三菱全日本選手権が28日に開催した。予選は新型コロナウイルスの感染リスクを減らすために中止。本戦も例年の64ドローから32ドローに変更された。ランキングの上位選手だけしか出場できない今大会は、まさに国内トップクラスの力を持つ選手のみが覇権…

 三菱全日本選手権が28日に開催した。予選は新型コロナウイルスの感染リスクを減らすために中止。本戦も例年の64ドローから32ドローに変更された。ランキングの上位選手だけしか出場できない今大会は、まさに国内トップクラスの力を持つ選手のみが覇権を争う大会となった。早大からは清水映里前主将(スポ4=埼玉・山村学園)、白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)の2選手が出場。けがの影響で実戦から遠ざかっていた清水は自分の力がどこまで戻ってきているのか、白石にとってはこれまで超えることができなかった1回戦の壁を越えることができるかを示す大会となった。


粘り強いプレーを見せた白石

 白石が対戦したのは、昨年度の全日本学生選手権王者で前年大会でも対戦した今村昌倫(慶大)。これまで敗れ続けてきた相手に、どこまで実力の差を詰めることができるようになったかを図る絶好の試合となった。試合は序盤からハイレベルなラリーが繰り広げられる。その中で先にブレイクを許した白石は、積極的に前に出る。「いつもは守るだけで防戦一方だったのですが、今日は自分からいくことができました」(白石)と、これまでの対戦とは異なった攻めの姿勢で局面の打開を図った。セットカウント2-5の場面から4-5まで盛り返すことはできたが、最後の場面で今村に上回れた。セカンドセットは、前に出た白石の裏をかく見事なパッシングショットからリードを奪われる。しかし白石も第7ゲームから第9ゲームまで3ゲーム連続連取するなど、意地を見せた。最後は今村の前に敗れたが、勝機を十分探ることができた試合であった。

 復帰戦となった清水の相手は波形純理(伊予銀行)。早稲田大学OGでグランドスラムにも出場したことのある大ベテラン。清水にとっては普段の練習からお世話になっている先輩だ。3年前の大会では2回戦で対戦し、当時第1シードであった波形を相手にファイナルセットまで及ぶ熱戦を見せた。今大会では3年前の大会のリベンジを果たすと共に、自身の復調をアピールしたいところだった。試合は序盤から清水がリードする展開で、セットカウント5-1に。しかしそこから6ゲーム連続で奪われファーストセットを落とした。セカンドセットは終盤粘りを見せたが、逆転することはできなかった。「相手の方が大事な場面でしっかりとしたプレーをしていたので、流れを掴めなかった」(清水)と振り返った通りに、相手の勝負強さが光った試合であった。


復帰戦で見事なプレーをした清水

 両者1回戦で敗退したが、今後に向けて明るい兆しが見えた試合であった。「段々と真っ向勝負ができるようになったのではないか」と、白石は強敵を相手にしても真っ向勝負を挑むことができた。また清水もコンディションが万全ではない中で勝ちが十分狙える展開だった。来年からプロに転向する清水にとって、そして早稲田の新エースである白石にとって、貴重な試合となった。

(記事、写真 大島悠希)


結果


男子シングルス
▽1回戦
●白石光 [4-6、5-7] 今村昌倫(慶大)


女子シングルス
▽1回戦
●清水映里 [5-7、3-6]波形純理(伊予銀行)

コメント

清水映里前主将(スポ4=埼玉・山村学園)

――今日の試合は負けてしまいましたが、率直な今の気持ちは

悔しいですね。けが明けでやれることが限られていた中での戦いになることは分かっていたのですが、その中でももう少しやれることがあったのかなとは思います。

――ファーストセットの途中までは自分のペースでテニスをできているようにも感じましたが

自分のペースよりかは相手のミスに助かっていた部分がありました。5ー1のところから相手の状態が良くなった時に、自分のミスが続いてしまい。そこが焦りにつながりました。

――相手にペースを与えてしまった要因は

展開をしていく中で攻めきれなかったところとか、守りきれなかったところとか。詰めの甘さがゲームを取りきれないところにつながりました。セカンドセットも2ー1までリードをしていて、取りきれない部分があったので。大事なところで質の高いプレーをできなかった。相手の方が大事な場面でしっかりとしたプレーをしていたので、流れを掴めなかったのではないかと思います。

――サーブの調子はどうでしたか

ストローク戦に持っていくためにファーストサーブは重視したのですが、攻めることができていなかったのでそれは。質は良かったのですが、サービスゲームで攻めきれてはいなかったです。

――相手との差をどの部分で一番感じましたか

ゲームの大事なところで、私の方が先にミスをしている部分が多かったです。相手はミスをしないで展開してくるので、そこですかね。

――そこは今後の課題になってくるのでしょうか

久しぶりに試合をできた中で試合勘がなくなってはいなかったので、できなかったこともありますが思った以上にできた部分もありました。今後の課題としてはけがをしない体をつくって、質の高いプレーをしていくことです。

白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)

――負けてしまいましたが、自身のプレーはどの程度できましたか

いつもは防戦一方で守るだけだったのですが、今日は自分からいくことができていました。ただいかないと取れなくさせられてしまい、自分がいかせられたところはありました。ただ自分から打てていたので、テニス的には悪くなくて。やはり威力がまだ足りないなと。凌ぎの球の浅さ、ショットの深さをこれからは意識していきたと思います。

――ファーストセットの4、5ゲームから前に出ていく姿が目立ちましたがそれは意識されてのことですか

そうですね。後ろで打ち合うだけで勝てないのは最初から分かっていたので、それでも最初慎重になったところで放されたので。後ろでやり合いすぎたと途中で気が付けたのは良かったです。ボレーでいく球は良かったのですが、パスで今日は抜かれるところが多かったので精度をもう少し高く。早稲田で練習している分には大丈夫なのですが、全日本選手権などの大きな舞台に出ると球の甘さが目立つので。普段の練習から上を目指して、練習していかないといけないと思います。

――パスで抜かれたという話が出ましたが、セカンドセット始めにパスで連続で取られていましたが。そのことをどのように捉えていますか

ビデオで見ないと分からないと思いますが、自分の球が甘いのか、今村さんのスーパープレーなのかは。しょうがないと思うように試合中はしていましたが、あのレベルではあれでもまだ甘いと思うので、今回それを実感できました。もう少し威力のあるボールを打てるようにしていきたいです。

――ファースト、セカンドセットの追い掛ける場面で焦りはありましたか

うーん。いつもブレイクはできるので、今村さんも波があるのでそこまで焦りはなかったのですが。結果的に5ー4まで巻き返すことができたので。0ー3になったことは良くないと思うのですが、諦めず逆転することができたのは良かったです。

――去年の対戦より成長を感じれた部分はありますか

去年どうだったかな。去年よりは打ちあうことができている。去年よりはかわして、かわしてだったのですが。段々と真っ向勝負ができるようになったのではないかなと思います。最後に弥起ヘッドコーチからも、もうちょいだったねと言われたので。もう、すぐそこまできていると思うので。インカレ(全日本学生選手権)でリベンジをしたいと思います。

――最後にインカレに向けて、目標をお願いします

今回の全日本選手権に出場している今村さんが第1シード、羽澤も第2シード、山尾君と第3シード。自分はランキング的に第5シード辺りになると思うので、全日本選手権に出ている選手も多くレベルは高いのですが、優勝は狙える位置にはいると思うので。もう負けられない気持ちで臨まないと、ベスト4や優勝は遠くなってくると思うので、まず1つ1つを負けれないという気持ちで頑張りたいと思います。