秋のGIシリーズもいよいよ佳境を迎え、これから年末まで7週連続開催となる。そのスタートを飾るのは、3歳馬と古馬が雌雄を…
秋のGIシリーズもいよいよ佳境を迎え、これから年末まで7週連続開催となる。そのスタートを飾るのは、3歳馬と古馬が雌雄を決する「秋の女王決定戦」GIエリザベス女王杯(11月15日/阪神・芝2200m)だ。
昨年は3番人気のラッキーライラック(牝5歳)が快勝。現在の施行条件となってから、過去に3頭の馬が連覇を果たしているが、同馬はそれらに続く快挙を狙う。
ただ、このレースは1番人気の成績が不振。過去10年で勝利したのは、わずか1回のみである。加えて、今年は京都競馬場の改修に伴って、阪神競馬場で開催される。例年以上に波乱ムードが漂っており、日刊スポーツの太田尚樹記者もこう語る。
「京都のGIは、いわゆる"リピーター"の活躍が多いのが特徴です。近年のエリザベス女王杯を見ても、2016年、2017年とミッキークイーンが2年連続で3着となり、2017年に勝ったモズカッシャンは翌2018年にも3着に入線。さらに、クロコスミアは2017年~2019年まで3年連続で2着になるなど、連続して好走する馬が多く出ています。
ですから、今年も京都開催であれば、昨年の勝ち馬ラッキーライラックや、3着ラヴズオンリーユー(牝4歳)を、再び中心視してもよかったと思います。しかし、コースが替われば、勝手が違ってくると見ています」
そこで、太田記者が穴馬候補として推すのは、センテリュオ(牝5歳)だ。実は、5番人気で勝利を飾った前走・GIIオールカマー(9月27日/中山・芝2200m)の際にも、太田記者は同馬を真っ先に推奨馬に挙げている(※9月26日配信。『オールカマーは実績よりも適性。穴党記者は斬新すぎる穴馬4頭を推す』)。「みなさん、覚えていますか?」と微笑みながら、今回も同馬の躍進に期待を寄せる。
「全兄トーセンスターダムがオーストラリア移籍後、6歳になってGIを2勝しているように、この血筋は遅咲きの血統。センテリュオも引退間近ではありますが、5歳秋の今がピークにあると思います。
馬体の充実に加えて、同馬を管理する高野友和調教師は『ここ2戦は一番苦しいゴール前で、歯を食いしばってがんばれるようになった』と、精神面の成長に目を細めています。
昨年のエリザベス女王杯でも4着と好走していますが、芝2200m戦は5戦2勝、2着2回、4着1回と好相性。前走の中山・芝2200mによく似たコース形態の、阪神・芝2200mも『全然いいと思う』(高野調教師)と、舞台変更も歓迎のクチです。GI馬たちの陰に隠れて、配当的な妙味も見込めますから、再度オススメですよ」

エリザベス女王杯での大駆けが期待されるサトノガーネット
太田記者はもう1頭、サトノガーネット(牝5歳)の名前も挙げた。
「前走のGIII新潟記念(9月6日/新潟・芝2000m)では4着に敗れたとはいえ、牡馬を相手にして最後は外ラチ沿いを猛追。上がり31秒9と究極とも言える末脚を繰り出して、勝ち馬にコンマ1秒差まで迫る走りを見せました。やはり、腹をくくっての、後方からの直線勝負にかける形が合っているようです。
昨年は展開が向かず、9着に敗れましたが、今年は阪神・内回り。各馬がその点を意識して早仕掛け気味になったりすれば、"無欲の末脚"が届く可能性が大いにあると思っています」
一方、スポーツ報知の坂本達洋記者は「世代間の比較が重要なポイント」と話し、今年のエリザベス女王杯について、こう分析する。
「今年の3歳牝馬は、無敗の三冠を成し遂げたデアリングタクトのおかげで派手なイメージがありますが、同馬を除けば、ずば抜けた存在はいないように思えます。GI秋華賞(10月18日/京都・芝2000m)も、展開がハマった10番人気のマジックキャッスル、抽選組の9番人気ソフトフルート(牝3歳)が、2、3着に突っ込んできましたからね。
そうなると、そこから転戦してきた面々を評価できるか? というと微妙なところ。ならば、穴馬も古馬からチョイスしたほうがいいと踏んでいます」
そうして、坂本記者はシャドウディーヴァ(牝4歳)を推奨する。
「4歳の今年、GIII東京新聞杯(2月9日/東京・芝1600m)や、前走のGII府中牝馬S(10月17日/東京・芝1800m)で2着になるなど、力をつけています。
特に前走は、決して得意とは言えない重馬場で、しかも出遅れながら、直線に入ってからしぶとく脚を使っての2着。GI馬のラヴズオンリーユーやダノンファンタジーにも先着し、地力のあるところを見せました。その走りには『馬が一番がんばっていたし、大したもの』と、鞍上の内田博幸騎手が唸ったほどです。
今回は、叩いての上積みも見込めるので、かなり魅力的な存在です。成長力の見込めるハーツクライ産駒ですし、大駆けへの期待が膨らみます」
坂本記者ももう1頭、注目している馬がいるという。
「展開的に楽しみな、ロサグラウカ(牝5歳)です。今回のメンバーだと、前に行きそうなのは、ウインマリリン(牝3歳)あたりでしょうか。でも、ロサグラウカもスタート次第では(ハナを)主張してもおかしくありません。
前走のオープン特別・新潟牝馬S(10月24日/新潟・芝2200m)では重馬場で行き脚がつきませんでしたが、昨年末のグレイトフルS(中山・芝2500m)では、3勝クラスのレースとはいえ、ゴール前で勝負根性を発揮して逃げ切りました。
同馬を管理する尾関知人厩舎の前田廣宣助手も、『この中間はゲート練習を念入りにやっています』と言って、状態は『今年のなかで、一番いい』と話していました。この仕上がりのよさも評価して、狙ってみたい1頭です」
この秋のGIは、ここまですべて1番人気が勝利しているが、1番人気が苦戦中のエリザベス女王杯ではどうなるか。再び苦しい戦いを強いられれば、ここに挙げた穴馬候補の台頭があっても不思議ではない。