12月12日(月)東京ドームで富士通フロンティアーズとオービックシーガルズが激突する第30回日本社会人アメリカンフットボール選手権ジャパンエックスボウル。2年ぶりの王座を目指す富士通のストロングポイントを、QBコービー・キャメロンのプレーから探った。

潜在能力を引き出す『フィールド・ジェネラル』

富士通フロンティアーズのQBコービー・キャメロンは、開幕から髭を剃っていない。

「グッドラックの意味。勝ち続けているから剃らない」

髭を剃らないのは縁起かつぎの意味があるとキャメロンは日本語で説明した。

フロンティアーズ3年目の今季は、新たな攻撃スタイルに挑戦してきた。過去2年間はキャメロンのパス力を生かし、テンポに緩急をつけたノーハドル攻撃で高得点を狙うスタイルだった。

今季はランの比重を上げた分、昨年よりも得点力は下がった。

それでも、キャメロンはこの新しいスタイルが勝利するためにはベストだと考えている。

「昨年までの攻撃はタイムマネジメントがしにくいという問題があった。1点差でも100点差でも勝利は同じ勝利。今年はタイムマネジメントができる攻撃を全員で学んできた。今の方がチーム全員の力を生かせる攻撃だと感じている。」と、キャメロンは言う。

実際、昨年までの富士通は先行逃げ切り型だった。それでもほとんどの試合は逃げ切れるほどの爆発的な得点力を発揮してきた。しかし、昨年のJXBで対戦したパナソニックには、終盤に逆転され、キャッチアップができなかった。

この課題を払拭したことを証明したのが、準決勝のIBM戦だった。リードしたのは序盤だけ。以降は同点、リードを繰り返す展開で、3Q終盤に逆転されてからは1ポゼッション差、1点差をなかなか詰められない状況が続いた。しかし、1点差を追った残り1分21秒、自陣22ヤードから、敵陣28ヤードまでボールを進め、K西村豪哲(日体)の45ヤードFGにつなげたドライブは、キャメロンの能力なくしてなし得なかったものだった。

特に自陣41ヤード、残り18秒の第3ダウン8ヤードの状況で、WR強盛(関大)に決めた13ヤードのサイドラインパターンは、IBMのDEジェームズ・ブルックス(アリゾナ州立大)の猛烈なプレッシャーを浴びながら、きっちりコントロールしたボールを強に送った。圧巻だったのはその直後にフィールドの広いサイドのアウトサイドレシーバーに位置した中村輝晃クラーク(日大)へ、サイドラインパターンを決めたことだ。

このパターンのパスは、ロングパス以上に長い距離を、しかも矢のように鋭い弾道で投げなければならない。とても難易度の高いものだ。それをこともなげにやってのけてしまうのが、本場米国カレッジで、最優秀パサーに贈られるサミー・ボウ賞を受賞したキャメロンの実力だ。

JXBで対戦するオービックシーガルズは富士通にとって、長年越えられない壁として立ちはだかってきた相手だった。しかし、キャメロンが加入した一昨年からは立場が逆転。2年連続セミファイナルで対戦し、いずれも富士通が勝利してきた。

フロンティアーズが4年連続でJXBに進出を果たす上でキャメロンが欠くことができない存在であることに、異論を唱える者はいないだろう。しかし、キャメロン自身は、決して一人の力ではないと強調する。

「フットボールはチームスポーツ。フィールド上の11人がまとまらなければ、結果を残すことができない」

初の日本一となった1年目は前半終了間際に負傷し、後半はプレーできなかった。そして昨年はパナソニックに逆転負けと、キャメロンにはまだ、JXBで1試合を通じてプレーした上での勝利はない。

『今年は最後までプレーしたいという欲求はあるか?』と尋ねると、

「自分が最後までというこだわりはまったくない。むしろ、早々に勝負を決めて、サイドラインに下がるのが理想の戦い」

と、キャメロンは冗談めかしに笑いながら続けた。

「シーガルズは日本人、米国人問わず、とてもいい選手が揃っている。いいメンタリティを持っていて、ハードにプレーできる選手たちの集団だ。私達は彼らを常にレスペクトしている。JXBはお互いにチャレンジの試合になるだろう」

キャメロンはオービックに対して敬意を示すと共に、痺れるような緊迫感のある戦いを楽しみにしている様子だった。

(ハドルマガジン12月増刊号Vol.23の記事を再編集)

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