スポルティーバ厳選! Jリーグ月間MVP スポルティーバ編集部が発表する、独自選考のJリーグ月間MVP。毎月Jリーグを取…
スポルティーバ厳選! Jリーグ月間MVP
スポルティーバ編集部が発表する、独自選考のJリーグ月間MVP。毎月Jリーグを取材している識者5人に、候補を5人、順位をつけて選んでもらい、1位5ポイント、2位4ポイント......5位1ポイントという形で、ポイントを集計し、合計ポイントでMVPを決める。

10月も変わらぬハイパフォーマンスで大活躍した、川崎フロンターレの三笘薫
集計の結果、10月度のMVPは、川崎フロンターレの三笘薫に決定した。
三笘は選考した5名全員からポイントがつき、22ポイントはここまで月間MVP選考をやってきた4回のなかで最高点。途中出場のジョーカー的な役割から、先発出場を増やした10月も変わらぬ鋭いドリブルを見せ、川崎の首位独走に貢献した。
2位は名古屋グランパスのマテウスが選ばれた。威力のあるFKや鋭いカウンターを見せる攻撃面のほか、前線での守備への評価も上がるなど、攻守両面でいいパフォーマンスを見せた。
また、変わらずコンスタントにゴールを挙げつづけている柏のオルンガや、2位躍進のガンバ大阪の中心として活躍している井手口陽介らが上位に選ばれた。

三笘は2位以下を大きく引き離す高ポイントを獲得した
それではここからは、各識者の選考順位と、そのポイントとなったプレーぶりを紹介する。
ウイングのプレーが目立っている
杉山茂樹氏(スポーツライター)
1位 三笘薫(川崎フロンターレ)
2位 オルンガ(柏レイソル)
3位 ジュニオール・サントス(横浜F・マリノス)
4位 マルティノス(浦和レッズ)
5位 マテウス(名古屋)
9月までは出場したリーグ全16試合中、スタメンはわずか3試合。ほぼ交代出場に限られていた。川崎フロンターレの三笘薫はMVP(最高殊勲選手)に選びたくても選べない選手だった。
だが10月は5試合すべてに出場した。そのうちフルタイム出場1試合を含む3試合に先発。残る2試合は交代出場と、これまでのどの月にも増して出場時間が多かった。加えて10月のゴール数=3もチームNo.1だ。選ぶ条件はここに来てようやく整った格好だ。
プレーの中身がそれに加わる。三笘がボールを持つと、目はいっそう離せなくなる。変幻自在なドリブルワークに目は釘付けになる。先日のFC東京戦で言えば、2点目の決勝ゴールのシーン。中村憲剛にラストパスを送る寸前まで披露したキレっキレのドリブルこそ、MVP級のドリブルだった。
その昔、2トップ下で構える10番タイプの攻撃的MFを、ファンタジスタというイタリア語で呼んだものだが、現在の日本におけるファンタジスタは、三笘に代表されるドリブラーになる。
坂元達裕(セレッソ大阪)、汰木康也(浦和レッズ)など、MIP(モスト・インプレッション・プレーヤー)的な要素を兼ね備えた巧者は、中盤よりウインガーに目立ち始めている。久保建英(ビジャレアル)を筆頭とする欧州組しかり。いい傾向だと思う。
外国人選手では、マルティノス(浦和)、マテウス(名古屋グランパス)のウイングプレーに目が行く。汰木とマルティノスを左右に揃えた浦和のサッカーは、成績以上によく見える。
横浜FMが中位に低迷する理由もわかりやすい。昨季いた左ウイング=マテウスがいなくなってしまったこと、さらには、右ウイング=仲川輝人のコンディションが上がらないことと密接な関係がある。
田中碧の戦術的センスは秀抜
小宮良之氏(スポーツライター)
1位 田中碧(川崎フロンターレ)
2位 マテウス(名古屋グランパス)
3位 三笘薫(川崎フロンターレ)
4位 ランゲラック(名古屋グランパス)
5位 三竿健斗(鹿島アントラーズ)
首位を独走する川崎のサッカーは、頭一つ抜けている。相当に研究されているはずだが、入れ替わりで選手が台頭。10月に入っても、ペースは落ちていない。1チームで、ほぼリーグベストイレブンが構成できる。
なかでも、田中碧の戦術的センスは秀抜と言える。守備ではアンカーの守田英正と自然にカバーを行ない、数的不利をつくらず、中央の危険なコースを封鎖し、そして長いボールに対し、ヘディングで跳ね返せる強さ(この部分が弱点になって、世界に通じない日本人MFは少なくない)も持つ。
一方、攻撃ではプレースピードを上げられるパスを武器に、ゴールに近づいても技術が落ちない。名古屋戦は前半30分過ぎ、高速パスの渦をつくったあと、エリア内で落ち着いたフィニッシュを見せた。セットプレーのキッカーとしても非凡。今シーズン、リーグのベストMFだろう。
マテウスは、名古屋の攻撃のジョーカーになっている。左利きで、独特の間合いを持つ。コンビネーションも使えるが、ひとりでゴールに持ち込める力もある。一気に裏返せるアタッカー。10月は4得点を記録し、好調のチームをけん引した。
三笘薫は、今シーズンの「新人賞」で決まりだろう。交代出場での切れ味は、コロナ禍でのリーグを彩っている。すでに各チームにマークされているはずだが、10月だけでも3得点。まだまだ守備では課題があるものの、それを凌駕する攻撃のインパクトを残している。ドリブラーなのだが、ドリブルへの執着はなく、ゴールに直結しているのが特長だろう。
ランゲラックは開幕以来、抜群のゴールキーピングを見せている。名古屋は1-0での勝利が多い(10月も3度)が、その点、守護神の存在が大きい。もっとも、チームとして守備が整備されていることが、ランゲラックの幸運と言えるか。マッシモ・フィッカデンティ監督の戦略もあるが、センターバック(CB)中谷進之介、丸山祐市、MF米本拓司が守備の防壁になっている。
三竿健斗は、鹿島らしさを感じるMF。勝利に対して見せる気迫は空回りすることもあるが、多くの場合、チームの攻守を旋回させている。序盤戦、不調だったチームを立ち直らせたのは、その勝者のメンタリティによるものだろう。
井手口陽介はG大阪の上位進出の立役者
原山裕平氏(サッカーライター)
1位 井手口陽介(ガンバ大阪)
2位 三笘薫(川崎フロンターレ)
3位 マテウス(名古屋グランパス)
4位 江坂任(柏レイソル)
5位 中村憲剛(川崎フロンターレ)
5戦全勝の川崎より試合数がふたつ多かったとはいえ、10月に最多勝点を獲得したガンバ大阪からMVPを選びたい。
6勝1分と無敗で乗り切り、上位進出の立役者となったのは井手口陽介だろう。10月の7試合すべてにフル出場し、25節の札幌戦ではゴールも決めている。豊富な運動量と人に対する強さを示して、G大阪の中盤の守備を引き締めるとともに、質の高いミドルパスも連発する。
ダイナミックなプレーが蘇り、攻守両面で躍動。指揮官の求めるスタイルをハイレベルに体現するダイナモが、ACL出場を目指すG大阪の命運を握っている。
今季の最大の発見と言っていい三笘薫は、シーズン終盤に来てもプレーのクオリティが落ちることがない。10月の5試合では全試合で得点に絡む活躍を披露した。アンストッパブルなドリブルで敵陣を切り裂き、ゴール、アシストを連発する。不可欠な存在として川崎の攻撃をけん引するこの新人は、もはやルーキーの枠にはくくれないだろう。
3位に浮上した名古屋では、マテウスの活躍が光った。堅い守りを武器とするチームにおいて、ブラジル人アタッカーの貢献度は絶大だ。鋭いドリブルと強烈な左足を武器に、ゴールを量産した。札幌戦ではGKが一歩も動けないほどの強烈な直接FKを叩き込み、ACL出場権を争う鹿島戦では1得点1PK奪取と、プレーの印象度も高かった。
柏レイソルは今ひとつ波に乗り切れなかったものの、そのなかで気を吐いたのが江坂任だ。10月は6試合に出場し、4得点2アシスト。ヴィッセル神戸を撃破した2ゴールや、ルヴァンカップ決勝の前哨戦となったFC東京戦での先制ゴールと、重要な場面で結果を出してチームをけん引した。ゴールを量産しつづけるオルンガの陰に隠れがちだが、柏の攻撃のカギを握るのは、10番を背負うこの男だろう。
中村憲剛は決して功労賞的な意味合いで選出したわけではない。10月は5試合中3試合にスタメン出場。名古屋戦では2アシストを決め、FC東京戦では40歳の誕生日を祝う決勝ゴールを決めた。この2試合の勝利が中村の活躍なくしてあり得なかったことを考えれば、十分に評価に値するものだ。そのプレーを見ればまだまだ活躍できるはずであり、引退が惜しまれる。
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三笘薫はコンスタントにハイパフォーマンス
中山 淳氏(サッカージャーナリスト)
1位 三笘薫(川崎フロンターレ)
2位 オルンガ(柏レイソル)
3位 井手口陽介(ガンバ大阪)
4位 キム・ヨングォン(ガンバ大阪)
5位 マルティノス(浦和レッズ)
8月29日の第13節以来、破竹の12連勝を遂げた首位・川崎フロンターレ。そのなかで、10月のリーグ戦5試合で3ゴール2アシストを記録するなど、コンスタントにハイパフォーマンスをつづけたのが三笘薫だ。
ドリブルよし、パスよし、シュートよし、攻撃センスよし。気づけば目下11ゴールで得点ランキング7位タイ。何よりこの大物ルーキーが優れているのは、シーズン終盤にさしかかった現在も好調をキープできている点だ。
一方、相変わらずハイペースでゴールを量産しつづけている柏のオルンガは、6試合を戦った10月も計6ゴールをマーク。チームが調子を落とすなか、ひとり気を吐いて得点ランキングで23ゴールと首位を独走中だ。
また、第30節のFC東京戦ではクリスティアーノの2ゴールをアシストし、パスセンスもハイレベルであることを証明。オルンガ、クリスティアーノ、江坂のアタックトリオを見るだけでも、チケット代を払う価値がある。
現在11戦負けなしで2位につけるG大阪からは、チームに欠かせないピースとなっているふたりを選出。
ひとりは、10月の7試合すべてでフル出場を果たしている井手口陽介だ。ボランチとしてDFラインの前で相手の攻撃の芽を摘むだけでなく、攻撃時は精度の高いパスを供給。遠藤保仁がジュビロ磐田に移籍した現在、チームの大黒柱としての自覚が芽生えているようにも見える。G大阪で最も旬な選手のひとりと言える。
もうひとりは、成績浮上の最大の要因となっている堅守を象徴しているCBキム・ヨングォン。持ち前のデュエルの強さは言うまでもなく、CBコンビを組む昌子源との関係性も試合を重ねるごとに向上している。好不調の波がないのも高評価の理由だ。
10月になってメンバーが固まってきた浦和レッズは、6試合を戦って3勝2分け1敗の成績で順位浮上。そのなか、4-4-2の右MFに固定されたマルティノスが目を覚ました印象だ。6試合すべてにスタメン出場し、2ゴール2アシストを記録。加入3年目にして、ようやく本領を発揮し始めている。
出色の出来だった三笘薫
浅田真樹氏(スポーツライター)
1位 三笘薫(川崎フロンターレ)
2位 東口順昭(ガンバ大阪)
3位 マテウス(名古屋グランパス)
4位 パトリック(ガンバ大阪)
5位 森島司(サンフレッチェ広島)
ルヴァンカップ準決勝を除けば、J1リーグ戦は全勝。10月も川崎の勢いが止まらなかった。当然、選手個々を見ても、プレーの出来が悪いはずはない。より得点に直結するプレーを増やしている田中碧や、数字以上に価値あるゴールを決めているレアンドロ・ダミアン、抜群のカバーリングに加え、得点能力も見せたジェジエウなど、高いパフォーマンスが目立っている。
とはいえ、やはり三笘薫のそれは出色だ。一時、疲労の蓄積を感じさせる試合もあったが、依然ドリブルの威力は健在。残り10試合を切ってもなお、"わかっていても止められない"レベルにある。攻撃に多少の手詰まり感が生じても、左サイドに三笘がいることで大きな障害にはならない。それが、引き分けすらなかった川崎の強さを成立させている。
10月無敗と好調だったG大阪では、GK東口順昭の働きが目立った。得点力が高いとは言えず、僅差の勝負をしのいできたチームにあって、東口の決定機阻止が勝利を呼び込んでいた。
と同時に、数こそ多くないものの、価値あるゴールを決めていたのが、パトリック。2014年の三冠達成当時を思い出させるような、ここぞの決定力を見せている。
同じく10月好調だった名古屋からは、マテウスを推したい。鮮やかなFKを含むゴールもさることながら、高い位置での守備から速い攻撃へとつなげ、チーム全体の推進力を生んでいる。昨季も横浜FMで終盤戦の躍進に一役買っているだけに、熾烈な2位争いにおいては、心強い存在になりそうだ。
そして最後のひとりだが、セレッソ大阪の奥埜博亮、浦和のエヴェルトン、柏のオルンガなど、ほかにも挙げたい選手はいたが、サンフレッチェ広島の森島司を選んだ。独特のリズムと優れた技術で、広島の攻撃を引っ張っているのはもちろんだが、リスタート時の正確なキックで、ゴールやアシストを記録しているのが目を引いた。
中村俊輔(横浜FC)、遠藤保仁(磐田)のあと、Jリーグにはキックのスペシャリストがあまり出てきていないが、これから先が楽しみな選手である。