他愛もない質問だな、と思った。渋野日向子が、ラウンド中にお菓子を食べる「もぐもぐタイム」が少なくなった――その理由を訊ねたところで、現時点でどれほどのファンが関心を持っているというのだろうか。 だが、渋野の回答は、現時点の彼女の立場と心境…

 他愛もない質問だな、と思った。渋野日向子が、ラウンド中にお菓子を食べる「もぐもぐタイム」が少なくなった――その理由を訊ねたところで、現時点でどれほどのファンが関心を持っているというのだろうか。

 だが、渋野の回答は、現時点の彼女の立場と心境を当意即妙に表していた。

「キャディーバッグにはたくさんお菓子が入っているんですけど、今はやることが多くて、気が向かないというか、お菓子を食べる余裕がない状態になっていますね(笑)」



試練の戦いが続いている渋野日向子

 試練の連続となったおよそ4カ月のイギリス・アメリカ遠征を終え、国内ツアーの復帰戦となった先週の樋口久子 三菱電機レディスも予選落ち。自身に落胆していた渋野は、日曜日もコースに残ってアプローチショットや、喫緊の課題であるパターの練習に励んだという。

「アプローチに関しては、今までボールを落とす場所のイメージを湧かせずに、ピンに寄せることしか考えていなかった。だから、中途半端なミスが多いのかな、と。パッティングに関しては、昨年のストロークと比較してもらって、今年はアウトイン(の軌道)になっていた。ここ数日で、そういうところに気づけたので、これから意識して取り組みたい」

 そして、今週のTOTOジャパンクラシック(11月6日〜8日/茨城県・太平洋クラブ美野里コース)が復帰第2戦となる。予選落ちのない3日間競技は、今季国内で予選通過がない渋野にとっては、心に幾ばくかの余裕を持てるのではないだろうか。

「正直、今は結果よりも、内容で頭がいっぱいいっぱい。そんななか、今年はまだ日本で3日間を経験していないので、(予選落ちがないことで)初日から考えながらゴルフができるのはいい」

 目標とするスコアについては「毎日、2アンダー、3アンダーぐらいでは回りたいな」と言ってはみたものの、今の自分自身に必要なことは「結果にこだわらない気持ち」と続けた。

「ラウンド中に、ボギー打った、ダボ打った、バーディー獲ったと一喜一憂し、ボギーやダボならすごく落ち込みますし、『ああ、また1m外した』って落ち込んで......。予選落ちして、さらに落ち込んで......。結果に対する気持ちが強すぎて、病んでいってしまうのかな、という状態にありますから」

 ちょうど一年前は、鈴木愛、申ジエとの賞金女王争いでデットヒートを演じていた。

「去年はイケイケどんどんみたいな感じ。周りの環境を気にせず、自分らしくゴルフができていた。私のよさである、何も考えず、攻めのゴルフができていた。それが自分らしさではあるけれど、そのままでは前に進めない。新しいスタイルを作っていきたい。道のりはかなり長いけど」

 初日にラウンドをともにするのは、米ツアーで好調を維持してきた畑岡奈紗と、今年の日本女子オープンを制した原英莉花。同じ『黄金世代』から刺激を受けて復調を期したいところだろう。

 また、渋野の不在の間に『ミレニアム世代』の古江彩佳がデサントレディース東海クラシックでプロ転向後初優勝を飾り、渋野の復帰戦では西村優菜が古江に続いてツアー初優勝を遂げた。

 2週連続優勝への意気込みを、西村はこう言葉にした。

「気持ち的には先週と同じ。トップテンを目指してプレーして、焦らず丁寧にやっていきたい。疲れは大丈夫です!」

 結局、TOTOジャパンクラシックも『黄金』と『ミレニアム』の両世代から目が離せないということだ。