ぶつかり合う、球を獲り合うといった根幹をなす局面では、両者間に大きな差はなさそうだった。

 勝った堀江翔太主将も、「向こうの方が強かったりもしたんじゃないですか」と言うほどだ。

 それでも、結果には差がにじむ。3連覇中のパナソニックが昨季11位のホンダを圧倒した。

 その背景を分析するのも、また堀江主将だった。

 後半16分から出場、本職はHOだがこの日はNO8でプレーして「そこまでテンパりもせず」とし、自軍の勝因をこう明かすのだ。

「自分たちの戦術略を理解しているかどうか、じゃないですか」

 そう。この日の勝者は、戦法への忠実ぶりでスコアを支配した。

 前半15分頃だ。自陣中盤右のラインアウトからの突進で22メートル線手前まで押し込まれるも、パスがつながった先の左中間で新人のWTB福岡堅樹が好タックル。他選手は余力を持って列をなし、中央、右とつながるフェーズへ圧力をかける。

 攻防の境界線を自陣10メートル線付近まで押し戻すと、来日4日目で先発のFLデービッド・ポーコックが向こうのFB半井優太を一撃で倒す。刹那、近くのNO8ホラニ龍コリニアシが絡む。

 球を手離さない、ノット・リリース・ザ・ボールの判定が下った。

 攻守逆転。19分、WTB福岡が自身初めてトップリーグでインゴールを割った。

 さかのぼって13分にも得意のターンオーバーを決めたFLポーコックは、笑顔を浮かべる。

「私たちFWがやるべきことをやって顔を上げたら、BKが前を走ってトライを取ってくれている」

 かたやホンダのFL小林亮太ゲーム主将は、「ペナルティが増えた」。パナソニックが戦法に忠実なのに対し、ホンダは反則数11と規律を乱した。

 自らも前半35分、対するCTBリチャード・バックマンらに作られたピンチの場面で接点へ横入り。一時退場処分を食らい、続く36分、ラインアウトからのモールなどで0-22と勝負を決められた。

 反省の弁は続く。

「プレー中のレフリーの声に反応できず、自分たちの判断だけでプレーしてしまって…」

 時間が経てば、観客の興味はWTB福岡の走りに傾いた。

 後半7分にはSO山沢拓也のロングパスを受け取り、10分、28分にはタッチライン際の荒野を駆け抜け、リーグ戦の最多タイ記録となる1試合6トライをマークしたのだ。

「内側(接点周辺)で前に出てくれたら外にはスペースが空く。空いた時にしっかり(ボールを)呼べば、トライが取れる」

 リーグ序盤に2敗を喫して優勝戦線からはやや遠ざかるなか、1年目のHO坂手淳史は、「終わったことは仕方がない。次へどう上げていくか」。

 この日は中長期的な視点からかHO坂手がゲーム主将となり、筑波大4年でもあるSO山沢は「チームとして細かいミスを減らせば、もっと自分たちのやりたいラグビーができる」と前を向く。「どう上げていくか」という自分たちだけの計画を、楽しみながら推進する。(文:向 風見也)