「今年1月の入団当初に比べると、リバプールのプレースピードに慣れてきて、攻撃や守備の決まり事も身につけた。多くの点で成長…

「今年1月の入団当初に比べると、リバプールのプレースピードに慣れてきて、攻撃や守備の決まり事も身につけた。多くの点で成長していると思う」

 そう語るのは、英紙サンデー・タイムズのジョナサン・ノースクロフト記者である。サッカー部門の主筆を務める同氏は、プレミアリーグ開幕から2カ月が経過しようとしているリバプールの南野拓実について、次のように言葉をつないだ。



CL第2節ミッティラン戦で先発した南野拓実

「前進はしている。だが、南野が進んでいる道には壁がある。現状として、ロベルト・フィルミーノのバックアッパーの立ち位置に収まっている。ポジションは、4−3−3のCFだ。

 しかし、このポジションが南野に合っているとは思わない。レギュラーのフィルミーノはフィジカルが強く、相手に激しく寄せられても、前線でボールをしっかりと足もとに収めることができる。

 だが、南野はタイプの異なるプレーヤーだ。動きながらパスを求め、スペースに滑り込んで、ワンタッチやターンで打開するタイプだろう。ムーブメント・プレーヤーと表現してもいい。その分、フィジカルはさほど強くない。相手の寄せと当たりの厳しいCFでは、持ち味を生かせないだろう」

 10月27日に行なわれたミッティランとのチャンピオンズリーグ第2節で、南野は4−3−3のCFとして先発した。しかし、苦戦を強いられた。前線でボールをなかなか収められず、相手の速い寄せでトラップが乱れるシーンも少なくなかった。

 前半にはクロスボールからヘディングシュートを1本打ったものの、「リバプールの攻撃が停滞した一因となった」(ノースクロフト記者)。後半は右FWにポジションを移したが、それでもインパクトを残せなかった。

 同記者は、南野の問題点をこう指摘する。

「リバプールの4−3−3でCFがボールを収められないと、チームとしても厳しい状況になる。それが、ミッティラン戦で露呈された。フィルミーノは、このあたりのプレーをそつなくこなしている。

 ただ、(身体の)線の細い南野に、この役割を求めるのは酷だろう。得意としているとは思えないからだ。プレスで敵に寄せていくのはうまいが、ボール保持時にガツンと敵に当たられると、もろさが出る。

 問題は、フィルミーノに合ったポジションと役割を、そのまま南野に当てはめていることだ。これでは、日本代表は輝けない」

 ノースクロフト記者は、「南野のベストポジションはトップ下」と主張する。「プレースタイルから考えれば、中盤中央の1.5〜2列目がベストだろう。最前線に陣取るフィルミーノの後方、つまりトップ下から前方に飛び出していくタスクを与えれば、南野のよさは生きる」と力を込めた。

 だが、ここにも障壁がある。リバプールの基本形は4−3−3。トップ下を配する4−2−3−1は、あくまでもオプションに過ぎないからだ。

 ならば、4−3−3の両翼での起用はどうか。このポジションは、モハメド・サラーとサディオ・マネがレギュラー。ここに、移籍市場でポルトガル代表FWのディオゴ・ジョタが新たに加わった。ノースクロフト記者は言葉を続ける。

「ポルトガル代表FWは、リバプールで最高のスタートを切った。サポーターはすでに彼に興奮している。ジョタが、いずれサラーやマネのような存在になると考える者さえいる。

 クロップ監督も、彼のダイナミックなプレーを気に入っている。すでに3ゴールを決め、パフォーマンス自体もいい。両翼は、ジョタが控えのなかでファーストチョイスだろう。つまり、両翼での南野の序列は低下したということだ。ジョタの加入は、南野にとって痛かった」

 4−3−3のCFでは、南野の持ち味は生かしにくい。しかも、フィルミーノと同じタスクをこなしていては、ブラジル代表FWを超えていくことも難しい。4−3−3システムにおけるCFの役割は、あくまでもフィルミーノのプレースタイルに合わせて作られたものだからだ。

 最後に、ノースクロフト記者は今後の見通しを次のように述べた。

「リバプールには、不動の3トップが君臨している。現状から考えれば、南野はベンチで我慢の時が続くだろう。もちろん、長期的な視野に立てば、4−2−3−1の本格採用や主力の退団などがあると状況は変わってくると思う。

 プレミアリーグやチャンピオンズリーグのビッグマッチではベンチスタートになると予想するが、今シーズンはコロナ禍の影響で過密日程が続く。フィルミーノ、サラー、マネをずっと先発で起用していくのは不可能だ。南野としては、出場した試合で結果を残したい。こうした苦しい状況を跳ね返す力を、私も見てみたい」