ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がボリス・ベッカー(ドイツ)とコーチ契約を更新しないことになった。彼は自身のフェイスブックに声明を発表し、「双方が合意のもと、協力関係を終わらせることに決めた」と述べた。「ともに働き始めたときのゴールは完…

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がボリス・ベッカー(ドイツ)とコーチ契約を更新しないことになった。彼は自身のフェイスブックに声明を発表し、「双方が合意のもと、協力関係を終わらせることに決めた」と述べた。  「ともに働き始めたときのゴールは完全に達成された。協力、チームワーク、献身、コミットメントについて、彼にお礼を言いたい」とジョコビッチは続けている。

 「その一方で僕のプロとしてのプランは、いま第一に、よいプレーレベルを維持することにある。来シーズンに向けて、よいスケジュールと新しい目標を打ち立てること。これに関して、僕がすべての未来の決断を行うことになる」  ジョコビッチが獲得した「12」のグランドスラム・タイトルのうち6大会はベッカーがチームにいた期間に勝ち獲られたものだ。12タイトルはロジャー・フェデラー(スイス)の「17」、ラファエル・ナダル(スペイン)、ピート・サンプラス(アメリカ)の「14」に次ぐ記録となっている。

 ジョコビッチはベッカーとともに働いた期間に、ほかに3つのグランドスラム準優勝がある。つまり彼はベッカーとの協力関係のもと、12のグランドスラムのうち9大会で決勝に進出したことになる。  ベッカーはまた6月に、ジョコビッチが全仏オープンで初タイトルを獲得することにより、生涯グランドスラム(テニスキャリアにおいて4つのグランドスラムのすべてで優勝すること)を達成したときにも、彼のコーチを務めていた。しかも、男子選手が4つのグランドスラムに連続して優勝したのは、ほぼ半世紀ぶりのことだった。  ジョコビッチはその全仏オープンの際に、1980年代から90年代にかけて6度グランドスラムを制したベッカーとともに働くことや、過去の偉人たちがトップ選手のコーチとなっている最近のブームの一角をなしていることについて尋ねられていた。  それに対してジョコビッチは、ベッカーが「心理学的観点から指導してくれ、コート内外でツアーでのことにどう対処したらいいかを教えてくれた」と説明、「ここ数年、僕と彼は素晴らしい時間をともにしてきた」と話していた。  「彼のチームへの貢献度は間違いなく大きい。これまでのところ、すべてがうまく調和して進んでいる」と当時のジョコビッチは言っていた。「これがどのくらい長く続くかはわからない。僕らは、年ごとに歩を進めているんだ。だから今年の終わりに、彼がもう一年やるのか見てみることになるだろう」  その全仏オープン優勝のあと、ジョコビッチのシーズンは脱線してしまった。  彼はウィンブルドン3回戦でサム・クエリー(アメリカ)に敗れ、リオ五輪1回戦ではフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に敗れて、先月はアンディ・マレー(イギリス)に世界1位の座を譲り渡し、2位で2016年を終えることになった。  ベッカーがチームにいた2014年と2015年に、ジョコビッチは世界1位で一年を終えていた。(C)AP