アバン:KO-D無差別級王者として、22日東京・後楽園ホールで開幕するDDT最強決定リーグ戦「D王 GRAND PRIX 2021」に参戦する遠藤哲哉選手。本人曰く、今年は激動の一年だと。そこで2020年を振り返ってもらった。 --少し早…

アバン:KO-D無差別級王者として、22日東京・後楽園ホールで開幕するDDT最強決定リーグ戦「D王 GRAND PRIX 2021」に参戦する遠藤哲哉選手。本人曰く、今年は激動の一年だと。そこで2020年を振り返ってもらった。

--少し早いですが、今年1年を振り返って頂きたいと思います。まずは昨年末になりますが、前回のD王GP2020優勝決定戦で田中将斗選手と闘い、惜しくも破れてしまいましたね。

遠藤:田中選手に限りませんが、僕は負けるとドン底まで落ちます。選手によっては「ここから這い上がってやる」と言う人もいますが、僕は一回「ここから這い上がれないんじゃないか…」と言うところまで落ちますね。
口では「すぐに這い上がってやる」と言う時もありますが、内心は真逆です。

--2/23の後楽園で、佐々木大輔選手から彰人選手に移動した「KO-D無差別級挑戦剣(以下「挑戦剣」)」を手にしました。あの辺りから気持ちが上がってきましたか?

遠藤:「挑戦剣」を獲るまではKO-D無差別級のベルトに視線が向いていなかったですね。

--翌3月の後楽園でロイス・チェンバースが「いつどこ挑戦権」を使い、遠藤選手の「挑戦剣」に挑んできました。この時のインタビューで「お互い体力マックスの状態で戦いたい」と発言しています。

遠藤:皆さん思っていると思いますが、ロイスは飛び技に関しては世界に通用する選手です。遠藤哲哉vsロイス・チェンバース戦はDDTファンの方も期待していたと思います。
1試合戦った後なので、「良い試合」より「短時間で勝たなければ、やられてしまう」と思って戦いました。

--5月、「DDT TV SHOW#1」で樋口選手に取られた「挑戦剣」を、2週間後の「DDT TV SHOW#3」で、またしても彰人選手から奪取した「いつどこ挑戦権」で樋口選手から取り返しました。

遠藤:あの時、彰人選手から「いつどこ挑戦権」を取って、試合後すぐ樋口に挑戦したんですが、今考えると訳の分からない行動をしているなと(笑)。

--そうなんですか(笑)。あの試合後の取材で「自粛期間中に溜まったフラストレーションを、すぐに発散したいと思い、試合後に(挑戦権を)使いました」と話してくれましたけど。勢いだったのでしょうか(笑)。そして6月「WRESTLE PETER PAN 2020」で田中選手のKO-D無差別級に挑戦しました。久しぶりに田中選手と戦ってみて、いかがでしたか?

遠藤:リング上で、挑戦者として田中選手を待っている時は冷静でしたね。無観客だったのでお客さんを気にする事なく「田中将斗」と向き合いました。他のことは考えていませんでしたね。

--遠藤選手は、有観客と無観客、どちらがやりやすいですか?

遠藤:無観客の方がやりやすいかもしれないですね。本当にリング上だけに意識が持っていけるので。お客さんがいる時は、表情だったり技の見せ方であったり伝える必要があります。だから無観客の方が試合には集中できますね。

--その状況で戦った2度目の田中選手は、どうでしたか?

遠藤:D王GPの優勝決定戦で戦って、田中選手の技を受けたときのダメージは想定できていました。ただスライディングDを食らった時は泣きそうになりましたね(笑)。

--田中選手のスライディングDは受けた瞬間、記憶が飛ぶんですか?

遠藤:カウント2でギリギリ意識が戻り、カウント3前に肩を上げる感じ。あの技は本当に交通事故ですね。

--その田中選手からKO-D無差別級のベルトを奪取しました。この時期、KO-D6人タッグのベルトを持って二冠王の時期がありましたね。シングル戦とタッグ戦、自分の中で切替えができましたか?

遠藤:出来ていたと思います。6月はKO-Dタッグ挑戦も含め、タイトルマッチが続いていました。自分の中では集中力が途切れなくて良かったですね。結構、ビッグマッチのあとは、燃え尽きるタイプなんです。

昨年7月大田区、竹下に敗れたあとは「しばらく何もしたくないな」と思っていました。でも今年は11月3日大田区のあとも試合が続いているので、良い緊張感がありますね。

--KO-D6人タッグ王者時のパートナーがT-Hawk選手とエル・リンダマン選手でしたが、組みやすかったですか?

遠藤:やりやすかったですね。お二人が、いろいろな国や団体で戦っているので僕に合わせてくれるんです。だから最初から何のストレスも感じずに試合していましたね。

--#STRONGHEARTSが、いろいろな団体から声が掛かるのは、いろいろなスタイルのプロレスに合わせる事が出来るからですか?

遠藤:フリーの選手にとって、それが一番大事だと思います。

--6月27日は島谷選手と組んでKO-Dタッグに挑戦しました。

遠藤:島谷とは良い感じでベルト取れると思ったんですけど、惜しかったですね。島谷は試合から離れていた時期がありましたけど、2人で連携とかも考えつつ動きの練習もしていたので不安はありませんでした。

ただ試合になった時の感覚のズレが、島谷の唯一不安なところでした。実際、リングに立ってみたら不安はありませんでしたね。

--当時、タッグ王者・ノーチラスの上野選手と吉村選手はいかがですか?

遠藤:上野が目立ちがちなんですけど、吉村がどう考えていたのか気になりますね。多分、境遇としては僕と似ているんですよ、竹下と組んでいる時の僕と。竹下と上野。そして吉村は僕側です。
吉村は優しいところがあるんですよ。潜在的に素晴らしいものを持っているので、それを自分に向けて欲しいと思いますね。僕と同じで(笑)。
今、吉村はヘルニアで欠場しています。欠場期間というのは自分と向き合える時間がたくさんあります。そこで考え、吉村には「自分のためのプロレス」をしてほしいと思います。

--遠藤選手も何度か欠場されていますよね。

遠藤:左肘の脱臼と足の骨折です。その時は過去の自分の試合映像をみて、自分と向き合いましたね。

--7月以降、KO-D無差別級王座を2度防衛し、ケニーオメガと対戦を表明しましたが、新型コロナの影響で来日できなくなりましたね。

遠藤:それはそうだろうと思いました(笑)。ただ、「KING OF DDT 2020」で優勝して、KO-D無差別級の防衛戦の相手としてケニーを指名した事で、今回は対戦できなかったけど点と点が繋がっているので、続きはあると思っています。

--ケニー選手とは戦いたいですか?

遠藤:やってみたいです。これはやらなければいけないと思っています。それもKO-D無差別級のベルトを持っているうちにやりたいですね。

--ファンも期待していると思いますよ。そのケニーが来日できないという事で11.3大田区、佐々木大輔戦が決まりました。これは遠藤選手の中で想定していた事ですか?

遠藤:そうですね。「ケニーがダメなら佐々木大輔」というのは、僕の中で決めていました。大田区のメイン、他にも注目されるカードは有ったと思います。でも、自分のわがままを通しました。どうしても戦いたいと相手として。

--どうして、そこまで戦いたかったのですか?

遠藤:今の僕があるのは、佐々木大輔のおかげです。ここから僕が一つ上のステージに行くには佐々木大輔を倒して、また「新たな」遠藤哲哉を見せなければいけない、という考えがあり指名しました。

--9月27日、後楽園大会でDAMNATIONの同門である佐々木選手を追放しました。あれは敵としてキチンと向き合いたい、という気持ちがあったからですか?

遠藤:それもありますけど、追放に関しては向こう(佐々木)から仕掛けてきましたから。そこはお互い読み合いですよね。

--リングに上がるまで遠藤選手は、佐々木選手の追放は考えていなかったという事ですか?

遠藤:いや、一応裏ではDAMNATIONのメンバーに話していました。「もし向こう(佐々木)が追放とか仕掛けてきたら、どちらに付くかは自分たちで考えて欲しい」と伝えました。そしたら、ものの見事に皆んなが僕に付いてくれましたね。

--最後の最後、大田区の試合中にマッドポーリー選手が裏切りましたけどね(笑)。

遠藤:確かに、あいつだけはDAMNATIONの中で裏切り者だと思っていますから(笑)。

--この時期、故郷の宮城県白石市の観光大使に就任しました。気持ち的にいかがですか?

遠藤:シンプルに嬉しいですね、やっぱり19年間過ごしていた場所なので。でもまだ知らないこともあるので、白石市の新しい魅力を探っていきたいですね。

まずは入場のガウンに「白石市の文字と紋章」を入れて、少しずつPRしていきます。

--白石といえば、パフォーマンス集団 白Aの陽平さんとのやりとりがライブ配信されました。学生時代、一緒に新体操をした同級生と全く違った場所でやりとりをするのは、どういった心境ですか?

遠藤:プロレスをやっていて良かった、と思いますね。人との縁というのは繋げた方が良いんだと実感しました。

中学の同級生で連絡先を知っているのは陽平と新体操部のメンバーくらいなんですけど、去年の12月の白石大会で中学の同級生が観に来てくれたんですよ。卒業以来、会う事ができて本当に嬉しかったですね。

だから定期的に白石でも大会をして行きたいです。今、陽平は白石市に住んでいるので、次の大会ではもっと人を呼んでくれると期待しています(笑)。

--そして11月3日大田区大会、佐々木大輔戦。昨年4月アメリカで竹下選手のKO-D無差別級に佐々木選手が挑んで、勝利した佐々木選手に遠藤選手が「いつどこ挑戦権」で戦って以来ですね。

遠藤:そうですね。お互い体力フルで戦ったのは2018年8月の「KING OF DDT」のトーナメント決勝以来です。

--久しぶりに戦ってみて、いかがでしたか?

遠藤:組んでいたので、佐々木大輔というレスラーは分かっているつもりでしたけど、新鮮さを感じましたね。組むのと、対角に立つのは全然違うと思いました。

--改めて、佐々木選手の凄さは何ですか?

遠藤:大田区の試合に関しては、「試合中、この人死ぬことを恐れてないな」と感じましたね。

--コーナーポストから場外フェンスの外の遠藤選手に飛びましたね。

遠藤:外にバンバン飛びました。テクニックがあると思われがちですが、ビッグマッチだと佐々木大輔の「死ぬ覚悟」が伝わってきますね。負けっぷりも良いんですよ。武士のような「潔さ」がありますよね。

--そして、石川修司選手がエンディングに登場しました。あれはどう思いましたか?

遠藤:ポカーンとしました。「この試合の余韻に浸れないんだ…」という(笑)。

相手(佐々木)も知らなかったですからね。メインで戦った2人が石川選手の登場を知らないという。あの黒幕は音響さんだという説もあります。あのタイミングで、あの曲を流せるのは音響さんしかいないですからね(笑)。

<後編に続く>

<インフォメーション>
DDT最強レスラーを決めるシングルリーグ戦「D王 GRAND PRIX」が、いよいよ11/22後楽園ホールで開幕。現KO-D無差別級王者の遠藤哲哉選手は、昨年準優勝。今年の覇者は誰になるのか?

詳細は、DDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。

また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで、生配信されます。

遠藤哲哉 Twitter→https://twitter.com/entetsu_ddt

遠藤哲哉 インスタグラム→https://www.instagram.com/entetsu_ddt/