福田正博 フットボール原論 ボールを奪う能力だけでなく、奪ったあとに前線にボールをつなげられるし、攻守のバランス感覚やポ…

福田正博 フットボール原論

 ボールを奪う能力だけでなく、奪ったあとに前線にボールをつなげられるし、攻守のバランス感覚やポジショニングなど、総合的に考えると今後は遠藤航が中盤の中心になっていくはずだ。

 一方、チーム全体の攻撃に関して言えば、物足りなさを覚える結果だった。

 今回の2試合は、個の力だけで打開できるレベルの相手ではなかった。だが、1年ぶりの日本代表活動ということもあって、コンビネーションが噛み合っていない部分が多く見られた。

 カメルーン戦に先発した1トップの大迫勇也(ブレーメン)、トップ下の南野拓実(リバプール)、右MFの堂安律(ビーレフェルト)など、ほとんどの選手は昨年から日本代表で一緒にプレーしてきたのに、コンビネーションが合わないのを不思議に思うかもしれない。しかし、これほど長い期間代表としての活動がなかったのだから、すべての選手がリズムや呼吸を合わせることはなかなか難しいはずだ。

 同じようなシチュエーションでも監督が変われば、求められるプレーが変わるのがサッカーだ。たとえば、パスを出したあとひとつにしても、味方から「離れろ」というチームもあれば、「近づけ」というチームもある。

 各クラブでシステムも違うし、求められるポジショニングも変わる。それを短期間で調整して臨むのが代表戦なのだが、今回は1年ぶりということもあって、連係・連動に多少のズレがあった。

 コンビネーションに関連して言えば、大迫のポストプレーがない時に、どうやって攻撃を構築するかという課題は相変わらず残った。

 日本代表のストロングポイントは2列目で、大迫がポストプレーをすることで、2列目の選手たちとコンビネーションが生まれる。

 しかし、コートジボワール戦に出場した鈴木武蔵(ベールスホット)の特長はポストプレーにはなく、DFラインの裏への抜け出しにある。本人も「それで勝負する」と言っていたが、裏への抜け出しをつづけると2列目との距離感が開く傾向にあり、2列目の選手との連係に難しさが出てしまう。

 最前線に南野を置いて、鎌田大地(フランクフルト)をトップ下に入れる『ゼロトップ』という考え方もある。前線の空いているスペースに個々が流動的に入っていくものだが、果たして世界の強豪国と対戦した時に、それができるかどうか。

 ブラジル代表のように、自分たちの力を出せば勝てるという横綱相撲を取れるほど、日本サッカーはまだ強くはない。それはドイツ大会やブラジル大会のW杯で学んだことでもある。次のW杯に向けて、さまざまな戦い方を身に着けて、相手によって引き出しを使い分けられるようにしてもらいたい。

 日本代表は11月に、今度はオーストリアでパナマとメキシコ代表と親善試合を行なう。注目したいのは、攻撃面だ。今回露呈したコンビネーション不足をどこまで修正できるのか。守備では、吉田と冨安の代わりとなる選手を試すのではないか。

 日本代表が強くなっていると感じられる試合を期待している。