朝日杯のみ。今回、そのときと同じ舞台というのが少々気になるが、富士Sは古馬相手に56キロで頑張った。敗れはしたが、2着を確保したあたりは、この馬の矜持だろう。NHKマイルC、逃げたレシステンシアをぴったりマークして余裕たっぷりに交わしたレース内容は印象的。このメンバー相手にどこまでできるかをしっかりと見極めたい。

 その△レシステンシアは昨年の2歳女王だ。今回は骨折明けの1戦だが、阪神ジュベナイルフィリーズをコースレコードで制し、重馬場で行われた桜花賞でも2着。今シーズンは勝ててはいないものの、直線の長い東京マイルでも結果を残しており、マイラーとして高い能力を示している。ダイワメジャー産駒で、母はアルゼンチンの活躍牝馬。血統どおりのパワー型のスピード馬に成長している。自分でレースをつくれる強みを生かして欲しい。

 3歳春までは先行力を武器にしていた△グランアレグリアは脚質転向に成功して安田記念、そしてスプリンターズSで驚くような瞬発力を披露した。450キロ台でデビューした同馬が500キロを超えるまでに成長し、成長した分パワーアップの印象を受ける。好感だ。