女子ワールドカップで8カ月ぶりに再始動した卓球の国際大会第2弾「男子ワールドカップ」<11月13〜15日/中国威海>が開幕する。会場は女子ワールドカップの舞台にもなった威海オリンピックスポーツセンター。 日本からは張本智和(木下グループ)…

 女子ワールドカップで8カ月ぶりに再始動した卓球の国際大会第2弾「男子ワールドカップ」<11月13〜15日/中国威海>が開幕する。会場は女子ワールドカップの舞台にもなった威海オリンピックスポーツセンター。

 日本からは張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)の東京五輪代表2人が出場し、張本は昨年の銀メダルを超える金メダルを、4年連続出場の丹羽は同大会自身初のメダル獲得を狙う。ちなみに17歳の張本は昨年に続き最年少出場で、もし金メダルに輝けば最年少優勝記録としてその名が卓球史に刻まれる。

卓球のワールドカップは男女とも五輪、世界卓球と並ぶ世界3大タイトルのひとつで、例年は世界卓球の優勝者や各大陸カップの上位成績者ら、各国・地域(=協会)から2人ずつ計20人しか出場できない。そのため"シングルス世界最強決定戦"に位置づけられ、誰が相手でも勝ち上がるのが難しい大会といわれる。今年は男子も女子も異例の21人が出場している。

張本も丹羽も慎重に渡航を検討

 張本と丹羽の選考理由は2人とも新型コロナウィルスの影響で中止されたアジアカップに出場予定で、そのリストの中で世界ランク4位の張本は3番手、同13位の丹羽は5番手に入っていたため出場権を獲得(上位8番手までが出場権獲得)した。

 女子ワールドカップに出場した伊藤美誠(スターツ)と石川佳純(全農)のように、張本と丹羽も中国での隔離期間を経て会場入り。帯同している各々のスパーリングパートナーを相手に練習をしている。

 渡航に際しては新型コロナウィルスの感染リスクと、8日間に及ぶ完全隔離期間中はホテルの部屋から出られず、卓球台を使った練習ができないことから、特に張本陣営は今回の出場を慎重に検討したようだ。しかし、来夏の東京五輪のシード順を考えると、獲得ポイントの高い男子ワールドカップに出ないわけにはいかない。これも女子の2人がそうだったように、大会本番までに少しでも世界ランクを上げておきたいという思いからリスク覚悟で出場を決めた。

 丹羽もリスクを考え出場を迷ったというが、一旦、出ると決めてからは完全隔離期間もさほど意に介さず。男子日本代表の倉嶋洋介監督は「さすが丹羽。(最終的には)スーパーマイペースです」と異例の措置にも動じない強心臓に改めて感心していた。


張本が世界No.1の樊振東にリベンジ誓う

日本を発つ直前、張本は「待ちに待った試合なので楽しみな気持ちが一番大きいです」「結果を求められる大会になるので、金メダルを取れるように頑張りたい」と抱負を語った。

昨年は準決勝で世界卓球3連覇中の馬龍(中国)を破って決勝に進み、世界ランク1位の樊振東(中国)と対戦。ゲーム中盤までは五角に渡り合いリードを奪ったものの、後半は樊振東のフットワークを生かした強打に押され逆転を許した。

当時、大会最年少の16歳だったことを思えば銀メダルは十分な成績だが、本人は納得しておらず、今年も樊振東との対戦を熱望し、「去年負けたぶんをリベンジできたら」と闘志を燃やす。

今大会、第3シードの張本と第8シードの丹羽は大会2日目(14日)に始まる本戦から出場となるが、初日(13日)には予選グループリーグが行われ、世界ランクの低い9〜21人(13人)がA〜Dグループに分かれて総当たり戦を行う。その結果、各グループの上位2人=計8人が本戦に進み、上位シード8選手とともにトーナメント方式で試合を戦う。大会3日目には準決勝、3位決定戦、決勝の順で金、銀、銅メダルが決定する。


【出場選手21人】
樊振東(中国/WR1)
馬龍(中国/WR3)
張本智和(日本/WR4)
カルデラノ(ブラジル/WR6)
林昀儒(台湾/WR7)
ファルク(スウェーデン/WR9)
オフチャロフ(ドイツ/WR11)
丹羽孝希(日本/WR13)
チョン ヨンシク(韓国/WR14)
ピッチフォード(イングランド/WR15)
フランチスカ(ドイツ/WR16)
チャン ウジン(韓国/WR18)
アルナ(ナイジェリア/WR20)
黃鎮廷(香港/WR21)
ジャー カナク(アメリカ/WR27)
ガルドシュ(オーストリア/WR28)
荘 智淵(台湾/WR30)
ヨルジッチ(スロベニア/WR34)
プツァル(クロアチア/WR37)
ツボイ(ブラジル/WR44)
サレ(エジプト/WR78)
※WR=2020年11月発表の最新世界ランク

(文=高樹ミナ)