7年ぶりに日本人F1ドライバーが誕生するかもしれない。レッドブルで若手の受け皿となっているアルファタウリの来季ドライバーとして、ホンダとレッドブルの2つの育成システムに在籍する現F2の角田裕毅(20)が最有力になった。・今すぐ読みたい→F…

 7年ぶりに日本人F1ドライバーが誕生するかもしれない。レッドブルで若手の受け皿となっているアルファタウリの来季ドライバーとして、ホンダとレッドブルの2つの育成システムに在籍する現F2の角田裕毅(20)が最有力になった。

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F1マシンのシート合わせをする角田裕毅((c)Redbull Content Pool)


 レッドブルで選手契約を統括するヘルムート・マルコ相談役がドイツの放送局「スカイドイツ」のインタビューに応じたところ、来季のドライバー人事について大きなヒントを出した。すでにピエール・ガスリー(フランス)のアルファタウリへの残留が発表されているが、「来季は彼が(トップチームの)レッドブルで走ることはない。アルファタウリではチームリーダーを必要としているから。彼の相棒はかなり若い選手になるだろう」と漏らしたのだ。

 「かなり若い選手」と具体像を口に出したことで、浮上したのが角田だ。スカイドイツから「(現レギュラーの)クビアトが離脱して、角田が加入するのか」と尋ねられると「そのようになるだろうね」とあっさりと認めてしまった。

 日本人で最後にF1でレギュラードライバーを務めたのが2014年にケータハムに所属した小林可夢偉。その後は17年のF1合同テストに松下信治がザウバーで初参加し、昨年のF1日本GPでは山本尚貴がトロロッソ(現アルファタウリ)の一員として初日のフリー走行1回目で公式セッションデビューを飾ったが、レギュラーシートを射止めることができなかった。

 角田はF1直下シリーズのF2に今季から参戦中で、残り2大会4レースを残してランキング3位につけている。

 F1参戦に必要なスーパーライセンスが発給されるには、F1以外のシリーズのシリーズランキングで算出される「スーパーライセンスポイント」を直近の3シーズンで40ポイント以上獲得しなければならない。角田の場合は、2018年に日本のFIA―F4でタイトルを獲得し、昨季は欧州のユーロフォーミュラオープンでも年間4位となったことから既に19ポイントを得ている。今季のF2でランキング4位以内に入れば、30ポイントが加算され、資格を満たすことになる。

しかも11月4日にはF1第13戦エミリアロマーニャGPが開催されたイタリア・イモラサーキットで2年落ちのトロロッソのF1マシンでテスト走行を実施。発給要件を完全に満たすことになる。

 ただし、綱渡り状態にある。後ろ盾となっているホンダが2021年シーズンを最後にF1からの撤退を表明。仮に来季のシートを得られたとしても、ホンダ自体のF1活動はそのシーズンまで。22年以降に継続参戦できるかは不透明なのだ。


F2でランキング3位につける角田裕毅の走り((c)Redbull Content Pool)


 これと似た状況だったのがトヨタの育成ドライバーだった可夢偉だ。トヨタのF1参戦最終年だった2009年にスポット参戦で終盤2戦に滑り込みセーフで出走。10年からザウバー・フェラーリに所属できたものの、実働年数は09年を含めてわずか5シーズンだった。ちなみに先にF1デビューを果たしたトヨタ育成組の中嶋一貴は09年までF1に参戦したが、翌10年を浪人として過ごし、11年に日本のレースに舞い戻った。

 欧州のモータースポーツ業界では角田を「ホンダの置き土産」とみなし、F1キャリアは21年の1年のみと予想する辛口の関係者もいる。

 レッドブルの育成システムは実力主義で「情実」を一切排除しており、F1を走るアレクサンダー・アルボンや、アルファタウリのダニール・クビアトもいったんはレッドブルの契約を打ち切られた過去がある。ガスリーですら、レッドブルからトロロッソに降格させられるという煮え湯を飲まされた。角田も首脳陣をうならせる成績を残さない限り、あっさりと「戦力外」になる可能性はある。

 その一方で念願のF1ドライバーとして飛躍できるビッグチャンスでもある。これまで日本人は鈴木亜久里、佐藤琢磨、可夢偉と3人がF1で表彰台を獲得したが、いずれも3位だった。F1シートを射止めたあかつきには、日本人初優勝を積極果敢に狙ってほしい。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


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