J1では例年、優勝争いとは別に、いくつかの順位争いが見どころになっている。特に残り試合が少なくなるシーズン終盤ともなれ…
J1では例年、優勝争いとは別に、いくつかの順位争いが見どころになっている。特に残り試合が少なくなるシーズン終盤ともなれば、なおさらだ。
まずは残留争い。シーズンごとにルールが変わってはいるが、過去2シーズンは17、18位がJ2へ自動降格となり、16位はJ1参入プレーオフへ回っていた。
つまり、下位に低迷するクラブはできれば15位以上に、最悪でも16位には入ろうと、必死で順位争いをするわけだ。
ただし、今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、公平なリーグ戦開催が担保されないことから、降格自体がなくなった。やる側にとっては、ひと安心というところだろうが、見る側にとっては、スリリングな見どころのひとつが失われた格好だ。
一方、上位に目を向ければ、AFCチャンピオンズリーグの出場権争いがある。
3位以内に入ると自動的に出場権が与えられ、もし上位3クラブのいずれかが天皇杯で優勝した場合には、4位のクラブにも繰り上がりで出場権が与えられる。つまりは3位争い、場合によっては4位争いが、嫌でも激しくなるのである。
今季J1は川崎フロンターレが2位以下を大きく引き離し、優勝をほぼ確実なものにしているが、ACL出場権争いの行方はまだまだわからない。3位、あるいは4位以内の可能性を残すクラブは、ここからが勝負となる。
しかしながら、異例のシーズンを送っているJ1では、もうひとつ注目すべき"今季限定"の順位争いがあることを忘れてはいけない。
それが、天皇杯の出場権争いだ。
今季、記念すべき100回大会を迎えた天皇杯だが、残念ながら、Jリーグの過密日程との兼ね合いで、例年どおりの大会方式を採ることができなかった。簡単に言えば、大会規模の縮小である。
47都道府県の代表に加え、アマチュアシードの1チームが出場するのは例年どおりだが、Jクラブに関してはリーグ戦の消化を優先し、ほとんどが天皇杯には出場しない(させない)。わずかな例外として出場できるのは、J2、J3の各優勝クラブと、J1の上位2クラブだけである。
すなわち、日本の最高峰リーグであるJ1に所属するクラブと言えども、今季天皇杯に出場するためには、リーグ戦で2位以内に入らなければならない。今季J1の2位争いは、例年とは比べ物にならないほど重要な意味を持っているのである。
しかも、2位以内に入って出場権さえ獲得できれば、天皇杯の大会規模が縮小されている分、頂点までの道のりはかなり短く、タイトル獲得の可能性は大きく膨らむ。
現在、3回戦まで終えている天皇杯は、アマチュアの8チームが勝ち上がっており、残る4、5回戦を経て、2チームまで絞られる。
そして、勝ち上がった2チームは準々決勝でJ2優勝クラブ、J3優勝クラブのいずれかと対戦し、それぞれの勝者がベスト4へ進出。準決勝では、いわば"スーパーシード"として登場してくるJ1の上位2クラブのいずれかと対戦し、勝者が決勝へ進むことになっている。
つまり、J1クラブが天皇杯で優勝するためには、準決勝と決勝だけを戦えばよく、しかも、準決勝の対戦相手は、J2以下のチームである。天皇杯ではジャイアントキリングが珍しくないとはいえ、普通に考えれば、J1勢が圧倒的に有利な大会方式になっていることは間違いない。
J1では、すでに川崎の優勝決定が秒読み段階。ルヴァンカップにしても決勝が延期になってはいるが(2021年1月4日開催)、タイトルの行方は柏レイソルとFC東京に絞られている。天皇杯がタイトル獲得のラストチャンスとなる他のクラブにとって、J1で2位以内に入れるか否かは、相当に大きな違いがありそうだ。
とはいえ、数字上、2位以内に入る可能性があるクラブは現時点(11月11日開催分の試合終了時点)で、首位の川崎を含めて10クラブに絞られている。言い換えれば、残る8クラブはすでに天皇杯出場の(そして優勝も)可能性がないということだ。

今季に限り注目される2位争い。現在2位のガンバ大阪がその座をキープできるか
首位の川崎(勝ち点68、残り8試合)は当確と考えれば、頭ひとつ抜け出しているのは、2位のガンバ大阪(勝ち点55、残り7試合)である。これに続くのは、3位のFC東京(勝ち点50、残り4試合)だが、ACLとの兼ね合いで試合消化が早いことを考えると、逆転はかなり厳しい。
現実的にG大阪のライバルとなるのは、4位の名古屋グランパス(勝ち点49、残り6試合)、5位のセレッソ大阪(勝ち点49、残り8試合)、6位の鹿島アントラーズ(勝ち点48、残り6試合)の3クラブだろう。
はたして、主要3大タイトルのラスト一冠獲得に望みをつなぐのは、どのクラブになるのだろうか。
例年のJ1ならば、とりたてて焦点にはならない2位争いだが、今季ばかりは特別だ。川崎の独走でやや興味が薄れつつある優勝争いの陰で、注目すべきポイントである。